中道19議席…衝撃の28年参院選シミュレーション「組織崩壊カウントダウン」小川新代表で党イメージ「変わらない」81%
中道19議席…衝撃の28年参院選シミュレーション「組織崩壊カウントダウン」小川新代表で党イメージ「変わらない」81%

2月8日投開票の衆院選で大敗した新党「中道改革連合」が執行部を刷新し、再スタートを切った。新代表に選出された小川淳也氏は、代表代行に公明党出身の山本香苗氏、政調会長に岡本三成氏を起用する一方、幹事長に立憲民主党出身の階猛氏、国会対策委員長に重徳和彦氏を据えるなど党内融和に躍起だ。

だが、早くも落選者からは離党する意向が相次いで示されている。「地方組織や参院議員の合流がなされなければ、早晩行き詰まる」とも言われ、新党崩壊のカウントダウンは始まっているのか。

中道改革連合「崩壊」に向けたカウントダウン

「全国を回る中で、『物価高で生活が苦しい』『分断と対立に危機を感じる』という切実な声を確かに聞きました。生活の安心と平和を守る『穏健な政治勢力』として、中道のかたまりを作るという方向性は決して間違っていなかったと思います」

立憲民主党代表として公明党と中道改革連合の結成を進めた野田佳彦前共同代表は2月16日、公式サイトで歴史的大敗を振り返りつつ新党結成の意義を強調した。

だが、小選挙区での議席獲得はわずか7議席、比例でも42議席という大惨敗を招いた責任は極めて重い。公示前の167議席から3分の1以下になったことを考えれば、新党結成が「大失敗」だったことは明らかだ。

野田氏は「自民党にガチンコ勝負で負けたという実感はありません。高市総理への期待感だけの『推し活』のようなイメージ論に、選挙戦全体が支配されてしまったように思います。何とも言えない独特の『時代の空気』に、私たちの訴えが飲み込まれてしまいました」とも記しているが、その程度の認識しか持ち合わせていないならば、突如結成された新党の下で選挙戦を展開せざるを得なかった落選者が浮かばれないだろう。  

中道改革連合が大敗した理由は、多くの政治家や専門家、ジャーナリストらが分析しているが、残念なのは、その大半は「敗北」の先にある「未来」が見えないとしている点だ。

それは、すなわち「中道崩壊」を意味する。小川新代表という“起爆剤”は、「平時」ならば選出されることは難しく、「有事」の今だからこそ一定の期待感が向けられていることは理解できる。

だが、そんな中道改革連合には「崩壊」に向けたカウントダウンが始まるだけの「3つの理由」が内包されていると言わざるを得ない。

小川新代表就任で党のイメージ「変わらない」81.4%

1つ目は、急ごしらえで結成された新党は期待値がすでに低く、国民から自民党以外の選択肢として「受け皿」と映っていないことだ。

先の衆院選で自民党は総定数(465)のうち316議席を獲得した。戦後最高の議席占有率(68%)で、小選挙区は全体の約85%で勝利している。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2月14、15日実施した世論調査によると、小川新代表就任で党のイメージが変わったかを尋ねたところ、「変わらない」が81.4%を占め、「変わった」は13%にとどまった。

正式な小川新体制発足前の調査であり、評価するのは時期尚早という声はあるだろうが、それでも「ご祝儀相場」が存在しないどころか、早くも超低空飛行となっていることがわかる。

興味深いのは、次の設問だ。中道改革連合が「今の形のままでよい」と考える人は16.2%で、「立憲民主党と公明党の参院議員や地方議員も合流した方がよい」は22.1%、「立憲と公明に分かれた方がよい」が51.8%に達した。

政党支持率は自民党の39.4%(前回調査比3.4ポイント増)に対して、中道改革連合は7.6%だったという。

10議席のみ…衝撃的な28年参院選シミュレーション

新体制への評価や政党支持率が低いだけならば、まだ上向くチャンスはあると期待する向きもあるだろう。もしも中道改革連合の支持率が上昇し、「これならば選挙でも勝てる」と見られるならば、求心力も働いていく。

だが、深刻なのは再び立憲民主党と公明党に「分裂」した方が良いとの回答が過半数に達している点にある。

共同通信社が2月15日実施した2028年参院選の試算は衝撃的だ。

今回の衆院選比例代表で各党が得た票数を基にしたシミュレーションによれば、2028年の参院選で立憲民主、公明両党の参院議員が「中道の候補」として出馬した場合、選挙区が9、比例で10の計19議席獲得にとどまるという。

これは、2022年参院選で公明が13議席、立憲が17議席の計30議席を獲得したことから考えれば、またしても惨敗の可能性がある試算結果だ。

野田前共同代表が指摘するように、現在は高市早苗首相への「推し活」に似た期待感があるにせよ、衆院選後に実施された先の産経・FNNの調査でも高市内閣の支持率は72%(1月から1.2ポイント増)と政権発足以来5回連続で70%台を維持している。

衆議院だけの合流政党の危うさ

中道改革連合が「敵失」をじっと待つだけの政党ならば構わないかもしれないが、政党支持率が低空飛行を続けて「参院選でも勝てない」と見られれば、求心力ではなく「遠心力」が増幅していくだろうことは想像に難くない。

2つ目の理由としては、中道改革連合がいまだ衆院議員の「合流政党」である点だ。

高市首相による電撃解散で時間的に間に合わなかった点は否めないものの、現時点で立憲民主党と公明党の参院議員、さらに地方議員・組織は合流していない。実は、この点こそが中道改革連合が「崩壊」していく可能性を高めるのではないか。

中道改革連合の代表選に立候補した際、小川新代表は立憲民主党と公明党の参院議員の合流について「少し時間をかけて、丁寧に方向性を定めて意思決定すべきだ」と述べている。

階猛幹事長も「性急にことを運ぶ必要はない」との立場だ。新党設立届の提出が1月16日、結党大会は1月22日とスケジュールありきで結成された中道改革連合は「基本政策」を確認したものの、立憲民主党と公明党にはそれぞれの理念、政策がある。

「地方議会は首長との関係が重要。国政政党間の関係とは違うところも」

衆院だけの党所属議員49人(立憲民主党出身21人、公明党出身28人)は仮にまとまることができたとしても、いまだ新党に合流していない参院議員まで「縛る」ことができるのか。憲法観や原発への対応、安全保障政策などをめぐり衆参でチグハグな状況に陥るのではないかとの不安も残る。

加えて、さらに地方組織の合流は難しいはずだ。公明党の竹谷とし子代表は2月13日、記者団に「地方議会は首長との関係が重要だ。

国政政党間の関係とは違うところもある」と慎重に対応していく考えを示した。

要するに、新党への合流は地方議員の声を踏まえながら決めるべきというわけだ。なぜ竹谷代表の発言が重いのかと言えば、公明党には3000人近い地方議員が存在するが、その多くは知事や市区町村長と歩調を合わせながら行政を前に進めてきた「与党」側の立場であることだ。

国政では26年続いた自民党との連立政権を離脱したが、地方議会の多くでも「与党」である自民党との関係をどのように整理するつもりなのか判然としない。

仮に中道改革連合に合流するならば、地方議会で「野党」側の立憲系と行動を共にできるのか。

立憲支持者が支持できない中道

生活に身近なテーマが多い地方議会では、これまでの主張との整合性が国政以上に問われることになるだろう。先の産経・FNNの調査によれば、公明党の支持層では高市内閣を「支持する」との回答が8割に上っている。

立憲民主党の支持層は「支持しない」が84.1%だ。この温度差を抱えたまま、合流をきっかけに主張がガラリと変わるならば支持層の混乱も予想される。

さらに言えば、来年は「統一地方選の年」となる。自民党と公明党は連立与党時代も地方議員選では切磋琢磨してきたが、中道改革連合という1つの政党に入ることになれば本当に集票の調整を奏功させ、議席数を維持したり伸ばしたりすることができるのか。

先の衆院選で「1+1=2」にならなかったことを考えれば、不安を取り除くことは容易ではない。

そして、3つ目の理由は「支持層の乖離」だ。

共同通信社が分析した結果、昨年の参院選で立憲民主党に投票した人のうち、今回の衆院選で中道改革連合に投票した人は6割にとどまっている。

一方、公明党の場合は73.9%が衆院選で中道改革連合に投票したという。たしかに衆院選で掲げた政策は公明党寄りになった面があるとはいえ、従来の立憲支持層の“離反”は小さくはない。逆に、支持母体・創価学会に支えられる公明の集票力はさすがとしか言いようがないだろう。

立憲支持層「分かれた方がよい」が65.6%に

先の産経・FNNの調査によれば、立憲支持層の45.4%は「参院や地方の議員も合流」を望んでいるものの、公明支持層を見ると「参院や地方の議員も合流」は5.5%にとどまり、「分かれた方がよい」が65.6%に達している。

現在の高市内閣に対する姿勢とともに、立憲民主党と公明党の支持層の乖離は簡単に埋めることはできないだろう。

中道改革連合から衆院選島根1区に立候補して落選した亀井亜紀子元衆院議員は2月13日、野田前共同代表らについて記者団に「『政権を取るためにはどうするか』ばかりを考えて、自分の政党に対する自信や愛着がないことが一番の問題だ」と痛烈に批判した。

落選した福田昭夫氏や藤岡隆雄氏らも中道改革連合を離党する意向を固め、小川新代表の足元は揺らぐ。今後は衆院選の比例優遇した公明党出身議員への風当たりが強まり、見直す動きも出てくるだろう。

彼らが別の「新党」を結成した場合……

仮に参院や地方の議員も合流するならば、立憲民主党と公明党、そして地方組織にある「資金」をいつ、誰が、どのように集めるのかも課題になるはずだ。

多くの政党では各支部長に月50万円から100万円程度を差配しているが、選挙区から立候補しない公明党出身者にはどうするつもりなのかという「お金の事情」もある。

これから中道改革連合の小川執行部は落選者への対応や政策・公約づくりに多くのエネルギーを割くことになる。だが、当面は中道改革連合として続けるにしても、来年の統一地方選までに参院議員や地方議員を含めた「進路」を決めなければ、厳しい未来を迎える可能性は低くないのではないか。

中道改革連合からの離脱者がさらに増え、彼らが別の「新党」を結成した時、従来の支持層がどちらに向かうのか注目点となりそうだ。

かつての巨大野党と、盤石な組織を誇った政党。その野合とも映る合流劇は、理想を掲げた「中道のかたまり」ではなく、互いの支持基盤を食いつぶし合う「負の相乗効果」を招きつつある。

高市政権の盤石な支持を前に、内紛と資金難、そして支持層の乖離という三重苦に喘ぐ新党に、残された時間は少ない。

来たる統一地方選を前に、このまま泥舟と化すのか、あるいは再び「分裂」という名の原点回帰を選ぶのか。中道改革連合が直面しているのは、単なる党勢の立て直しではなく、存在意義そのものが消滅しかねない「存亡の秋」である。

文/竹橋大吉

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