熊本県が県営住宅の入居者を増やそうと、「ペット飼育可」の部屋の入居希望者を募ったところ、初日から予想を上回る申し込みが相次ぎ、募集は急きょ停止となり、うれしい悲鳴が上がっている。公営住宅の大半はペット禁止だが、今回は県営住宅の住民が方針変更を県に求めた形だ。
「こんな現象は過去になかった」問い合わせが殺到
「反応は驚くほどで、ここまで申し込みが多いのは予想外でした」
熊本県住宅課の担当者がそう話すほど入居希望者が多く出たのは、熊本市西区にある県営小山田団地の8室だ。
ペット飼育可という条件にしたところ、3月2日午前の入居申し込み開始から次々と問い合わせが入り、部屋数の2倍程度まで増えたところで県は受付を止めた。「こんな現象は過去になかった」(担当者)という。
民間の賃貸住宅入居が難しいなど住宅困窮者に住まいを供給するため自治体が運営する公営住宅では、介助犬などを除きペットの飼育は禁じられているところが大半だ。動物アレルギーがあったり動物が苦手だったりする人がいる上、鳴き声やフンなど他の入居者とのトラブルの種になる可能性があるからだという。
これまでこうした対応をとって来た熊本県が今回方針を変えた。これについて住宅課担当者は、
「全国的な傾向と同じく熊本でも公営住宅の入居率が8割前後にとどまり、高齢者世帯が多くを占めています。
入居率を上げ若い人にも入ってもらうための検討をしてきたところ、入居率がかなり低い小山田団地の自治会から『入居率を上げるためにペットと共生させてほしい』という要望がきたんです。
それで県でも調べてみると、ペットと暮らすことは家にこもりがちの高齢者の外出機会を増やして孤立を解消し、癒しの効果もあることが分かりました。ペットを飼う若い世代の入居も期待できます。
また熊本県は“動物愛護・日本一”を目指していることもあり、19棟ある小山田団地の中で3棟だけをペット飼育可とする試みを始めました」
と話す。
住民が減り続ける団地…自治会長が考えた最後の一手
そこで小山田団地の自治会長・惠濃政明さん(79)に要望を出すまでの経緯を尋ねてみた。
「この団地は19棟に計202戸ありますが113世帯(56%)しか入居していません。
夫婦の入居は28世帯ありますが、ほとんどが後期高齢者で散歩もままならない人が多く、この3年間、毎年10人ずつ亡くなったり施設に入ったりして住民が減り続けています。
このままではあと数年で入居率が50%を割ることは確実で、自治会の運営にも支障をきたします。それを待ってるわけにはいきません。カネがかからない対策は何だろうと考え抜いた末に『ペットはどうだろう』と思いついたんです」(惠濃さん)
2023年に自治会長になった惠濃さんは、他の役員や別の自治会関係者ともペット同居の可能性を話し合ったという。賛同する人は多かったが「そうしたいけど県はなかなか許可しないだろう」との声も出たという。
「そこで24年11月に小山田団地の入居者にアンケートをしました。すると8割が賛成してくれました。
『(世帯が減って)子ども会も解散し、赤ちゃんの泣き声も聞こえず寂しい』という声や、『自分は高齢で(ペットを)養うことはできないが、養う人が入ってきてくれるのはウェルカムだ』という声もありました。
その声を携えて去年6月に要望書を出すと、県に受け取ってもらえたんです」(惠濃さん)
そこから県と自治会の協議が始まり、県は改めて入居者の考えを確認。その結果、①全世帯がペット飼育可とすることに賛成し、②動物アレルギーなどの疾患のある入居者がおらず、③ペット飼育を希望する入居者がいる――という3条件がそろった棟で試験的にペット同居を認めることを決めた。
この3条件を備えたのが19棟の中の3棟(計24部屋)で、10ある空室のうち修繕中の2部屋をのぞく8部屋の入居募集をかけると一瞬で埋まったというわけだ。
「狂犬病の予防注射やマイクロチップの装着を飼い主に求めたりする内容の県の要綱を新たにつくり、自治会もペット飼育の規則を新設しました。また飼い主は『ペットクラブ』に入り、その会則も守らなければなりません。
こうした新たなルールづくりとともに住民説明会も行ない、試行対象の3棟の住民からはペット飼育者が入居することへの同意もいただきました。今後1年くらい試行期間を設け、見えてきた課題を研究します」(県住宅課)
「小山田団地が抱える課題は全国の団地と共通のもの」
公営住宅情報を提供するサイト「公営住宅ガイド」によれば、ペット飼育可能な公営住宅を運営する自治体は、熊本県を除けばすでに全国に4府県と14市町ある。
ただ、このうち東北の岩手、福島両県や7市町の多くは2011年の東日本大震災の被災者がペットを連れ復興住宅に入居したいと希望したことで飼育を認めた経緯がある。
その一つの仙台市では「震災から間もなく15年で被災者が退去した部屋もありますが、その後に入居する方もペット飼育が可能です」(市営住宅管理課)という。
また兵庫県は1995年の阪神淡路大震災の3年後に入居が始まった県営住宅の一部の部屋で被災者の声を取り入れ飼育を可能とした。大阪府は2005年に入居者からの要望を基に「心に平穏をもたらし生活に潤いを与える」と理由で一部の部屋でのペット共生を条件付きで認めている。
今回熊本県は「高齢化」や「入居者減」という衰退への対応として県レベルで初めて公営住宅でのペット同居を認めた形だ。
県への要望が通った惠濃さんは、
「入居希望者が出るとは予想しましたが反応は想像以上でした。変更を認めてくれた知事には感謝しています。
と話す。
“新住民”の犬や猫は地域を変えられるか。小さな団地の実験は要注目だ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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