〈日大三高・野球部活動休止〉「絶対消すから」と少女に送信させたわいせつ動画は部員数十人に拡散「児童ポルノは覚醒剤と同じで所持だけで犯罪」と専門家、もし我が子が手にしたら
〈日大三高・野球部活動休止〉「絶対消すから」と少女に送信させたわいせつ動画は部員数十人に拡散「児童ポルノは覚醒剤と同じで所持だけで犯罪」と専門家、もし我が子が手にしたら

女子生徒にわいせつな画像・動画を送らせて拡散したとして2月12日、警視庁少年育成課は、昨夏の甲子園で準優勝を遂げた日大三高硬式野球部の17歳と16歳の男子生徒2人を児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で書類送検した。報道が過熱した同日、同校野球部は活動を休止、期間は未定だという。

学習用に配布していたタブレット端末で部内数十人に拡散

わいせつな動画は部員数十人に拡散されていた。社会部記者が事件の経緯を解説する。

「昨年3~6月ごろ、17歳の男子部員Aが『絶対に消すから』といって知人の女子生徒に、わいせつな画像や動画を3回にわたりSNSで送らせ、そのうちの動画1点を16歳の部員Bに提供した疑いがある。その後、Bが同5~10月ごろ、ほかの複数の部員に動画を送信し、部内数十人に拡散された。

部員たちは学校側が学習用に配布していたタブレット端末を使ったとみられている。昨年10月、警視庁に女子生徒の家族から『娘のわいせつな動画が拡散されているようで心配だ』と相談があり事件が発覚した」

昨年夏の甲子園で準優勝し、高校野球の強豪校として知られる日大三高。これまで同校を応援してきた地元住民たちはまさかの不祥事にショックを受けていた。

「なんというか残念としか言いようがありませんよね。昔から強い部なので地元でも応援している人は多かったですし、私も応援しています。去年の甲子園は準優勝してましたし、期待していたのですが…」(近隣住民・女性)

日大といえばこれまで多くの不祥事を起こしてきたが、三高は「昔から真面目なイメージだった」と別の地元住人(男性)は話す。

「俺が知ってる限りは何か不祥事とか事件があったって話は聞いたことないよ。野球部についても昔からひたむきに部活に取り組んでるイメージしかない。

昔から野球部は強かったんだけど10年以上前に地元のやんちゃな高校生らが日大三高の野球部が練習しているグラウンドに石を投げて『おいっコラっ』とかヤジを飛ばしにくるなんてことがあった。

その時もいくらヤジられようが見向きもせずに練習していた。

今の野球部の子達にしたって真面目。その辺で喫煙してる子とか、服装が派手な子なんて見たことない。『お疲れ様』って声をかけると『お疲れっす』って気持ちよく返事する子たちばかりだよ。

学校の近くから3~4人で歩いてるのをよく見かけたから『野球部か? そっち行っても何もないだろ』って声をかけた時もあるよ。その時は『多摩センターの方まで行くんです』って言ってて、歩いたら1時間近くはかかるだろうからすごい遠くまで行くんだなって。その時の子たちも好青年で、近所で素行が悪いとそんな話は聞いたことないし、やっぱり野球部が強くて有名だから地元の人達は応援していたんだ」

警視庁の任意の事情聴取に男子部員AとBは容疑を認め、「やってはいけないことをやってしまった、謝罪したい」「軽率な行動で学校や家族に迷惑をかけてしまった。もっと強い気持ちをもっていればこんなことにならなかった」と猛省しているという。

専門家は「覚醒剤と同じ…」持っていたという事実が招くリスク

少年たちの軽率な行動によって野球の名門校が活動休止となってしまった今回の事件。性的画像・動画の拡散は、女子生徒の人権を踏みにじる絶対に許されない行為だ。

学校内のいじめ問題等に精通するレイ法律事務所の高橋知典弁護士は、児童ポルノに該当する画像・動画の所持によるトラブルの相談は「非常に多いです」と話し、法的な観点からも警鐘を鳴らす。

「女子生徒に関して言えば、自分の性的なものを外部には見せていけませんが、直接受け取った男子生徒が、それを誰かに送ることは絶対に許されない。

さらに受け取った人は罪悪感が薄く多くの人に共有してしまう。ここが非常に問題です。関わったすべての人が犯罪者にあたる可能性があります。

児童ポルノは所持しているだけで犯罪になるため、法禁物(法律上正当に所持することが認められないもの)といえます。持つだけ、渡すだけで、自分も周りの人間も次々と犯罪者にしてしまう非常に危険なもの。

また、直接関わっていなくとも、過去に所持していた事実が数年後に自分へ飛び火するリスクもあり、数ヶ月、1年後にそのような問題が明らかになった場合、例えば今回のように甲子園に出場した、受験や面接を控えている、結婚する――そういったタイミングで、動画を自分も持っていた、または渡したことがあるというのが後で発覚したとき、社会的なダメージは加害者にとっても大きい。児童ポルノは覚醒剤と同じように、持つのも犯罪という理解が必要です」

被害の大きさを考えれば、このような強い社会的制裁があるのも当然だろう。では、仮に我が子が動画を受け取ってしまったら、どうするべきなのだろうか。

「学校内であれば、まず親御さんに相談し、学校の先生にも相談した方がよい。万が一受け取ってしまった場合には、削除すべきです。直ちにそのような動画や画像が出回っていることを相談・報告した上で、削除。絶対に被害を広げてはいけません。

そして適切な行動を取ることが『潔白の証明』に繋がる。 

拡散された動画の持ち主が学校内で収まっている人間関係であれば、全ての生徒にあたってもらい消してもらうことが大切です。拡散の度合いによるが、性的動画の拡散が問題になった民事訴訟で、高額なものでは過去に200万円程の慰謝料が認められた事例もあります。この点において、加害者が成人しているかどうかは関係ありません」(同前)

学校や部活動などの閉鎖的な環境下においては、当事者は「バレないだろう」「このくらいなら」という考えが働き、次第にエスカレートする傾向もある。この点について高橋弁護士は「日頃から緊密な友人関係が出来上がっていて、この中で拡散しても大丈夫だろうという、よくわからない安心感がある。この安心感が拡散をすごく広げてしまう」と警鐘を鳴らした。

性的画像・映像の拡散は、被害者の名誉や尊厳を深く傷つける行為で、絶対に許されるものではない。被害者が感じた心痛や恐怖は計り知れない。にもかかわらず、自覚なく深刻な加害をしてしまうことが拡散の恐ろしさだ。同様の事件が二度と起こらないことを切に願う。 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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