元技術職で3人の息子を育てる理系ママ・宮崎真理さん。書籍『AI×家事 毎日バタバタな3児ママがAIを使ってみたら、一人で悩む時間が消えた。
「親としての迷いはあった」けど、子どもにAIを使わせる理由
前編
家事だけでなく、育児の場面でも積極的にAIを活用している宮崎さん。子どもたちと一緒に塗り絵を作ったり、献立を考えたりと、日常のさまざまな場面でAIを活用している。
――AIを子どもに使わせることについて、親としての迷いはありましたか。また、それでも使わせようと思った理由はなんだったのでしょうか。
宮崎真理(以下同) 親として迷いはすごくありました。それでも子どもにAIを使わせると決めたのは、新しい技術に対して怖がらず、どんどん触れていける子に育ってほしいと思ったからです。
子どもたちが大人になる頃には、今のAIよりもはるかに進化したテクノロジーと共に生きる時代がくるはずです。だからこそ、新しい技術に出会ったとき、「リスクがあるかも」と不安になって挑戦をやめてほしくない。そのためにも、私自身が臆せず使う姿を見せていきたいなと思っています。
――3歳、10歳、12歳の息子さんは、それぞれどのようにAIを使っているんでしょうか。
3歳の息子は、私がAIで作った塗り絵に取り組んだり、嫌いなピーマンを克服するためにAIで作ったストーリーブックを読ませたりする程度です。
――子どもが使用する際に注意している点はありますか。
我が家ではスマホ使用はリビングのみというルールを設けています。なので、スマホにもAIにも依存しないように、私の目の届く範囲でのみ使わせるようにしています。
「AIに育児を丸投げするな」への答え
――実際、AI実践法を公開する中で、「AIに育児を丸投げするな」「AIに聞くことで試行錯誤のプロセスを奪っている」といった批判の声もあがったそうですが、どのように受け止めていますか。
丸投げはしていないし、できるならしたいという気持ちです。あと思考力がなくなるという結果を示した研究論文も読んだことはありますが、もしその力がなくなったとしても、新しいことにチャレンジする力だったり、別の能力は絶対伸びていると思うので、一長一短あると思います。AIは使いたい人が使えばいいんじゃないかと思います。
――AIを使い始めてから、家族との関係に変化はありましたか。
私自身、夫に当たることがなくなりました。いつもなら思ったことをすぐ口に出してしまうところを、ChatGPTがいるおかげで、一度愚痴を吐き出してから、「そう言ったら傷つくから、こういう風に返したら」とやり取りする中で、落ち着いて、言葉を選んで伝えられるようになりました。
カスタマーサービスへの連絡でも、感情的になって書いてしまうことがあったのですが、送信する前にChatGPTに「書き直して」と頼むことで、自分と相手の間にワンクッションおけるんです。
――子育ての中で、「AIがあってよかった」と感じた場面はありましたか。
急に息子から「明日漢字テストがある」と言われても、「なんで今さら言うの」っていうタイミングがよくあるんですよ。それでも前は、手書きで練習問題を作っていましたが、今は漢字テストの範囲を写真で撮影しただけで、すぐに問題が作れたりするので、気持ちの余裕は生まれました。
AIが進化した先の10年後の家族像
――宮崎さんはChatGPT、GeminiといったAIソフトをそれぞれ、どう使い分けていますか。
基本はChatGPTを使っていますが、画像や動画関連の作成はGeminiを使っています。GeminiはGoogleと連携しているので、例えば学校のプリントを写真に撮って「この予定表をGoogleカレンダーに入れて」とかできるのは、Gemininの良さだと思います。Claudeは文章が一番自然に書けるし、プログラミングコードを書く際に使用しています。Manusは、会話だけでなくAIが自走して進んでくれるようなエージェント的な性格もあり、必要に応じて使っています。
――いまだに家事や育児の負担は女性に偏りがちだと言われていますが、こうした性別による役割分担のあり方もAIの普及によって変わっていくと思いますか。
私の夫がAIのおかげで家事をする量が増えるかどうかは、正直分からないのですが、子どもたちの世代は変わっていくと思います。息子たちはAIと一緒に料理をしたり、洋服にシミが付いたら「これ、どうやったら落とせる?」とAIに聞いたりすることが自然にできる環境で育っています。
――AIの出現で、10年先の家族の風景はどう変わっていると思われますか。
10年後はAIが物理作業もやってくれるようになるのかな…?何より、頭の中のノイズや細かい意思決定など、今まで使っていた部分はどんどん軽減されていくんじゃないかなと思います。
――そのうえで、AIと共存するためには、どんなリテラシーが必要だとお考えですか。
AIは「人」ではなく、あくまで「計算機」という意識を常に持つことですね。そう思っていれば、間違った答えが出たときも、イライラしない。使い始めの人も、まずは仕組みを理解することが大事だと思います。そのうえで、頼り過ぎず、信じ過ぎず。私も選択肢は出してもらいつつ、最後の決定はいつも自分でするように心がけています。
――最後に、この書籍を通じて皆さんに伝えたいメッセージをお願いします。
AIが一番正しいとは思っていませんが、かねてから家庭にもっと新しいテクノロジーを取り入れるべきなんじゃないかと思っていました。最先端のテクノロジーって家庭には全然やってこない。
取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部

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