「あんなのただのメジャーリーガーふるさと大会」球界のご意見番・エモやんがWBCの問題点を斬りまくり「日本人はマジメにやる必要ない」
「あんなのただのメジャーリーガーふるさと大会」球界のご意見番・エモやんがWBCの問題点を斬りまくり「日本人はマジメにやる必要ない」

いよいよ開幕する2026ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。野球ファンは期待に胸を膨らませていることと思うが、大会に関して課題が多いのも事実。

球界のご意見番、“エモやん”こと江本孟紀氏に、WBCの問題点をブッタ斬ってもらった。〈前後編の前編〉

WBCは国際大会じゃない

――まもなく待ちに待ったWBCが開幕ですね!

江本孟紀氏(以下、同) 個人的にはWBCはあんまり興味ないです(笑)。みんななんであれが好きなのかよくわからない。

――では見てもいない?

いや、にわかとは違うからね。毎回現地に見に行ってるよ。

現役時代、阪神で2年間アリゾナキャンプに行った縁で、この時期は休養も兼ねてもう何十年もアリゾナで過ごしてるから、そのついでに観戦に行ってる。前回は(準決勝・決勝がアリゾナから遠い)マイアミだったから行かなかったけど。カネもないし!(笑)

――なのに興味がない。国際大会で盛り上がるのに……。

「国際」って言うけど、予選も含めて30カ国も出てないんだよ。それで国際ってつけていいもんかね。オリンピックやワールドカップは200カ国以上参加してるのに。

一応、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の加盟国は140カ国あるけど、8割はまともに野球なんてやってない。

それに中南米の代表選手は普段アメリカにいるやつらばっかでしょ。これじゃ国際大会じゃなくて、“メジャーリーガーふるさと大会”だよ。

――たしかに(笑)。

まぁ、マジメな話をすると開催時期が悪いわね。アマチュアならいいけど、プロ野球選手は球団に雇われていて、大会に出ることで本職の仕事に影響が出るってなると、内心はそんなに出たくないってなる。

――いつやるのがベストですか?

やらないのがベストだけど、強いて言うならシーズン後の11月とか。

――かつてあったアジアシリーズは11月に開催されてましたね。

一瞬でなくなったけどね(笑)。あれでも今やれば客がいっぱい入るでしょ。今は野球に限らず、イベントやればなんだってお客さんが来てくれるから。

あと、最近よく話題になってるのが保険の問題(※)。保険の額が高くなりすぎてるから仕方がないよね。

関係者はそのあたりをシビアに判断してる。

(※選手が故障をした場合、保険会社がシーズンで離脱した期間中の年俸を肩代わりするシステムだが、審査で適用外とされた選手が故障すると所属球団にとって大きな負担となるため、WBC出場を認めないケースが今大会で多発している)

――ファンとしてはMLBのスーパースターがずらり、とならないのは残念ですが。

そんなの知ったこっちゃない(笑)。難しい問題があって、出ないにはそれなりの理由があることをファンも理解しないと。

井端は監督に適任

――Netflixが独占配信することに関してはいかがですか?

今のご時世しょうがないでしょ。シーズンも地上波でやらないし、もう野球は大衆スポーツじゃない。だって今、入場料ナンボだと思う? WBCなんて10万円も20万円も払って見てるんだよ。たかだか野球に。そんなの大衆スポーツじゃないよ。本来は500円とか1000円で見せてあげるよってものなんだから。

NetflixもNPBも球団も金になるってわかってるから値段が上がってるわけで、月に数千円も払えないやつは見なくていいよってこと。

――最近では需要によって価格が変動する「ダイナミックプライシング」なんかもファンから不評ですね。

あんなのインチキだよ(笑)。

最近は何でもそうやってもっともらしいことを言って、横文字つけてインチキやる社会になっちゃったから。それなのにみんな文句も言わずにお金を払う。どこが不景気なのかね。羨ましいよ。消費税を減税する必要なんてないでしょ。

――(笑)。侍ジャパンについてお伺いいたします。今大会の指揮を執るのは井端弘和監督、人選としてはいかがですか?

大会で故障されたら大変だから、選手にガンガンやらせる星野(仙一)さんみたいなタイプより、栗山(英樹。前監督)や井端みたいな、選手に気を使えるタイプのほうがこういう大会の監督には向いてると思うよ。

王(貞治。第1回監督)さんや原(辰徳。第2回監督)はネームバリューがあるから選手に遠慮する必要がなかったからね。

――侍ジャパンの結果はとくに興味がない?

WBCなんてMLBとその選手会が儲かるだけの大会だから、日本選手が真剣にやるのはバカバカしい。シーズンの調整と思って臨めばいいと思うよ。まぁ、そこで目立てば、メジャーへの就活みたいになるかもしれないけど。

――日米の年俸差が年々開いていってますしね。

そりゃみんなアメリカに行きたがるよ。日本はひとつの企業が球団を運営してるけど、アメリカは金持ちのオーナーが何十人も集まって金を出してるから、出せるお金の規模もケタが違ってくる。

俺は前から言ってるんだけど、日本も共同出資みたいな形に変えればいい。極端な話、阪急、阪神、近鉄、南海、京阪が共同で大阪タイガースをつくったらすごい金になる。まあ、そもそも阪神タイガースの親会社の阪神電鉄も阪急電鉄も、阪急阪神ホールディングス傘下なんだけど。

巨人だって、読売新聞だけじゃなく、朝日や毎日も一緒になったら出せる年俸の額も変わってくるはずだよ。

村上と岡本はメジャーで活躍できる

――今シーズンのメジャーで注目なのは、ともにポスティングシステムでヤクルトからホワイトソックスへ行った村上宗隆選手と、巨人からブルージェイズに行った岡本和真選手ですね。

彼らが成功しないと今後、メジャーは日本人スラッガーにポスティングで高い金払って取らなくなるから、彼らの役割は重要だよね。

村上だって譲渡金は10億円くらいでしょ。少し前なら100億円いってもおかしくなかった。

2人そろってダメだったら、もうメジャーはポスティングで大金を払ってまで取りませんよ。かといって海外FAまで待つと、旬を過ぎてて価値が下がる。

まぁ、俺は日本の野球が栄えればどうでもいいんだけど、稼ぎたいやつが稼げる道は残してあげてほしい。

――実力的に活躍できると思いますか?

実力的にはふつうにやれると思うよ。大谷(翔平)みたいに50本以上打つのは難しいけど、40本を目標にしてもらいたい。20~30本じゃダメだね。

――ちなみに、昨今は国内でも日本シリーズよりワールドシリーズのほうが話題になっている現状がありますが……。

2、3年前までドジャースも知らなかったおじいちゃんおばあちゃんがみんな「ドジャース、ドジャース」って言ってるからね。そんなのは無視して野球ファンは、日本は日本でちゃんと注目してあげればいいんですよ。

――ということで、後編では今シーズンのプロ野球についてお伺いします!

(後編に続く)

取材・文・撮影/武松佑季

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