〈中道・泣きっ面に蜂?〉高市首相「宗教法人課税」検討説がSNSで賛否…食料品消費税ゼロの財源確保の秘策に「日本文化の損失につながる」との批判も
〈中道・泣きっ面に蜂?〉高市首相「宗教法人課税」検討説がSNSで賛否…食料品消費税ゼロの財源確保の秘策に「日本文化の損失につながる」との批判も

先の衆院選では連立与党で352議席を獲得した高市首相。公約に掲げていた食料品の消費税ゼロ案(税収減は年約5兆円)をめぐり、代替財源の確保として「宗教法人への課税」という秘策に着手する可能性を2月12日のデイリー新潮が報じた。

仮に実現すれば、現行の「課税免除」を解除することで年4~5兆円規模の税収になり得る。しかし、宗教法人への課税は歴史ある神社・仏閣などに打撃を与えるため、日本の文化の損失につながるという批判もある。

公平性が改善される「宗教法人課税」のメリット

「宗教法人への課税」。それは歴史的大敗をした中道改革連合にとって、まさに泣きっ面に蜂のような政策だろう。

昨年10月、公明党が自民党との連立を離脱して、立憲民主党と中道を結成したため、それまでの自民・公明の連立与党時代には触れにくかったテーマにも「正面から踏み込める」という空気がある。もし宗教法人課税が現実に動き出したとき、支持基盤に創価学会という巨大な宗教法人を抱える公明にとっては大きな痛手となる。

もともと「内部から崩壊するかも」との見立てすら報じられていたが、宗教法人課税は党内対立を一気に先鋭化させる“分裂装置”にもなり得る。

では、もし仮に高市政権が「宗教法人への課税」を打ち出した場合、どんな影響が起こり得るのか。

実際の影響は「何に課税するか」と「どこまで非課税を残すか」で大きく変わる。そもそも宗教法人は現在も完全非課税ではなく、収益事業には法人税等が課され得るし、給与の源泉徴収や消費税などの負担も生じる。

したがって政策の焦点は、宗教活動そのものへ課税するのか、それとも実質ビジネス部分の課税を拡張・厳格化するのかに置かれる。

想定される課税の形は大きく3つある。

第1に、収益事業の判定(お守りの授与は「宗教行為」か「物品販売業」かなど)を厳しくして対象を広げる方向。

第2、境内地・境内建物(駐車場や宿舎など)固定資産税等の非課税範囲を見直し、宗教目的に使われていると認める範囲を絞る方向。

第3に、寄付・献金に関する税制や優遇の扱いを変更し、情報開示や会計の透明化と組み合わせる方向。

メリットとしては、公平感の改善が挙げられる。宗教活動ではなく収益部分に課税を厚くするなら、一般法人との不均衡を是正する施策として説明しやすい。固定資産税の非課税範囲を縮めれば自治体税収の増加にもつながり得る。

また課税強化は区分経理や証憑整備を促し、宗教法人のガバナンスと説明責任を高める効果も期待される。

もし課税されると「明治神宮や靖国神社は存続の危機」

一方でデメリットも大きい。都内の宗教関連施設で働く50代男性がいう。

「宗教法人と言っても、一括りにどこからどこまでの話なのでしょうか。例えば、都内の一等地に広大な敷地を持つ明治神宮や靖国神社は、課税の方法次第では年間で数十億円の課税が新たに加わることになり、存続の危機となります。

神社仏閣の維持費は安くありません。さらに莫大な課税がかかるとなると、維持できなくなるところも出てくるでしょう。

それは結果的に日本文化の損失につながることになります」

さらに税務対応には、規模にかかわらず一定の固定コストがかかる。

小規模な寺社や教会ほど負担が重くのしかかりやすい。資産への課税が強まると、建物の維持・修繕や文化財の保存、地域行事の継続が難しくなるおそれもある。

加えて、「宗教活動」と「収益」の境界は実務上あいまいになりやすい。線引きがはっきりしないままだと、自治体や担当者によって運用がばらつき、当事者の見通しが立ちにくくなる。その結果、相談や調査対応の手間が増え、争いも起きやすくなる。

また、課税制度が特定の宗派を狙ったものとなった場合には、信教の自由との緊張が高まり、社会の分断を招いて政策の正当性が揺らぐ可能性もある。

結局、現実的な落としどころは、宗教活動そのものに一律で課税するのではなく、収益事業課税の定義と運用を明確にする方向に寄せることになる。

高市首相が公約に掲げた「食料品の消費税ゼロ」の実現のためには年間5兆円の財源が必要となる。「宗教法人への課税」は代替税収の確保のためには十分な財源となり得るが、代償も大きそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

編集部おすすめ