「30年も待てないよ」男闘呼組が抱えていた“不安”…『音楽の日』出演でXトレンド入り、再始動ライブに15万応募の奇跡
「30年も待てないよ」男闘呼組が抱えていた“不安”…『音楽の日』出演でXトレンド入り、再始動ライブに15万応募の奇跡

TBS系『音楽の日』に出演したロックバンド・男闘呼組。2023年8月までの期間限定で再始動することを発表した彼らは、同年10月に東京ガーデンシアターで復活ライブを開催。

しかしメンバーの胸には、「30年も待ってくれている人なんているのか」という不安もあったという。ところが、再始動ツアーには15万を超える応募が殺到。29年ぶりのステージは、ファンの熱狂に包まれる“奇跡の瞬間”となった。

『人生はとんとんー成田昭次自叙伝―』より一部を抜粋、編集してお届けする。

『音楽の日』終了後、“男闘呼組”がTwitter(現X)のトレンドに

『音楽の日』の収録が始まる。ステージの上、昭次の手にはオレンジのグレッチが握られていた。

「兄貴がいなければギターも音楽も始めてなかった。きっと、男闘呼組が再始動することも、このステージに立つこともなかった。兄貴はもういないから、『一緒にバンドをやろう』って約束は果たせないけど、俺には兄貴が遺してくれた、このギターがあるよ。

このギターを弾いてる時は一緒に演奏してるって感じるんだ。兄貴、そこにいるんだろ。俺にはわかるよ」

『音楽の日』放送日の正午、男闘呼組は翌年2023年8月までの期間限定で活動し、10月15日、16日には東京ガーデンシアターで再始動ライブを開催することを発表する。

昭次は、こんなコメントを寄せた。



「今日までに沢山のディスカッションやリハーサルを重ねてきましたが、4人それぞれの時間が過ぎ、より強固になった個性は未だにまとまる事がありません。

でもそのぶつかり合いが『男闘呼組』なのだと改めて気付かされました。いくつになろうとも、挫折があろうとも、社会や家庭に責任を持ちながら、夢を追う事は出来るのだと、僕らを見て何か感じて頂ければ幸いです」

『音楽の日』の放送を昭次は、勤めていたとんかつ屋の『とんとん』で見た。夜の営業が始まった直後、ホールスタッフが成田に伝える。

「成田さん、出るんじゃないですか? 」
「あ、そういえば」

『音楽の日』終了後、“男闘呼組”がTwitter(現X)のトレンドに上がった。

同番組の1年前、健一は不在だったものの、昭次、和也、耕陽の3人は、谷川に招待され東京ガーデンシアターで行われたMISIAのコンサートを観覧し、谷川に「この会場が男闘呼組再始動のステージになります」と告げられている。

『音楽の日』に出演するまで「不安が大きかった」と耕陽が言う。

「だって、東京ガーデンシアターのキャパって8000人だよ。2~300人入るライブハウスでいいんじゃないって。『俺たちのこと待ってくれてる人、そんなにいるの?』って思うよ。だって30年だよ、30年。普通、待てないよ、そんなに長い時間」

再始動ライブとなったツアー『1988』には、15万を超える申し込みが殺到し、東名阪追加公演を含め、全7公演で計6万人の動員を記録することになった。


多くのファンが、男闘呼組を待っていた。30年という歳月をものともしないで。

「We are 男闘呼組!! 29年ぶりに再始動です!!」

10月15日、東京ガーデンシアター。あの頃と同じように円陣の声出しは和也が行った。
4人がステージへ向かう。最後尾は、あの日と同じように健一だった。

「ステージに上がる瞬間の景色ってあるわけよ。お客さんがワーッって沸く中をメンバーが歩いていく。その後ろ姿、シルエットが、あの頃と同じで。でも、懐かしいとかっていう感じじゃなくて、タイムスリップっていうかさ、ワープしたっていうかさ。

しかも、今のほうがちょっとカッコよくなってるというかさ。満員の客席見て思ったよね。昔より、今のほうが俺たち人気あるんじゃないって」

和也が客席に向かって叫んだ。


「We are 男闘呼組!! 29年ぶりに再始動です!!」

夢にまで見た景色が、和也の眼前に広がっていた。

「いや、もう、とにかく、やっぱりあんなに興奮したことなかった。30年も夢見てきたっていう、うん。絶対叶わないと思ったことが実現してる。ホントに信じられない奇跡の瞬間なんだって興奮がさ。

もう夢中でパフォーマンスしたなっていうか。それこそ、10代の頃、いちばん熱かった頃みたいな気持ち。

男闘呼組再始動の話が持ち上がった時、以前の男闘呼組じゃなくなってしまうんではって怖さがあったんだよね。だけど、やっぱりステージに立ってる限りは、俺たちはあの頃のまんまなんだなって。そこは誰も触れられない神聖な場所で、ここだけは何があっても変わらないんだなって。お客さんの前に立った時にわかったよ」

復活を待っていたのはファンだけではなかった。

初日には東山紀之木村拓哉佐藤アツヒロ生田斗真らの姿があった。

会場入口を、数え切れないスタンド花が飾った。

構成/水野光博 写真/井村邦章

人生はとんとん ―成田昭次自叙伝―

成田 昭次
「30年も待てないよ」男闘呼組が抱えていた“不安”…『音楽の日』出演でXトレンド入り、再始動ライブに15万応募の奇跡
人生はとんとん ―成田昭次自叙伝―
2026年1月15日発売2,200円(税込)四六判/264ページISBN: 978-4-08-790209-9

伝説のロックバンド男闘呼組のボーカル&ギター・成田昭次、初の自叙伝が発売!
50歳を超えて精力的に活動しチャレンジを続ける成田が語る、男闘呼組活動休止、逮捕、芸能界引退、そして奇跡の復活。舞台裏にあった熱き想いと涙。すべての成田昭次ファンに贈る著者渾身の一冊!

引っ込み思案だった幼少期、兄の背中を見て飛び込んだ芸能界、男闘呼組デビューの裏側、突然の活動休止、2009年大麻所持で逮捕。愛する兄の自死。
地元・名古屋の工場で働きながら、ようやく築いた平穏な毎日。そして、2019年男闘呼組メンバーとの運命の再会。
安定した生活を捨て、2022年男闘呼組再始動…。知られざる半生のすべてを赤裸々に語る。
男闘呼組メンバーである岡本健一高橋和也前田耕陽のコメントも収録。

Myojo10000字インタビューのスタッフが集結。本書の口絵には、『明星(Myojo)』でデビュー前から成田昭次を撮り続けてきたカメラマン井村邦章による撮り下ろしカットを掲載。

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