「何十年ぶりの光景」山火事と思うほどの花粉がSNSで話題に 東京・奥多摩で撮影された衝撃の光景を現地で確かめた
「何十年ぶりの光景」山火事と思うほどの花粉がSNSで話題に 東京・奥多摩で撮影された衝撃の光景を現地で確かめた

花粉シーズン真っただ中。各地で飛散量の多さが話題になるなか、東京都・奥多摩町の山の様子がSNSで注目を集めた。

都内でも有数の花粉の発生地とされる奥多摩では、いったい何が起きていたのか。投稿者への取材と現地調査で確かめた。

山火事に見えるほどの花粉の量

2月下旬、東京都・奥多摩町の山の様子がSNSで大きな話題になった。山の斜面から白い煙のようなものが立ち上る写真や動画が相次いで投稿され、「山火事かと思った」「これが全部花粉なの?」と驚きの声が広がった。

しかし、この煙のようなものの正体は火災ではない。杉の木から一斉に放出された花粉だという。

画面越しに見るだけでも鼻がむずむずとしてきてしまうような光景だ。実際、奥多摩では何が起きていたのか。話題になった動画の投稿者に話を聞いた。

投稿したのは、東京・奥多摩の郷土芸能団体「奥多摩川野車人形保存会」が運営する「奥多摩 川野車人形」の関係者だ。動画は、2月28日午前11時ごろ、奥多摩町の「堺の清泉」付近で撮影されたものだという。

「地元の60代の男性も『何十年ぶりの光景だ』と話していました。花粉が飛びづらい種類の杉も花粉を飛ばしていて、びっくりしたそうです」(「奥多摩川野車人形保存会」関係者、以下同)

なぜこれほどの花粉が飛んだのか。

実は当日は、花粉が大量に飛散する条件が重なっていた可能性があるという。

奥多摩湖の渇水や各地の山火事のニュースが示すように、乾燥した日が続いたあと雨が降り、その翌日に気温が上昇した。そうした条件が重なったことで、一気に花粉が放出されたのではないかと、地元住民の人たちは話しているようだ。

では、これほど花粉が多い地域に住む人は、普段はどのように対策しているのだろうか。特別な方法があるのか尋ねると、意外にも答えはシンプルだった。

「マスクをしたり、毛羽立たないツルツルした服を着たりといった対策をしている人が多いです。基本的には他の地域と同じだと思います。

ただ個人的な体感ですが、都会に住んでいたころより奥多摩にいるほうが花粉症の症状は軽くなりました。花粉に付着するゴミなどの不純物が少ないからではないか、と感じています。同じように感じている人はちらほらいます」

一般的には「花粉が多い場所ほど症状が強くなる」と思われがちだが、必ずしもそうとは限らない可能性もありそうだ。

奥多摩の現在 花粉はピークを過ぎた?

では、SNSで見た“煙のような花粉”はその後どうなったのか。3月初旬、花粉症持ちの筆者が実際に奥多摩へ向かった。

東京駅から電車で約2時間。山に囲まれた奥多摩駅に降り立つと、都心とは空気の雰囲気がまったく違う。

この日の天気は晴れ。風も強く、花粉が飛びそうな条件ではある。だが奥多摩に到着してしばらくは、目に見えるような花粉は確認できない。

また、かなり警戒していたが、くしゃみや鼻水もほとんど出ない。そう思いながら30分ほど歩いていると、徐々に鼻がむずむずしてきた。やがて鼻水が出始める。

完全装備とまではいかないが、マスクなどの対策はしてきた。それでも花粉症の人間には、やはりそれなりの量が飛んでいるようだ。とはいえ、それは奥多摩だからというより、単に花粉シーズンに外出しているから……という程度の感覚にも思える。

近くにいた地元の人にも話を聞いた。

「先週あたりは本当にすごかったよ。洗濯物を外に干すのを躊躇するくらい。あんなの見たことないレベルだったね。でも、それから一気に落ち着いた印象かな」

SNSで話題になった光景は、やはり一時的に花粉が爆発的に飛散したタイミングだったせいかもしれない。

実際、今年の花粉の飛散ペースは例年よりかなり速く、2月下旬から3月初旬にかけて一気に飛散したとする報道もある。

ただ、花粉シーズン自体はまだ終わっていない。日本気象協会によると、東京のスギ花粉は2月末からピーク期に入り、3月上旬から中旬にかけて飛散のピークを迎える見込みだ。その後、3月下旬から4月上旬にはヒノキ花粉のピークも訪れるとされている。

花粉との付き合いは、まだしばらく続く。引き続き対策は必要になりそうだ。

取材・文・撮影/集英社オンライン編集部

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