東京都大田区東海の公道において、複数の車両でドリフト走行や蛇行運転を繰り返したとして、警視庁交通執行課は3日、道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで、ブラジル国籍のヨシカワ・マルセロ・ユウジ容疑者(27)ら男5人を逮捕した。現場では暴走の最中に見物客の男性2人がはねられる重傷ひき逃げ事件も発生しており、公道を「聖地」と称して暴走を常態化させていたグループの実態が捜査で浮かび上がっている。
「サーキットでは満たされない。ストリートでやることに意味がある」
「道路でドリフトしたらダメよ~ダメダメ!」
お笑いコンビ「日本エレキテル連合」の橋本小雪は3日午後、自身のSNSにこう投稿した。背景には、ドリフト行為で逮捕された事件が絡んでいる。
道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで逮捕されたのは、自営業を営むブラジル国籍のヨシカワ・マルセロ・ユウジ容疑者(横浜市旭区川井宿町)のほか、千葉市若葉区の会社役員でドリフトチーム「日本マジキテル連合」代表の長谷川健太容疑者(32)、川崎市川崎区のアルバイト・築地天人容疑者(28)ら計5人。
警視庁によると、5人は共謀の上、昨年12月27日の午前2時ごろから約15分間にわたり、大田区東海4丁目の公道において、普通乗用車5台を連ねてタイヤを滑らせながら走行する「ドリフト走行」や、蛇行運転、赤信号の無視などを繰り返した疑いがもたれている。
現場周辺には当時、30人から40人ほどの見物客が集まっており、容疑者らはこれらのギャラリーの前でパフォーマンスを誇示するように周回走行を続けていた。
この「暴走行為」は、凄惨な人身事故を伴っていた。5人のうちのひとりである築地容疑者は、ドリフト走行中にハンドル操作を誤り、沿道で見物していた20代の男性2人に衝突。男性らは足の骨を折るなど全治3カ月の重傷を負ったが、築地容疑者は負傷者を救護することなくそのまま現場から逃走した。
ヨシカワ容疑者は「ドリフト界のカリスマ」
築地容疑者は昨年12月、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いですでに逮捕されている。
「捜査関係者によれば、逮捕された一人は調べに対し、『サーキットでは満たされない。ストリートでやることに意味がある』と、公道を暴走することへの異常な執着を隠さなかったといいます。また、別の容疑者に至っては、なぜあのような危険な場所を走ったのかという問いに対し、『そこにドリフトコースがあるから』と、公共の道路を自分たちの遊び場と履き違えたかのような供述をしているそうです」(社会部記者)
ヨシカワ容疑者は「ドリフト界のカリスマ」と称され、SNS上で公道やサーキットでの走行を継続的に発信していた。
「この『日本マジキテル連合』というグループは10年以上前から活動しており、表向きは正規のレース場で大会を主催するなど知名度を得る一方で、その裏では夜な夜な公道を『聖地』として私物化し、危険な暴走を繰り返していたのです。グループのSNSでもその暴走の様子を誇示するように発信し続けてきました」(同前)
認否について、ヨシカワ容疑者は「現場でドリフトをしたが、他の人とはしていない」と供述し、容疑を一部否認している。他の被疑者のうち4人も同様に「他の人と一緒には走っていない」と述べている。
以前は髪の長いギャル男風のリーダー「ハセケン」
逮捕された長谷川健太容疑者は、ドリフトチーム「日本マジキテル連合」の代表者であり、2018年10月に自動車整備工場を開業していた。
「長谷川容疑者は『ハセケン』と呼ばれており、以前は髪の長いギャル男風の風貌でした。18歳で車の専門学校へ通い始めたことで車に傾倒し、日産の名車を乗りこなしていました。19歳からドリフトを始め、20歳で整備士として就職した際にチームを立ち上げたそうです。その後、25歳で後輩を連れて独立し、自宅兼会社として整備工場を設立しました。タイヤ交換から改造まで幅広く手掛け、『なんでもやる』と豪語。改造車の車検を無理やり通していたとも聞いています」(ドリフト族関係者)
長谷川容疑者が率いるチーム「日本マジキテル連合」は走り屋の間で有名であり、Instagramのフォロワー数は7万人を超え、オリジナルグッズが配られるほどの人気を博していた。サーキット場ではチーム主催のレースを開催し、審査員に現役プロドライバーを招くなど、その知名度は高かったという。
こうしたチームの人気を支えていたのが、グループの関係者とされているヨシカワ・マルセロ・ユウジ容疑者だった。
「ユージがブラジル国籍だとは知りませんでした。彼は世界的に有名な走り屋で、SNSのフォロワー数は11万人を超えています。訪日した外国人観光客が彼と記念写真を撮ることもあり、SNSにあげた動画は4600万回再生を記録するほどです。彼を目当てに地方から見物に来る人もいました」(同前)
ヨシカワ容疑者のSNSには、公道でドリフトを繰り返し「批判は受け付けません」と題した投稿も見られる。公道を「聖地」と呼び、他人の命を危険にさらしたカリスマの末路。
道路は遊び場ではないことは子どもでもわかっていることなのだが――。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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