《ママをきずつけた人へ ママのことお返してほしいママに会わせてほしい どうしてママのこときずつけたの?どうしてママだったの?》(原文ママ)
25年4月、宮城県岩沼市の海岸で保育士の行仕由佳さん(当時35)が殺害された事件で、殺人や死体遺棄などの罪に問われている佐藤蓮真被告(22)の裁判員裁判の論告求刑が今月9日に行われた。遺族の意見陳述では、当時8歳だった被害者の長男が寄せた直筆の手紙が読み上げられた。
小学生の頃からジムに通いそれなりに強かった
「起訴状などによると、佐藤被告は昨年4月12日、交際関係にあった行仕さんを岩沼市の人目のない海岸の防波堤へ連れ出し、ペティナイフで胸などを複数回突き刺して殺害。波消しブロックの隙間に遺体を遺棄した上、現金やキャッシュカードが入った行仕さんの財布を盗んだとされている。佐藤は起訴内容をおおむね認めている」(社会部記者)
行仕さんは仙台市太白区在住で、長男と二人暮らしのシングルマザー。一方の佐藤被告は岩沼市在住で、「五年ほど前に引っ越してきて、自宅でエステ店を営む母親と、お姉さんと三人で暮らしていた」(近隣住民)。
アルバイトをしながら、キックボクサーのプロ選手としても活躍していた佐藤被告。被告がプロ選手として出場していたキックボクシングの大会関係者はこう語る。
「佐藤選手は小学生の頃からジムに通い、アマチュアで経験を積んでプロに進み順調にステップアップした選手です。それなりに強かったし、所属ジムとしても今後を期待して育てていたと思います」
佐藤被告のスマートフォンの検索履歴には…
将来を期待されたキックボクサーはどのように行仕さんと出会い、そして凶行に及んだのか――。
裁判で明らかになったのは、佐藤被告と行仕さんの間にあった“借金”と“妊娠”をめぐるトラブルだった。地元紙記者が解説する。
「二人の出会いはマッチングアプリ。一昨年10月に佐藤被告から交際を申し込み、行仕さんが受け入れた。だが、佐藤被告は行仕さんに偽名を使い、『車で事故を起こした』などと嘘をつき総額100万円以上を借金。
《お金は返さなくていいから、赤ちゃんを2人で育てたい。蓮真くんのこと好きだから赤ちゃんのこと守ってほしいです》と真剣なメッセージを送る行仕さんに対し、佐藤被告は話し合いを避け、明確な態度を取らなかった。
「それどころか、佐藤被告は水面下で行仕さんの殺害を計画。3月末の佐藤被告のスマートフォンの検索履歴には、『人を殺せる薬』『テトラポット落ちるとどうなる』といった言葉が残り、4月上旬に書いたとみられる『由佳自宅周辺カメラ確認 スマホとお金 痕跡残さない テトラポット』などのメモも残されていた。そして4月12日午後7時前、佐藤被告は『話をしよう』と行仕さんを呼び出し、自宅周辺まで迎えに行った後、犯行に及んだとされています」(同前)
犯行後の4月20日にも、キックボクシングの試合を控えていたという佐藤被告。犯行時間帯にも自身のスマホから友人らに電話をかけたり、試合のチケットの代金の振り込み依頼をするメッセージを送信したりするなどいつも通りに振る舞っていたことが分かっている。
興行関係者は事件当時、集英社オンラインの取材に応じ、佐藤被告と行仕さんの関係、そして事件前後の佐藤被告の様子について、こう証言していた。
「蓮真は行仕さんのことを『試合を応援してくれてる人で、(4月)12日もチケットを渡しに行っていた』と言っていて、これまでも何度か試合に応援に来てくれたとのことでした。そんな話の直後に行仕さんの遺体が出たとネットニュースで見て私も驚きました。
ただ、蓮真はそんなことできるタマじゃないと思っていたので、当初は事件と蓮真が直接は結びつきませんでした。遺体発見後にも蓮真と会ったので、『亡くなったってニュースになってるけど』って携帯を見せましたよ。
その後も特段変わった様子を見せることなく、試合の準備を進めていたという佐藤被告。しかし、関係者には気になることもあったという。
「13日に蓮真の通うジムに行仕さんの親御さんから『娘の姿が見えなくなった。蓮真さんと繋いでほしい』と問い合わせもあったようなのです。というのも、行仕さんの部屋に開いたままのパソコンがあって、そこに蓮真のブログが表示されていたと。
だから犯人じゃないにしろ、蓮真が何か知ってはいるんじゃないかと思ったりはしました。結局、蓮真は20日の試合に来ませんでした。蓮真は小さい頃からキックボクシングをやっていて、一度はやめたものの、また頑張っていたのですが……」
≪今ママに会えたらぎゅうしてほしい、だっこしてほしい大好きってつたえたい≫
裁判で明かされた佐藤被告の殺害の動機は、「行仕さんに一連の問題を所属ジムに報告されると、キックボクサーとしての将来が絶たれると恐れた」から。一方で、佐藤被告の弁護側は「被告は行仕さんと交際はしておらず恋愛関係ではないという認識だった」など、検察側と異なる主張をしている。
裁判では、「娘さんの命を奪ってしまい申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を述べ、遺族に向かって20秒近く頭を下げたという佐藤被告。しかしどんなに謝罪を重ねても、佐藤被告が奪った行仕さんの命、そして母子の未来は戻ってこない。
裁判で読み上げられた行仕さんの長男の手紙には、事件当時の記憶と母を想う気持ちが切々と綴られている。
《こわい。こわかった。
ママのことユーチューブを見て待ってた。
ママが帰ってこなかったから電話もした。
何回もした。でもでなかった。その間もずっとこわかった。
ママが帰ってくるのをずっとまってた。ママにあえなくて悲みしかった。
さみしかったあいたかった今もさみしい
会たくなるママのこと大すき。
ママをきずつけた人へ
ママのことお返してほしいママに会わせてほしい
どうしてママのこときずつけたの?どうしてママだったの?
勉強とかしてないときにママを思い出す。
キャンドルとか作るときもママにおみあげに渡そうって思い出す。
今ママに会えたらぎゅうしてほしい、だっこしてほしい大好きってつたえたい》
(原文ママ)
検察側の求刑は懲役25年。判決は3月17日に言い渡される。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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