〈WBCに暗雲・平良&石井離脱〉それでも緊急交代が“追い風”になり得る2つの理由…侍JAPAN総力戦で再び頂点へ
〈WBCに暗雲・平良&石井離脱〉それでも緊急交代が“追い風”になり得る2つの理由…侍JAPAN総力戦で再び頂点へ

2026ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に出場辞退が相次いでる。2月11日に平良海馬(西武)、13日に石井大智(阪神)とリリーフを期待された二人の投手が怪我で離脱した。

短期決戦のWBCにおいて、リリーフ陣の役割は勝敗を左右する非常に重要な要素となるため、「史上最強の侍ジャパン」の呼び声が高かったメンバー選考に早くも暗雲が立ち込めている。

両リーグNo.1のリリーフが離脱

3月開幕のWBCに井端弘和監督率いる侍ジャパンは、メジャー組と国内組がかみ合った“歴代最強”級の顔ぶれで連覇を狙う––––はずだった。

だが、ブルペンを支えるはずの投手に相次いでアクシデントが発生。平良海馬(西武)が左ふくらはぎの肉離れで出場辞退し、藤平尚真(楽天)が追加選出。

さらに石井大智(阪神)も左アキレス腱損傷で辞退し、隅田知一郎(西武)が追加選出となった。この急遽のメンバー変更に在京球団のスコアラーは「連覇に黄色信号が灯った」という。

「もちろん、藤平と隅田も実力十分な選手です。藤平は直球の力とフォーク系で空振りを奪えるタイプで、短期決戦の一発勝負で頼れる選手。左腕の隅田は試合を作れる先発型ですが、国際大会では左のワンポイントからロングリリーフまで担える希少な選手。

とはいえ、平良はパ・リーグ下位に沈んだ西武で一人シーズンを通して安定した活躍を見せ、最多セーブのタイトルを獲得。石井は世界記録となる50試合連続無失点で防御率は0.17とMVP級の活躍で阪神のセ・リーグ優勝に貢献しました。

いわば、両リーグNo.1のリリーフがいなくなったわけですから、さすがに井端監督も頭が痛いでしょう」

WBCはシーズン前の3月開催で、投手起用には球数制限が付きまとう。2026年大会でも1次ラウンドは65球、準々決勝で80球、準決勝以降で95球といった上限が設定されている。

つまり先発が“長く投げる”前提が崩れやすく、結果として救援陣が担うイニングも、登板回数も増える可能性が高い。

さらに短期決戦は接戦が連続し、勝負どころの一球が試合を決める。2017年WBC準決勝のアメリカ戦は1―2で惜敗した。先発・菅野智之(オリオールズ→ロッキーズ)が粘っても、終盤の攻防で一歩届かなかった。

逆に2023年WBC決勝のアメリカ戦は3-2で辛勝。1点差で迎えた最終回に大谷翔平がマウンドに上がり、当時エンゼルスのチームメイトだったマイク・トラウトを三振に仕留めて優勝を決めた。

勝っても負けても大舞台ほど「最後の1点」を守り切る、あるいは取り切る1点の重みが強くのしかかる。その意味で、平良と石井の離脱が痛いのは確実に計算できる“終盤の替えがきかない投手”が減ることだ。

緊急交代もポジティブな2つの理由

現地でWBC取材経験のあるスポーツライターも欠場する2選手の不在を嘆く。

「平良は先発経験もあり、複数イニングも任せられ、連投や回またぎが必要になりがちな国際大会に向いています。石井も球界No.1と言っても過言ではないくらい中継ぎ適性が高く、右打者の内角を突く球が武器。彼らが抜けると、7~8回のセットアッパー、火消し役、延長戦のロングリリーフとブルペン陣のパズルが一段難しくなります」

ただ、暗雲ばかりではない。

今回新たにメンバー入りした藤平と隅田には、平良や石井にはないストロングポイントがある。藤平のように短いイニングで最大出力を出せる投手、隅田のように流れを切れる左腕投手が入ったことで、組み合わせの幅自体は広がったという見方もある。

その意味で継投は固定よりも、相手打線・打順に合わせてブルペン陣で最適解を見極めることになる。

「過去の優勝チームを見ても、先発の“看板”より、リリーフの“厚み”が結果に直結しやすい傾向があります。2009年は決勝で延長戦に突入し、9回以降の継投と守備の集中力がモノを言いました。2023年も準決勝メキシコ戦で一時リードを許しながら、救援陣が大崩れせずに踏みとどまったからこそ、終盤の反撃につながりました。

WBCはタイブレークを含め延長戦も想定しての投手起用が必要となるうえ、試合間隔が詰まることで『どの投手をいつ、何球使うか』の判断にも迫られます。だからこそ、一人の絶対的クローザーに依存せず、7回以降の終盤を複数の“質の高いリリーフ陣”で回せるかがカギ。そもそもWBCは誰か一人二人の選手個人の力で勝ち負けが決まるような大会ではありません」(前同)

さらにもう1つ、今回のメンバー交代は不幸中の幸いにも大会直前や大会期間中ではなく、大会までまだ準備期間の残された中での発表となった。首脳陣にとっても投手陣の役割を再編成するための猶予があり、追加メンバーもしっかりと準備して大会に臨める。

怪我人が相次いだことは不安を呼ぶが、逆に言えば、開幕前に課題が可視化されたとも言える。修正の時間が残されている今、首脳陣がブルペンの再編を整備し、無念の欠場者が出たことで団結力が高まれば、前回大会のように逆境を覆すドラマが見られるはずだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

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