〈独身偽装した検察元エース〉「貞操権の侵害は成立しない…解決金は30万円で」騙された女性の絶望「出産ができるかもしれない最後のチャンスだった」
〈独身偽装した検察元エース〉「貞操権の侵害は成立しない…解決金は30万円で」騙された女性の絶望「出産ができるかもしれない最後のチャンスだった」

昨年12月に法務省より懲戒処分を受けた元検事A(35)に、約1年半にわたり独身だと騙されて続けてきた柏木亜紀さん(仮名)。現在、彼女はAに対し550万円の損害賠償を求める裁判を起こしている。

 

不倫関係だったと知らなかった柏木さんはAとの結婚、さらには出産も強く望んでいた。いっぽうのAは「婚姻意思はないことは伝え、柏木さんも認識していた」と主張していたという。

騙された1年5か月の果てに突きつけられた冷酷回答

真面目な恋愛を求めて2024年初頭にマッチングアプリを始めた柏木さん。プロフィールには「既婚者の方はごめんなさい」と示していたが、妻子持ちの元検事男性Aから「独身」だと偽られ交際を開始した。その交際は1年5か月ほどに及んだ。

「私は結婚願望があったので交際してしばらく経った頃からその先を考えていました。その確認は何度もしていました」(柏木さん)

交際中、デートや旅行に行くだけでなく、Aの自宅にも何度も招かれ「将来の話も何度とした」と柏木さんは貞操権侵害を訴えている。

Aは検察の捜査情報を自ら漏洩してきたことから、柏木さんは「Aは自分との将来を考えているからこそ、秘密の共有をしてきているのか」だと考えていたようだ。柏木さんは2025年8月にAが妻子持ちである事実を知ってから体調を崩し、同年10月にAに内容証明書を送付、約2週間でA側から回答があったという。

「ご連絡」と書かれた2枚の回答文、A側の主張はこう書かれていた。一部を抜粋する。

〈貞操権侵害の成否について〉

A氏のメッセージは、今後も良好な関係性を継続したいという意思の表れといえるとしても、婚姻意思の表明とは言えないものと考えます。

むしろ、柏木様は、A氏に対し、令和6年3月24日に、LINEで「Aちゃんは結婚願望ないでしょ?」というメッセージを送ってきております。

その後も、柏木様はA氏に対し、「先が無いの分かってて、それでも好きやから一緒にいる私の気持ちなんて考えたことないや、ないやろ」「『結婚したいなら他探していいよ』もこの言葉もほんまに残酷やで」「私の好きの先には結婚があるけど、Aちゃんは無いところ」といったメッセージを送っており、このことからもA氏が柏木様に対して婚姻意思がないことを伝え、柏木様もそのことを認識していたことは明らかです。

このように、A氏が柏木様に対して婚姻意思を明雑に否定していた以上、柏木様がA氏との婚姻を前提に同人と性的関係を持ったとは言えません。そのため、A氏が既婚の事実を柏木様に伝えていなかったとしても貞操権侵害は成立しないものと考えます。以上から、前回提案させていただいた解決金30万円での解決をご再考いただけますと幸いです〉

「もう二度と恋愛は望めない」

A氏側の主張に対し柏木さんは肩を落とす。

「前後の会話などを取っ払ってそこだけ切り取られても…という悔しい思いでした。今後の訴訟に関係するので内容は控えますが、他の質問に対しても既婚の事実を認めた以外は私の心を強く踏みにじる回答ばかりでした。それならもう裁判しかないなって…」

11月、訴訟準備にはいった柏木さんだが、弁護士が取り寄せた戸籍謄本を確認するまではわずかだが、それでも“Aを信じたい思い”もあった。

「家にも招き入れられて、人前で堂々とキスをしたり、職務に関する機密情報まで共有され、最後までAが単身であると信じたい思いでした。戸籍謄本を確認するまで『離婚しているのでは』それか『離婚寸前なのかも』とも思いました。でもその戸籍にまだ幼い子どもの名前もあり、なにがなんだかわからなくなりました」

柏木さんはAと交際時はアラフォーだった。年齢的に妊娠率はかなり低下しているとはいえ望みがゼロではない。「やはり好きな人の子どもを妊娠し、出産するという経験をしたかった」と声を震わせる。

「当時はAのことが好きでしたから、私としては妊娠や出産ができるかもしれない最後のチャンスと思っていました。でも今となっては妊娠出産どころか男性不信に陥り、もう二度と恋愛は望めないと思います。その意欲がありません。人を信じる気持ちを奪われたと思っています」

2月におこなわれた初公判。Aと代理弁護士は法廷に姿を現さなかったという。次回の裁判は3月中旬に行われる予定だが、かつて「割り屋」と言われた元検事は自分が引き起こした事案に、口を割るのだろうか。

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取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班

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