〈旭川・女子高生殺害〉全裸にし撮影、橋の上で土下座強要…内田梨瑚「死ぬなら私のいないところで」舎弟・小西優花「リコさんが押した」矛盾する二人の供述、争点は【公判前整理手続きスタート】
〈旭川・女子高生殺害〉全裸にし撮影、橋の上で土下座強要…内田梨瑚「死ぬなら私のいないところで」舎弟・小西優花「リコさんが押した」矛盾する二人の供述、争点は【公判前整理手続きスタート】

2024年4月、北海道旭川市のつり橋から女子高生のAさん(当時17歳)が転落、殺害されたとされる事件で、殺人罪などの罪で起訴された内田梨瑚被告(23)の第1回公判前整理手続きが、今年3月3日に旭川地裁において「非公開」で行なわれた。

 

今回の手続きで、内田被告の裁判員裁判が5月25日から行なわれることが決まった。

筆者は、これまで共犯とされる小西優花受刑者(21)=懲役23年の実刑判決が確定=の全6回にわたる裁判員裁判を傍聴してきた。それをふまえて法廷で読み上げられた内田被告の供述調書などを振り返る。

内田被告は3つの罪で起訴

小西受刑者の裁判員裁判によると、事件現場は旭川市内有数の景勝地として知られる石狩川の渓谷の神居古潭(カムイコタン)にかかる神居大橋。四季折々の景色が楽しめることから観光客に人気の橋だ。そんな場所でAさんは殺害されたと見られている。

また、内田被告の起訴状によると、内田被告は3つの罪で起訴されている。

【監禁罪】
小西受刑者、B(当時16歳)、C(当時16歳)と共謀して、2024年4月18日から翌19日未明にかけて、留萌市内から旭川市内までAさんを車に監禁して連れ回したとされる。

【不同意わいせつ致死罪】
小西受刑者と共謀して、旭川市・神居古潭の神居大橋付近でAさんを全裸にさせて動画を撮影しわいせつな行為をしたうえで、死亡させたとされる。

【殺人罪】
同じく小西受刑者と共謀して、殺意をもって、極度に畏怖していたAさんを橋の欄干に座らせて「落ちろ」「死ねや」と繰り返し脅して川に転落させ殺害したとされる。

残忍な犯行に駆り立てたきっかけ。それは、AさんがSNS上に転載した、たった一枚の写真だった。

その写真は、内田被告がラーメンのどんぶりから麺を箸で持ち上げた様子を捉えたもの。顔のほとんどが隠れていたその写真を、撮影者であるCがSNSに投稿した。

Cとフォロー関係にあったAさんが「いい写真だ」と思い、自身のSNSに無断で転載。内田被告は当時、面識がなかったAさんが無断で転載したことに憤慨し犯行に及んだとされている。

小西受刑者の裁判の検察側冒頭陳述や判決などによると、犯行状況は次のとおりである。

<2024年4月18日>
21時ごろーー
Cは、内田被告にAさんが写真を無断で使用していると報告する。内田被告は、すぐさま電話をするよう要求するメッセージをAさんのSNSに送信。Aさんは、電話で内田被告に対し謝罪をしたが、示談金として50万円支払うよう内田被告に要求された。

また、内田被告はBを呼び出して旭川駅前で合流。その後、内田被告とAさんは電話で留萌市内の「道の駅 るもい」で集合することを約束する。内田被告はBを同乗させて、旭川市内から留萌市内に向けて車を出した。

23時30分ごろーー
留萌市内でAさんを発見すると、内田被告はAさんを車に同乗させた。旭川市内に戻るように車を走らせ、車中では内田被告がAさんに暴行を振るうなどしていた。

検察側は、このころから監禁の罪が始まったと指摘する。

<翌19日>
1時21分ーー
問題の写真を撮影したCが合流。旭川市内の駐車場で内田被告は、Aさんを土下座させて謝罪動画を撮影。そのとき、内田被告はAさんの顔面を殴打した。

2時33分ーー
小西受刑者が合流。その際、内田被告からの指示で、Aさんに口止めを求める誓約書を作成して持参した。車中で内田被告は、Aさんに示談金として50万円を月5万円ずつ分割で払うように要求している。

3時06分ーー
Bを自宅まで送り届けた後、内田被告らを乗せた車が市内のコンビニに着く。このコンビニ内でAさんが店員に対して助けを求めるも内田被告に遮られ、その後コンビニ駐車場にて小西受刑者から暴行を受けた。

内田被告は、途中立ち寄ったコンビニなど3店舗でAさんのスマホを操作し、タバコ等を約9万5000円分、電子決済で購入した。

3時29分ごろから同48分ごろーー
Cを知人宅まで送り届けた後、内田被告と小西受刑者の二人を乗せた車が神居古潭に到着。車内でAさんを全裸にさせたうえで、神居大橋まで移動すると、その場で土下座させて謝罪動画を撮影した。その後、Aさんを欄干に座らせると「落ちろ」「死ねや」などと脅して、川に転落させたとされている。

事件から約1か月が経った5月21日、神居古潭から下流約60キロの空知郡奈井江町内の石狩川で、Aさんの遺体が発見された。

内田被告が「弟分」の裁判に出廷

ここまで内田被告と小西受刑者が共に犯行に及んだのには、ヤクザ社会を彷彿とさせる「舎弟」の関係があった――。

検察側の冒頭陳述によると、事件の起きた4月、小西受刑者がSNSで仕事を募集したところ、顔見知りだった内田被告が「リコの舎弟」とコメントをつけた。小西受刑者は「リコさんの舎弟ならいいかもとか考えちゃいました」と返信し、ふたりは「姉貴分と舎弟」の関係になった。

そんな「舎弟」の裁判に内田被告が証人として出廷したのは、昨年3月の第3回公判のことだ。

職員に連れてこられた内田被告は、黒色のタートルネックのセーターに黒色のズボン姿。入廷時に、肩で風を切るような颯爽とした歩き方で、特に鋭い目つきが印象的だった。

さっきまで傍聴人の出入りで騒がしかった法廷が、水を打ったように静まり返った。

公判が開廷すると、裁判長は内田被告を証言台に立たせ、「嘘を言わない」などと記載された宣誓書を読むように促した。すると、内田被告はこう発言した。

「同じ内容の(自分の)裁判を控えているので、ここでは話したくありません」

裁判長が宣誓するように何度も命じたが、拒絶しつづける内田被告。開廷からわずか5分で一時休廷となった。それ以来、内田被告が再び法廷に姿を現すことはなかった。

審理が再開した後、検察側が証人尋問の代替措置として、内田被告の供述調書などの書証を読み始めた。

これらの書証によると、内田被告の裁判における最大の争点は「内田被告がAさんを殺害したか否か」という点であろう。

内田被告の供述調書によると、小西受刑者とAさんを車に乗せて神居古潭まで行ったことや、Aさんを車内で全裸にさせて神居大橋の欄干に座らせたり、Aさんに土下座をさせて動画を撮影したりしたところまでは認めているようである。

だが、内田被告はAさんの殺害を否定している。

内田被告が全裸のAさんを欄干に座らせた後、川に転落したのはAさんの「自殺」によるものだと主張。供述調書の記載は以下のとおりである。

<私はAに「死ぬなら私のいないところでやって」と言いました。自力で帰れるようにするため、Aの携帯とAから受け取った1000円札4枚をその場において、優花(小西受刑者)の手をとって走って車に戻りました。「キャッー」という女の子の声が聞こえた数秒後に「ダンッ」という音が聞こえました。自殺したのだと思います>

「このままだと真実が闇に消されてしまう」

一方で殺害を認めている小西受刑者は、第4回公判に行われた被告人質問において、犯行の詳細を供述した。

神居大橋では終始、姉貴分である内田被告の指示で全裸のAさんを土下座させたり、スマホで謝罪動画を撮影したと振り返る。その後、Aさんを川の方を向いて橋の欄干に座らせると、内田被告と小西受刑者はAさんの肩などを押した。

橋の欄干の外に立つ形になったAさんは、両手を広げて深呼吸を一回したという。

証言台に座った小西受刑者は涙を流し、小声ながらもはっきりと、内田被告が殺害したと告白した。

「(Aさんは)川の方に向かって倒れていきました。その時、梨瑚さんが(背中を)押していました」

Aさんは橋の上から姿を消した。直後、小西受刑者が下を見ると、橋を吊り下げるロープか何かにつかまっている片方の白い手を見つけた。Aさんの手だった。小西受刑者はとっさに手を差し伸べたが、届かずにAさんは「キャッ―」と悲鳴をあげて川へ転落していったという。

犯行後、内田被告は小西受刑者の手をとると、駐車していた車に戻っていった。

神居大橋から離れる車中で、内田被告からLINEのメッセージを削除したり、やり取りを偽装するように指示されたと述べた。

小西受刑者は、弁護側に内田被告との供述の食い違いを確認されると、このように発言した。

「今も(内田被告が)少し怖いですが、最後に押したのは梨瑚さんでした。『黙秘しろ』と言われていたのに本当のことを話したら何をされるか分からない。

ただ、警察官から梨瑚さんの供述を読ませてもらったら、セリフや行動が全てウソで、このままだと真実が闇に消されてしまうと思い、本当のことを話しました」

2025年3月7日に言い渡された判決では、小西受刑者の殺害行為を認定した上で、「犯行で果たした役割の大きさは、内田と比較すれば、やや小さいといえる」として、懲役23年が宣告され、その後確定している。

今回の手続で、内田被告の裁判に、証人として小西受刑者も出廷する予定となった。あの日、神居古潭であった事実は、内田被告の口から語られるのだろうか。

※「集英社オンライン」では、今回の事件についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news

取材・文/学生傍聴人

編集部おすすめ