飲酒で食道がんリスクが73倍に!? ハーバード×スタンフォードの医師が警告する「がんとお酒」の真実の関係
飲酒で食道がんリスクが73倍に!? ハーバード×スタンフォードの医師が警告する「がんとお酒」の真実の関係

お酒を飲むと体の中で何が起きているのか、まじめに考えたことはあるだろうか。実は、体内でのアルコールの分解過程で生まれる「アセトアルデヒド」には、明確に発がん性があることが医学的に証明されているという。

とはいえ、飲兵衛としてはお酒は飲みたい……いったいどうすれば?

『ハーバード×スタンフォードの医師が教える100年生きる食事術』より一部抜粋、再構成してお届けする。

最も安全性が高いのは「赤ワイン」

さて、今日は皆さんの関心も高いであろう「がん」と「お酒」の関係について、少し踏み込んでお話ししたいと思います。最近の研究では、お酒は少量であっても体に良くない、という考え方が主流になってきています。

そもそも、アルコールが体内に入ると、私たちの体はそれを「毒物」と認識します。そして、肝臓で一生懸命に分解を始めるのです。この分解過程で生まれるのが「アセトアルデヒド」という物質。

実は、二日酔いの頭痛や吐き気の原因となるのも、このアセトアルデヒドの仕業です。非常に毒性が強く、様々な悪さをすることがわかっています。

私たちの体には、この有害なアセトアルデヒドを、無害な酢酸に分解してくれる「アルデヒド脱水素酵素」というものが備わっています。

しかし、この酵素の働きには個人差が非常に大きいのです。お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる、動悸がするといった方は、この酵素の働きが弱いタイプ。体内に長時間、高濃度のアセトアルデヒドが留まってしまうため、特に注意が必要な体質といえます。

では、どうしてもお酒を楽しみたい場合、どのような種類を選べば少しでも体に良い影響が期待できるのでしょうか。

これはあくまで私の独断も入りますが、総合的に判断すると、最も安全性が高いのは「赤ワイン」だと考えています。

赤ワインはブドウの皮や種ごと醸造するため、ポリフェノールが豊富に含まれます。特に「レスベラトロール」という強力な抗酸化作用を持つ成分は、体の酸化、つまり老化や血管のダメージを防ぐ働きが期待できるのです。

次に挙げるなら「ビール」でしょうか。

アルコール度数が比較的低いため、血中アルコール濃度の上昇が緩やかです。ビタミンB群やミネラルも含まれていますが、糖質が多くカロリーが高い点には注意が必要です。飲みすぎは肥満に直結します。

そして「日本酒」。添加物が少なく、米由来の体に良い成分も含まれますが、アルコール度数が比較的高いので、一気に飲むのではなく、おちょこでゆっくりと味わう「ちびちび飲み」を心がけてください。さらに度数が高くなるウイスキーなどの蒸留酒も同様で、香りや色を楽しみながらゆっくり味わってほしいものです。

一方で、甘くて口当たりの良いリキュール類は、糖分とアルコールの両方を大量に摂取しがちで、肝臓への負担が大きくなる傾向があるため、少し注意が必要かもしれません。

食道がんのリスクが73倍にもなる

先ほどお話ししたアセトアルデヒドですが、この物質には明確に「発がん性」があることが証明されています。

大腸がんや肝臓がん、閉経前の乳がんなど、様々な部位のがんリスクを高めることが知られていますが、アルコールとの関連で最も危険視されているのが、実は「食道がん」なのです。

かつては、熱い食べ物や喫煙が食道がんの主な原因とされてきましたが、近年の研究でお酒、特にアセトアルデヒドが極めて強力なリスク因子であることが明らかになってきました。

ある信頼できるデータによれば、お酒を全く飲まない人と比較した場合、少量の飲酒でも食道がんのリスクはなんと7倍に跳ね上がるという結果が出ています。これが中等量の飲酒になると43倍、そして大量の飲酒習慣がある人では、実に73倍にも達するのです。

これは驚異的な数字といわざるを得ません。しかも、食道がんは自覚症状が出にくく、発見されたときには進行してしまっているケースが多い、非常に厄介ながんでもあります。

遺伝子を攻撃し、傷つけるものはすべて発がん性物質と考えるべきで、アセトアルデヒドは、まさにその代表格といえるでしょう。

では、お酒が好きな人はどうすればいいのか。

私は決して「お酒をやめなさい」などと言うつもりは少しもありません。まずご自身の体質を理解し、リスクを正しく認識すること。

そして、お酒を飲み続けるという選択をするのであれば、量に気をつけ、定期的に検診を受けることです。

特に胃カメラなどの内視鏡検査は、食道の状態を直接観察できるため非常に有効です。リスクがあるのならば、それ以上に早期発見に努める。

これがお酒と長く、賢く付き合っていくための唯一の方法だと私は考えます。

文/梶原一人

『ハーバード×スタンフォードの医師が教える100年生きる食事術』(かや書房)

梶原一人
飲酒で食道がんリスクが73倍に!? ハーバード×スタンフォードの医師が警告する「がんとお酒」の真実の関係
『ハーバード×スタンフォードの医師が教える100年生きる食事術』(かや書房)
2025/11/81,760円(税込)224ページISBN: 978-4910364971

ハーバード大学に研究員として留学し、在職中に世界で最も権威のある科学雑誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文を発表。スタンフォード大学医学部・神経生物学教室で研究を続け、現在「眼科かじわら アイ・ケア・クリニック」を開業している眼科医・梶原一人氏が、100年を健康に生きるための食事術を解説します。

眼科医が栄養学を語る理由は、目の健康が体、特に「血管」の健康と密接に結びついているからです。それはつまり、目の健康はもちろん、がん、糖尿病、高血圧、動脈硬化、認知症、脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病、薄毛まで、加齢に伴う様々な悩みに「食」を通じてアプローチすることを意味します。

本書では、糖尿病や老化を促進する揚げ物などの「AGEs(終末糖化産物)」や甘い飲み物を避け、魚、ナッツ、野菜といった血管を元気にする食品を具体的に紹介。34万人登録を誇る著者の人気YouTubeチャンネル「100年生きる!眼科チャンネル」の内容を基に、科学的根拠に基づいた「食べてはいけないもの」「食べるべきもの」を分かりやすく楽しく解説しており、あなたの目と体の未来を守る一生役立つ知識が満載です。 本書を読んで健康で100歳超えでも元気でいられる食事術を学びましょう!

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