〈東京・武蔵小山〉「ああ、あいつか…」上層部の“とりまき”だった主犯格の男は放火を100万円で依頼、実行犯の男は「バイクがうるさかった」
〈東京・武蔵小山〉「ああ、あいつか…」上層部の“とりまき”だった主犯格の男は放火を100万円で依頼、実行犯の男は「バイクがうるさかった」

品川区小山の連続放火事件をめぐって、不動産会社員・内藤寛己容疑者(31)ら計6人が逮捕された。警視庁捜査1課は地上げを目的とした組織的な関与の有無を裏付けるため、強制捜査に乗り出した。

 

2月20日、捜査1課は内藤容疑者の勤務先である港区赤坂の不動産会社A社などを家宅捜索し、同社社長のスマートフォンなどを押収した。

「極めて収益性の高いプロ集団」として知られていたA社

放火事件は内藤容疑者が主犯格となり、知人関係にある5人に指示を出していたという。

具体的な役割分担として、内藤容疑者が全体を統括し、他の5人が放火の実行役、ライターオイルの準備・調達役、現場までの運転役などを担当したとみられている。

また、一部の実行役が事件後に報酬として現金100万円を受け取っていたという供述もあり、同課は資金の出所や組織ぐるみの可能性もあるとして捜査を進めている。

主犯格の内藤容疑者は、A社内でも特別な立場にあったようだ。A社と取引経験のある企業の担当者は、内藤容疑者について次のように証言する。

「内藤の名前が出たとき、一部の業界関係者は『あぁ、あいつか…』となったはずです。A社の幹部の運転手も務めるなど、幹部の“とりまき”ですから」

また、A社の組織文化についても具体的な証言が得られた。

「“社長の発言が絶対”という典型的な不動産業界のカラーでした。面接時に『酒は飲めるタイプ?』と聞かれることもあり、飲み会やゴルフに積極的に付き合える人間ほど重用される非常に体育会系な文化がありました。

結果的に『濃い体育会系』のノリについていける人間だけが生き残るような会社でした」

A社は、業界内では「極めて収益性の高いプロ集団」として知られていた。同社の財務状況を知る関係者は、その特異な経営実態を指摘する。

「従業員数はわずか28人程度ですが、純利益で年間約4億1200万円を叩き出し、内部留保は約45億円に上ります。

メガデベロッパーを相手に仕入れた土地を高く卸すことで莫大な利益を上げる、まさに『スモールジャイアンツ』です。

自己資本比率も高く、経営面では非常に優秀な集団として通っていました。求人では『未経験から年収1000万円も可能』と謳っていましたが、実際の給与体系は不明です。OJT(On the Job Training)を通じて一から十まで全ての工程を任せるスタイルで若手を鍛え上げていました」

「言われたことは守る子だったんですが……」

内藤容疑者の指示で動いたとされる千布(ちふ)魁容疑者(28)は、埼玉県上尾市で両親2人と計3人で暮らしていた。近隣住民の間では、その印象が大きく分かれている。

年配の女性住民は、驚きを隠さない。

「魁くんはうちの孫とも交流があって、顔を見れば『おはよう』と挨拶してくれる素直な子だと思っていました。『就職決まりました!』と言うから『頑張んなさいよ』と言ったら『はーい!』って。

車やバイクが大好きで、夜中に乗っていることもありましたが、近所から『音がうるさい』と伝わると、それからはピタッと音がしなくなった。言われたことは守る子だったんですが……」

一方で、他の女性近隣住民は異なる印象を語る。

「バイクの音がうるさかった。夜中の12時とか1時でも音を立てて、暴走族か何かかと思っていました。

一家が引っ越してきたのは10年前くらいです。ご近所付き合いも控えめな家でした」

千布容疑者は自動車関係の学校を卒業後、車の販売店などで勤務し、逮捕直前まで「越谷の方まで仕事に行っている」と近隣住民に話していたという。

今回の事件の背景には、現場となった武蔵小山エリアの異常な地価高騰がある。再開発が進む同エリアの地価はこの10年で2倍に跳ね上がり、周辺の坪単価は400~500万円に達している。

「ついこの間も、この裏の土地が坪単価660万円で売れて話題になっていました。地元の不動産業者も『あそこは地価が上がるのは分かっていた。誰もが欲しい土地』と言っていましたね」(武蔵小山の近隣住民)

管理会社および内藤容疑者の計画は、周辺の個人宅やアパートを丸ごと取り込み、部屋数を増やした6階建てのマンションを建設することであった。しかし、1軒の個人宅が立ち退きに反発したことで、計画を実行するための工作は激化した。

「数年前にアパートが空き家になったんですが、地元の業者も『交渉してもどいてくれないから、嫌がらせ的に火をつけたのだろう』と話していました。逮捕前から近隣では『地上げ屋によって放火されたのではないか』とずっと噂になっていました」(前同)

また、一部の実行役が事件後に報酬として現金100万円を受け取っていたとすでに供述している。警視庁では、内藤容疑者の個人的な暴走だけでなく、組織的な関与や黙認がなかったかについて、押収した資料の解析を進めている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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