〈還元率110%の罠〉「爆アド確定」は本当か? トレカ“オリパ”の危うい実態…弁護士が語る賭博罪との境界線
〈還元率110%の罠〉「爆アド確定」は本当か? トレカ“オリパ”の危うい実態…弁護士が語る賭博罪との境界線

ポケモンカードなどのトレーディングカードをカードショップが独自に構成し、くじ引きのような形で販売する「オリジナルパック」、通称「オリパ」。なかには数万円で販売されるものもあり、ギャンブル性を感じさせるが、法的に問題はないのだろうか?

価値が10万円以上のトレカ詰め合わせも存在

「還元率110%! 爆アド確定! トレカのオンラインオリパ!」

近年、YouTubeのCMやSNSの広告で「オリパ」という言葉を目にする機会が増えている。

オリパとは、「オリジナルパック」の略称で、ポケモンカードなどのトレーディングカード(以下、トレカ)を扱うショップが、独自に中身を構成して販売するパック商品のことを指す。

福袋のように、中に何が入っているかは完全には分からない。

トレカは通常、期間限定の新カードやテーマが収録された拡張(ブースター)パック、または遊ぶうえで使いやすいカードが事前に封入されているスターターセット(パック)といった形式で販売されている。

スターターセット(パック)は、封入されている枚数が多いため最低限の当たりカードが入っているが、ランダム封入の拡張(ブースター)パックでは、そのような当たりカードが出る確率は決して高くない。それでも「売ると高額になるスーパーレアカードが入っているかも?」と胸を躍らせる“ドキドキ感”こそが、トレカをパックで買う醍醐味でもある。

オリパは、そのドキドキ感をさらに強化した商材だ。トレカショップが独自に構成し販売しているため、その販売価格はさまざま。100円程度の福袋感覚のものから、数万円に達する高額なものまである。

オリパの販売価格が高くなるほど、その中には“高額で取引される”希少カードが含まれている可能性も高まるとされている。

ここで重要なのが、「還元率」という考え方だ。これはオリパの販売価格に対し、封入されたカードの市場価格合計がどれほどの割合になるかを示す指標である。

例えば、1口1万円で100口販売される場合、販売総額は100万円。このとき、100口の封入カードの市場価格の合計が90万円相当なら還元率90%、100万円なら100%、110万円なら110%ということになる。

もちろん、何枚封入されているかはそのオリパによる。

この仕組みにより、支払った金額以上の価値あるカードが当たった状態を、「爆発的にアド(アドバンテージ)がある」の略で「爆アド」と呼ぶ。1万円のオリパで相場5万円のカードを引き当てれば「爆アド」となるが、逆に期待外れの低価格帯のカードしか出なければ「大爆死」ということになる。

実際に「当たり」は封入されているのか?

最近はポケモンカードをはじめ、トレカが高額で取引されている。そんななか、「1枚30万円のカードは買えないけど、1万円のオリパでならもしかしたら当たるかも」と、オリパを購入する層が拡大している。

また、人気YouTuberによる「開封動画」の影響もあり、SNSなどを通じて拡散・ブーム化している側面も強い。

カードの価格が上昇するにつれて、オリパ自体の価格も高額化し、「射幸性(偶然の利益を当てにする度合い)」、平たく言えばギャンブル性がより強まっているのが現状だ。

しかし気になるのは、「本当に当たりは封入されているのか?」という点である。オリパは封入率や総口数が明示されていないケースも多い。そもそも、縁日の屋台のように、人の手で構成される商材に「必ず当たりが入っている」と信じるのは簡単ではない。

また、「還元率〇〇%」といった表現にも注意が必要だ。これはあくまでも全体設計上の理論値であり、購入者一人ひとりにその割合で還元されるわけではない。

多くのオリパでは、ごく一部の高額カードを「当たり」とし、大多数は低価格帯のカードで構成されている。

つまり、仮に全体の還元率が高くても、損をする人のほうが多い可能性がある。1口1万円で100口ある場合、その中に1枚だけ110万円のカードが入っていれば、それだけで還元率は110%となってしまうからだ。

加えて、「爆アド確定!」「大当たり多数!」といった文言は、やや誇張された広告表現という印象を受ける。これでは「ギャンブル性が高い」という誹りは免れない。これは法律的に問題ないのだろうか?

「すべての企業の実態を把握しているわけではないため、各企業が法的にどのような整理をしているか、詳細には分からない部分もあります。ただ、現実として、『すべての企業が完全に法律に違反していない』とは断言できない状況ではないかと考えています」

そう語るのは、池田・染谷法律事務所の弁護士、小野翔太郎氏(以下、「」内は同氏のコメント)。

「オリパに関しては、一律に法令違反になるとまでは言えず、『商品ごとに判断される』というのが実情です。『中身が表示通りに封入されていて』、かつ『内容が賭博に該当しない範囲に収まっている』のであれば、直ちに違法とまでは言えません。

『爆アドが狙える』といった表現は主観的な要素が強く、景品表示法上の不当表示とみなされるかどうかケースバイケースです。ただし、『爆アド確定』などと謳っておいて、“爆アド”が約束されないような封入であれば、不当表示とされるリスクは否定できません」

「還元率100%」は景品表示法上の不当表示!?

「爆アド」よりも不当表示になりそうなのが、「還元率〇〇%」という表現である。

「例えば、100円のオリパで“必ず100円以上"のカードが当たると謳うならば、何をもって“必ず100円以上”とするか、その根拠も表示しておくことが重要です。トレカの市場価格や買取相場は変動が激しいため、正確性に欠ける表現はリスクとなり得ます」

仮にショップ側が「必ず購入額以上で買い取ります」といった保証がある場合、それは確実な還元といえよう。

しかし、現実的にはそのようなビジネスモデルは成立しづらい。ゆえに、100%還元を謳うこと自体が実態と乖離する可能性がある。

「結果として『還元率100%』といった表示が、実際の内容と食い違うケースでは、不当表示と判断される可能性は十分にあります。また、大切なのは『表示された内容どおりの商品が提供されているか』という点です。

明記されている情報と実際に提供される内容に齟齬があれば、それは不当表示として問題になり得ます。例えば、“目玉カード”として紹介されていたカードが、実際には封入されていなかったというケースがあれば、その表示は問題でしょう」

昔からオリパはカードショップなどで細々と存在していた。しかし、最近では価格帯も上がり、「射幸性の高い商材」としての一面が強まっている。その結果、グレーなものも目立つようになった。

「景品表示法や賭博罪との関係性といった法的リスクに対し、対応の度合いは企業によって異なると思われます。しっかりリスク管理している事業者もいれば、そうではない事業者もいるように見受けられます。オリパは、ある種の“ギャンブル性”を帯びつつも、エンタメとして消費されている面もあります。だからこそ、今後の法的整理や、社会的な認識の変化を注視する必要があるのではないでしょうか」

あまりにも悪質なケースであれば、警察が注目し、集中的に取り締まる可能性も十分にあり、摘発の対象となることも考えられる。

期待を煽るような派手なHPや広告、甘い誘い文句に惑わされないようにしたい。

取材・文/千駄木雄大

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