1959年の放送開始以来、多くの子どもたちに元気を届け続けてきたNHKの教育エンターテインメント番組『おかあさんといっしょ』。2019年4月に初代「体操のお姉さん」に就任した“あづきお姉さん”こと秋元杏月(29)が、この3月をもって卒業することを発表した。
そんな杏月お姉さんに番組での思い出や子どもたちとのエピソード、そしてこれからについて話を聞いた。〈前後編の前編〉
新体操の恩師の言葉をきっかけにオーディションに応募
――3月28日の放送を最後に『おかあさんといっしょ』のご卒業を発表されました。初代「体操のお姉さん」に就任されてからの7年間は長かったですか?
秋元杏月(以下同) すごくあっという間でした。本当に楽しくて幸せな日々でしたね。
――卒業を決断されたきっかけは何かあったのでしょうか。
大きなきっかけがあったわけではないのですが、活動を続けていく中で、少しずつ「そろそろ次のステップに進みたいな」と考えるようになりました。
自分で決断したとはいえ、やはりみんなに会えなくなるのは寂しいなと思ったりはするのですが。
――ご家族に卒業の話をされたときはどんな反応でしたか。
「そうかと思った」と言われましたね。私は全くそんな話はしていなかったんですけど。でも「お疲れ様」という温かい言葉をかけてくれました。
――もともとは、どういったきっかけで番組に応募されたのでしょうか?
私は子どもの頃から新体操をやっていたのですが、舞台を観ることも好きで、宝塚歌劇と出会ったことがきっかけで、将来は表現するお仕事をやりたいと思っていました。
テーマパークのダンサーオーディションを受けるなど、いろいろなチャレンジをしていく中で、私がちょうど悩んでいた時期に、新体操の恩師が「こういうオーディションがあるよ」と話をくれたんです。
――見事オーディションに合格され、2019年4月に初代「体操のお姉さん」に就任されました。最初は緊張されましたか?
やはり入った当初はいろいろなことに緊張しました。でも今思い返すと全てが初めてのことばかりで、「楽しい!」という思いのほうが強かったです。
とはいえ、子どもたちが来てくれる収録や、体操のお兄さんと2人で地方に行って子どもたちに会うという収録では毎回緊張していました。
「あ・そ・ぎゅ~」の収録は「毎回本当に幸せでした」
――番組では「からだ☆ダンダン」「オタマジシャン」など、さまざまなコーナーに出演されました。一番好きなコーナーは?
それぞれに良い思い出がありますが、中でも「あ・そ・ぎゅ~」という子どもと一緒にやるコーナーは印象に残っています。
最初はカメラの外で子どもたちが待ってくれていて、私とお兄さんが「おーい」って呼ぶと来てくれるんです。
みんなが笑顔で私の元に走ってきてくれる瞬間は、毎回本当に幸せでした。「幸せとはこういうことか!」と思うくらい。
――番組に参加する子どもたちへの接し方は何かマニュアルなどがあるのでしょうか?
特にマニュアルなどはありません。収録の段取りに関する部分などは、これまでの積み重ねの中でブラッシュアップされて完成されたものではあると思います。
ただ子どもへの接し方や声のかけ方は、お兄さんお姉さんによって方法もそれぞれだと思います。
私の中では、特にあつこお姉さん(小野あつこ、第21代歌のお姉さん。2022年4月に卒業)の子どもへの声のかけ方はすごく素敵だなと思って、参考にさせていただいたりしました。
――例えばどういった声のかけ方でしょう?
収録に参加するお子さんの中には、なかなか保護者の方から離れられない子もいます。
まずはおうちの方と一緒にスタジオの中に入っていただいて、少しずつ慣れていただくという時間があるのですが、そこであつこお姉さんは自分の友だちと話すような雰囲気で接していたんです。
「お洋服すごく可愛いね」「どこから来たの?」とか「好きな食べ物は?」とか。それを見て「真似しよう!」と思いましたね(笑)。
あつこお姉さんとご一緒させていただいた時はすごくお世話になりました。卒業される際は一緒に旅行に行きましたね。今でもたまに連絡を取ったりしています。
コロナ禍での収録は「目の前にいる子どもに伝えることをより意識しました」
――ほかの共演者とのエピソードについてもうかがいます。杏月お姉さんといえば、誠お兄さん(福尾誠、12代体操のお兄さん。2023年4月卒業)とのタッグの印象が強いですが、卒業されるときに何かプレゼントされたのでしょうか?
誠お兄さんが出演される最後のコンサートの日に、誠お兄さんが好きな金色の封筒でお手紙を渡しました。
――ゆういちろうお兄さん(花田ゆういちろう、12代歌のお兄さん)はどんな存在ですか?
ゆういちろうお兄さんは「ここぞ」という時に的確なアドバイスをくださいます。私がちょっとうまくいかなかったなという時なんかにポンって連絡をくださったりして、周りをよく見ている方です。
コロナ禍の子どもたちがいない収録で、スタジオの空気が少しかたいようなときに、場を和ませてくださったことが印象に残っています。
――後輩にあたる和夢お兄さん(佐久本和夢、13代体操のお兄さん)は?
和夢お兄さんが2023年に就任した時に、「何かあった時に頼れる存在でいたいからしっかりしよう」と思っていたんです。でも初年度からすごくしっかりされていて…。「ずっと一緒にやってたのかな?」というくらい安心感がありました。
「スペシャルステージ」や「ファミリーコンサート」では2人でチャレンジする場面があるのですが、毎回私は不安になって、ネガティブなことばかり考えてしまうんです。でも和夢お兄さんが「大丈夫です、大丈夫です」って言ってくれるので、いつも助けられていましたね。
和夢お兄さんが怪我でお休みされて復帰して戻ってきてくれた時に、改めて和夢お兄さんの存在感を感じました。
――先ほどのお話にもありましたが、杏月お姉さんが就任されてから間もなくコロナ禍になりました。スタジオにも子どもがいないときがありましたね。
「どうすれば子どもたちに楽しい放送を届け続けられるのだろうか」ということを、スタッフの皆さんも考えてくださっていました。そこに私も力を合わせて頑張ろう、という気持ちでのぞんでいましたね。
やはり子どもたちがいない収録は、使うエネルギーも全く違いました。それは、コロナが収束して子どもたちがスタジオに戻ってきてくれた時に、より感じたことでもあったのですが。
コロナ禍の収録では、画面を通してではありますが、「目の前にいる子どもに伝える」ということを、より意識していました。きっとみんなそうだったと思います。
〈後編に続く〉
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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