ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)2026の1次リーグB組で優勝候補のアメリカがイタリアに6-8でまさかの敗戦を喫した。日本代表にとっては、最大のライバルの敗戦。
アメリカ1次リーグ敗退のデメリット
WBCで仮にアメリカが一次リーグで姿を消すような事態になれば、侍ジャパンにとっては一見追い風に見える。優勝候補が早々に消えることで、優勝までの最大の難関と思われた障壁が1つ消えるからだ。
しかし、大会全体を俯瞰すれば、日本にとって決して小さくないデメリットも生まれる。
最大の損失は、決勝トーナメントの注目度と物語性の欠如である。現在のWBCは、単に世界一を争うだけでなく、「野球大国アメリカに日本がどう挑むか」という構図そのものが大きな見どころになっている。
「憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、センター見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやってれば誰しもが聞いたことがあるような選手たちがいると思う。
今日一日だけは、やっぱり憧れてしまっては超えられないんで、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので、今日一日だけは、彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」
これは、前回大会の決勝戦直前にチームメイトに対して、大谷翔平が放った言葉だ。
この大谷の言葉が代弁するように、日本のスター選手たちが世界最高峰のメジャーリーガー軍団とぶつかるからこそ、試合の価値はさらに高まる。もしアメリカが一次リーグで消えれば、前回大会の決勝の再現という今大会最大級の対立軸が早々に失われ、日本が勝ち進んでも興行面や国際的な話題性はやや薄まる恐れがある。
さらに、仮に日本が優勝した場合、その評価が相対的に下がる可能性もある。本来、WBCは世界最強クラスの戦力を持つアメリカを倒してこその「世界制覇」という印象は強い。
大会の波乱としては面白いが…
また、ビジネス面でもマイナス要素はあり得る。アメリカ代表にはMLBの看板選手が集まり、彼らの存在は放映権、スポンサー、海外メディアの関心を大きく押し上げる。
Netflixが独占放送する今大会で、アメリカが早期敗退すれば、大会後半の国際的な視聴熱は下がり、日本戦の世界的な注目度も限定される可能性がある。結果として、日本野球の魅力を世界へ発信する機会が少し縮小する。
加えて、NPBの選手たちにとってメジャー挑戦への査定という観点でも損失はある。WBCの価値は優勝だけではなく、MLBトップ選手との真剣勝負を通じて、NPBの選手たちが自身の実力の現在地を知ることにもある。アメリカとの対戦機会が失われれば、日本の投手力や機動力、勝負強さが世界最高レベルにどこまで通用するのかを測る絶好の舞台が一つ減ってしまう。
アメリカの一次リーグ敗退は、大会の波乱としては面白い。しかし日本にとって本当に価値があるのは、最強候補を真正面から破って世界一になることだ。勝ちやすさと引き換えに失うものは、実は想像以上に大きい。
取材・文/集英社オンライン編集部

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