現職が圧倒的に有利とされる知事選で、異例の結果が起きた。3月8日投開票の石川県知事選で、自民党などが推薦した現職の馳浩氏が、無所属新人の山野之義氏に敗北。
現職有利とされる石川で「1期で落選するのは極めて異例」
3月8日投開票の石川県知事選挙において、無所属新人の山野之義氏(元金沢市長)が、自民党・日本維新の会推薦の現職である馳浩氏を破り、初当選を確実にした。長年「知事多選日本一」と言われる石川県において、現職が1期で落選するのは極めて異例である。
その主な敗因としては、能登半島地震における県の初期対応に対する有権者の厳しい評価、与党支持層の票の流出、そして無党派層からの支持離れが挙げられる。
詳しくみていこう。
石川県は前知事の谷本氏が7期28年、その前の中西知事が8期31年を務めた「知事多選日本一」の県である。現職知事が1期だけで落選に至るのは異例の出来事だ。
現職は知名度やこれまでの行政実績、盤石な支援組織を持つため選挙戦において圧倒的に有利とされるのが一般的だが、今回はその常識が完全に覆る結果となった。
災害対応の評価や復興の進め方が最大の争点の一つに
この異例の政変の最大の背景として、朝日新聞(3月8日)は、「能登半島地震への対応のまずさがあることは疑いない」と報じている。2024年に起きた能登半島地震や奥能登豪雨後、初めての知事選となった今回、災害対応の評価や復興の進め方が最大の争点の一つであった。
石川県防災会議が2024年10月にまとめた公的な報告書「能登半島地震における対応の検証結果」において、県自身の対応について厳しい自己評価が下されている。
報告書には「県が救助の実施主体という意識、全庁体制で災害対応を行うという意識が欠如し、対応が受け身」「組織横断チームを編成し、臨機応変に対応するも、危機部局の権限が不明確」「執務スペースが狭隘であった結果、関係者が一堂に会する場所がなく、情報の一元化・分析・整理が困難」といった厳しい文言が並んでいる。
専門人材不足と支援団体との連携不足
同資料には他にも「応援団体の活動調整等を行うことができる防災の専門人材が不足」「被災者の生活支援の実績を持つ災害支援NPOなど民間支援団体との連携が不足」などが指摘されている。
こうした厳しい指摘に対し、馳知事は東洋経済オンライン(2026年1月10日)のインタビューで反論と釈明を行っている。
県職員の意識が欠如し受け身だったという点については、「大地震が起きたときに県のどの部局が何をするかというマニュアルがなかったのです。ですから、実際に大地震が発生しても職員は動き方がわからない。動きようがなかったんです」と語り、過去27年間被害想定が見直されていなかった県の背景を主張した。
また、危機部局の権限が不明確だった点には、「独立した部にするほど大きな組織ではなかったので、各部局との連絡調整が多い総務部内に危機管理監室を位置づけたのです」と説明している。
さらに、被災地への訪問が遅れたことや現地対策本部を設置しなかったとの批判に対しても、知事は自らの行動を説明している。「発災翌日の朝7時6分から、消防防災ヘリで2時間かけて被災地をすべて回り、すさまじい状況を目の当たりにしました」と初動の早さを強調した。
開設初期に間仕切りが設営できず雑魚寝が発生
その上で、現地に対策本部を置かなかった理由を「自分が被災地に入れば、市町の関係者が応接に手間を取られ、災害対応が滞る懸念があった。だから知事室に泊まり込んで、24時間体制で陣頭指揮を執ったのです」と反論している。
また、「甚大な被害が1自治体ではなく、6市町の広範囲に及び(中略)現実的に難しかった」とし、「指揮命令系統が(中略)国の対策本部につながることにもなり、混乱が予想された」と当時の判断の妥当性を主張した。
報告書は被災者支援についても、県の想定不足を指摘している。
県も支援される側という意識から、主体的な活動調整を行う意識が欠如していた、広域避難が必要な場合の想定が希薄であり、避難を希望する方は指定避難所に全て避難できるという固定観念があった、さらに長期的なライフライン途絶による長期間の生活支援の想定も不足しており、開設初期に間仕切りが設営できず雑魚寝が発生した…
これらについても馳知事は、当時の法制度の限界を反論として挙げている。
経験と人脈を駆使して国政を動かしたと強調
「法制度が、被災した人は指定避難所に入るものと想定しており、自宅などに自主避難している人には支援が行き届かなかった」と語り、災害対策基本法に福祉の観点が抜けていたと指摘した。
さらに、過酷な環境となった1.5次避難所についても、「もともと1.5次避難所は(中略)一時的なトリアージの施設として立ち上げました」「ところが開所すると、介護が必要な高齢者がどっと入ってこられた」と語り、想定外の事態であったことを強調した。
その上で、国の支援制度の壁に対しては自らの政治力を活かしたと胸を張る。「被災者生活再建支援制度では、住宅の再建に対して最大300万円しか支給されないことになっていましたが(中略)岸田首相に電話し、直談判しました」と明かし、結果として高齢者や障害のある世帯には特例的に最大600万円まで支給されることになった成果をアピールした。
また、問題視された災害対策基本法についても、「25年5月の法改正で、『福祉サービスの提供』が法律として明文化されました。私たちも、この改正を国に強く働きかけました」と述べ、自身の経験と人脈を駆使して国政を動かした実績を強調している。
報告書ではこのほかにも、災害広報においてデジタルになじみのない高齢者に情報を届ける仕組みが欠如していた点や、デジタル技術の活用において紙ベースの入所者管理が多くデータ化に苦慮した点が検証されている。様々なデータを各団体ごとに収集・保有する中で、名簿等個人情報の共有にも時間を要したことが明らかになっている。
知事に対する県民の不満や不信感が選挙の敗北に直結
このように知事からの明確な反論や法的な限界の主張はあったものの、災害時における初動の遅れや県の想定不足が公的な検証結果として詳細に記録された事実は重く、結果として、トップである知事に対する県民の不満や不信感が選挙の敗北に直結したとみられる。
政党の支持動向からも、現職の敗因が明確に読み取れる。馳氏は自民党の県連から推薦を獲得し、全面的にバックアップを受けて戦ったほか、日本維新の会からも推薦を受けていた。しかし、TBS NEWS DIG(3月8日)が報じた出口調査のデータによれば、この巨大な組織戦が機能不全に陥っていたことがわかる。
強固なはずの組織票をまとめきれずに流出
まず自民党支持層の動向について、馳氏は6割以上を固めたものの、逆に言えば残りの層をまとめきれず、山野氏が3割以上の支持を獲得した。報道では、馳氏の足元の支持が一定数、山野氏にも流れた状況であったと指摘されている。
さらに日本維新の会は党として馳氏を推薦したにもかかわらず、出口調査では山野氏が6割近くの支持を固め、推薦したはずの馳氏を上回る結果となった。
そして勝敗の鍵を握る、支持する政党のない無党派層においても、山野氏が6割近くの支持を固めるに至った。
約340団体の推薦を受け、巨大な組織戦を展開した馳氏に対し、山野氏はボランティアを核とした市民参加型の運動を展開したと朝日新聞は報じている。強固なはずの組織票をまとめきれずに流出したうえ、無党派層の大きな支持が新人の山野氏へと向かったことが、現職敗北の致命傷となったのである。
文/小倉健一

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