「答えが合っているのに減点」「勉強嫌いになった原因」SNSで炎上した小学校のテストの理不尽採点…現役教師が語る真の意図
「答えが合っているのに減点」「勉強嫌いになった原因」SNSで炎上した小学校のテストの理不尽採点…現役教師が語る真の意図

回答は合っているのになぜか減点されている――小学校のテストで、こうした経験をした人は少なくない。先日もSNSで、小学校教師の“理不尽採点”が話題になった。

なぜこのようなことが起きるのか。現場の教員に話を聞いた。

教師の採点をめぐってSNSでは非難が集中

「俺の弟の担任ゴミすぎる。さすがに可哀想すぎて草」「我が子はこれで100点満点のはずが97点にされました」という強い批判とともに拡散されて、SNSで話題となったのは、二つのテストの答案用紙だ。

一つ目は国語のテスト。文章を読み、「登場人物」と「彼らが希望した遊び」を線で結ぶ問題で、児童は三つすべてを正しく結ぶことができていた。しかし、それぞれ1点ずつ減点されている。

答案用紙には「じょうぎをつかいましょう」と先生からの赤ペンでの指摘。回答は合っていたものの、定規を使わず線を引いたために減点されたのだ。

もう一つは理科のテスト。「発電機を回すとどうなりますか?」という問いに対し、「光る」と答えて正解……のはずだが、こちらも減点されていた。

理由は句点の付け忘れ。最後に「。」をつけるべきだというのだ。

同様に「回る」といった答えにも赤ペンで「。」が付け足され、減点がされていた。

回答自体は正しいにもかかわらず、回答の仕方をめぐって減点されている答案用紙に対し、SNSでは批判的な声が殺到した。

「あー。これこれ。オレが勉強嫌いになった原因。モチベーション下げるだけで、メリットがどこにあるのかすら不明」
「こういうのあったな…。今思い返しても意味がわからない」
「テストは答えが合ってればOKのはず。書いて無いことで減点は後出しジャンケン」
「こうやって頭の固い大人へと成長していくんだろうな。どうでもいいことで長時間説教するような上司になったり」

問題に正解ができているのに点数が減らされる――多くの人が違和感を覚え、「理不尽採点」として拡散された。

だが、これは単なる“変わった教師”の問題なのだろうか。本当に教師はただの“理不尽”や“押しつけ”をしているのだろうか。関東地方の30代現役小学校教師に話を聞くと、そこには学校教育特有の評価観があった。

「まず、“定規を使っていない”という、国語の減点は私も普通にやりますね。理科のテストの減点は、個人的には少しやりすぎとも思いますが、この先生が変わっている人だとは思いません。正直言ってこの辺は、普段児童に対してどのように指導しているのかで変わります。

私の考えとしては、普段の授業で言及していることについて、できていなければ『△減点』か『バツ』にする。大方の先生は、この基準で丸付けをしています」(30代・小学校教師、以下同)

答えが合っていても「バツ」になるケースとは

つまり小学校のテストでは、単に答えが合っているかどうかだけでなく、普段から言われているルールや決まり事を理解し、実践できているかも測っている面がある。

「小学校のテストは理解度を測るためのものではあるんですが、それだけじゃないんです。人に見てもらうものは丁寧に書く、学んだことをきちんと活かす。社会人になるための基礎を児童に身に付けさせる意図があるのです」

ここに、小学校教育特有の前提がある。中学や高校のテストが“正答率の測定”を主目的とするのに対し、小学校のテストは学習態度の訓練も同時に担う。つまり教師にとって、テストは採点の場であると同時に「指導の場」でもある。

「ほかに具体例をあげると、算数で、“式”と“答え”をそれぞれ回答する問題があったとします。“式”の回答スペースに、“答え”まで書いていたらバツにします。

国語の読解問題で、『文章から抜き出せ』という指示があれば、一言一句同じように書かないとバツ。選択問題も同様に、選択肢と同じ書き方でないとバツです」

教師が見ているのは、正しい回答ができるかどうかだけではない。

「私たちは単純に教科の理解度だけじゃなくて、問題の意図を読み取ってそれに沿う回答ができる力も育てたいという思いで子どもたちに指導しています」

つまり、今回SNSで話題になったのは、意地悪で頭の固い教師などではなく、形式だけでなく普段の態度まで含めて児童を見ている、優しくて柔軟な教師なのかもしれない。

テストの模範解答と照らし合わせ、合っていれば単純に〇をつけていくほうが手間は省ける。人手不足や“モンスターペアレント”の問題もあり、教師も余計なトラブルは避けたいはずだ。それでも一人ひとりの答案用紙を流し見せず、丁寧に確認している教師の努力にも目を向けるべきではないだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部

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