かつてメディアを席巻し、“六星占術”ブームを巻き起こした占い師の細木数子。その波乱の人生を戸田恵梨香主演で描くNetflixドラマ『地獄に堕ちるわよ』が4月27日から配信される。
そんな“ダークヒーロー”として描かれることを後継者であり、娘の細木かおりさんはどう受け止めているのか。率直な思いとともに、娘だからこそ知る母・細木数子の素顔に迫った。(前後編の前編)
「詐欺師呼ばわりは、ちょっと…」
――ティザー映像をご覧になった率直な感想を教えてください。
細木かおり(以下、同) かなりインパクトが強そうな作品だなって。正直、「また、あることないこと言われるのかな…」という不安はありますね(笑)。というのも、私たちはドラマの詳しい内容を全く知らないので。
――Netflix側からは事前にご連絡はなかったんですか?
2、3年前に「細木数子さんのドラマを作ります」と製作側がご挨拶に来られました。その際、私が「事実関係の整合性などを事前にチェックできるのか。もしくはそのストーリー自体に『イエス』『ノー』言える立場なのか」と確認したら、「それはできない」と言われました。
――そうなんですか⁉
はい。ただ、Netflix側も「あくまでフィクションなので」と。きちっと調べたうえで「昭和100年を迎えた日本から、戦中戦後をたくましく生き抜いた女性の姿を“リアルな昭和”の象徴として世界に届けたい」ということだったので、まあそれを信じますという感じですかね。
――映像には、生前噂された“ダーク”な描写もありましたが…
「詐欺師」とか「霊感商法」呼ばわりは、ちょっとどうなのって思いましたよ。でも、どんな形であれ、世界配信されるドラマの題材に選ばれたことは、生前の母がそれなりに頑張ってきた証なのかなと思います。どう描かれるか、懸念はありますが、一視聴者として楽しみたいと思います。
細木数子の意外な一面「外では“ゴージャス”、家では“質素倹約”」
――かおりさんと細木数子さんは、もともと、伯母と姪の関係だったんですよね?
そうですね。細木数子の妹が私の実母で、40歳手前で私と妹を出産しました。年子で世話も大変だったから、私が細木数子のほうに預けられることが多かった。だから幼少期は実母よりも懐いていたらしいです。私は「ばぁば」って呼んで、あちらも「かおり、かおり」って可愛がってくれて。そのときから「かおりを養女に欲しい」って切望していたそうです。
――姪っ子から見た伯母・細木数子さんの印象は?
すごい“ド派手”で“ゴージャス”なおばあちゃんという印象です。毛皮にヒールにサングラスという装いで、ベンツで幼稚園の迎えに来たり、小学校の門の前に急に現れることもありました。
――それは周りもびっくりしますね(笑)。
そうでしょ。
――世間では「怖い」という印象を持たれがちですが、かおりさん自身「怖い」と感じたことは?
怖いはないけど、口うるさいはありました(笑)。まあ心配からなんでしょうけど。
――世間のイメージとギャップを感じることはありましたか?
外に出るときはきらびやかでゴージャスな装いなんですけど、家では“質素倹約”な人でした。自宅でも家事や料理、台所の掃除は全部自分でやってましたね。
――それは少し意外ですね…!
あとは、戦時中を生きた人なので、物をすごい大事にしてました。バスマットも古いバスタオルを三つ折りにして縫って使ってたし、穴のあいた部屋着も縫って使い古してました。ティッシュを2枚取ると「1枚でいいでしょ! もったいない!」ってすごく怒られたりもしました。
――戦中戦後を生きた細木数子さんから、特に印象に残っている教えや言葉はありますか。
「自分がしてあげたことは忘れなさい。ただ、してもらったことは生涯忘れちゃいけないよ」と、よく言ってました。
――現在はジェンダー平等や性的役割分担について、さまざまな議論がされていますが、細木数子さんが今の時代をご覧になったら、どのようにおっしゃると思いますか?
「男女は平等で同権だけど“質”が違う」って言うと思います。少数派の存在を認めつつ、そちらの意見ばかりを優先する風潮には「おかしい」と言うでしょうね。男女それぞれの役割を理解しないまま、何でもありにすれば、社会はより複雑で生きづらくなると考えるのではないでしょうか。
細木数子の勧めで中学時代からお見合い、19歳で結婚・出産
――かおりさんは細木数子さんのお膳立てで中学時代からお見合いをされ、19歳で結婚されていますよね。そうした背景にも、お母様の教えや価値観が影響していたんでしょうか。
それはもうめちゃくちゃ影響受けましたね。母はかねてから「地位とかお金は手にしたけど、何が一番大切か振り返ったとき、家庭を持って出産して、子育てするということを、できるならすべきだった」とよく言っていたので。
――そうした思いから、かおりさんには「早いうちに結婚を」と、お見合いをお膳立てされたんでしょうか?
そうですね。私が学生時代の当時は、徐々に女性のキャリア進出が叫ばれ始めていましたが、それでも母は「仕事は自分さえやる気になれば、いつからでもスタートを切れる。でも子どもを産んで育てるってことはそうはいかない。今しかできないことってあるよ」って。
――実際、同級生の反応は?
「何考えてるの?」「血迷ったの?」って感じでした(笑)。でも「ばぁば」(細木数子)のことをよく知る親友は「まぁ、ばぁばだったらやりかねない」「ばぁばがそこまで本気出したら、もう逃げられないね」って感じでしたね。
――今の旦那様とはどう出会ったんですか?
私が中学3年生のとき、大学生の彼とお見合いして、私が短大1年の19歳、彼が社会人になった25歳のときに結婚しました。
――結婚後にすぐお子さんも生まれていますが、19歳で始まった結婚生活はどのような日々でしたか。
当時はすごく孤独を感じてました。19歳って周りはまだ学生で、自分で稼いだお金で海外旅行に行ったりしてて、すごくキラキラして見えた。それに比べて私は一人、43平米の狭いアパートでまだ言葉が通じない子どもとだけ会話してて…社会から見放されたような、「これで良かったのかな」って思いはありました。
――今は、当時の決断を振り返ってどう感じていますか?
40代で子育ても終えて、孫もできて、仕事もしている。その一方で、当時の友人は私の孫と同じくらいの子育て真っただ中で、今は逆にみんなに羨ましがられてます。子育て中はもちろん大変でしたが、今ではこの選択をしてよかったと思えるようになりました。
#後編「タッキー弔問秘話、決め台詞『地獄に堕ちるわよ』に込めた細木数子の想い」へつづく
取材・文/木下未希

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