「卒業を祝って何が悪い」3.11に給食の赤飯2100食が廃棄で大炎上…「赤飯は法事などで食べられることもある」といった声も、いわき市の判断に広がる波紋
「卒業を祝って何が悪い」3.11に給食の赤飯2100食が廃棄で大炎上…「赤飯は法事などで食べられることもある」といった声も、いわき市の判断に広がる波紋

11日、福島県いわき市の中学校で給食の主食として提供される予定だった「赤飯」が急遽廃棄されるという事案が発生した。一部報道によれば、卒業式前の給食で赤飯が提供されることが慣例となっており、今年は3月11日に提供予定だった。

 

しかし、この日は東日本大震災の発生から15年という節目の日でもあり、祝い事の席で食べられることが多い「赤飯」に対して懸念する声があったという。だが廃棄されたのが約2100食分ということもあり、SNSなどでは「もったいない」という声が多くあがっている。

祝い事の象徴である赤飯の提供はふさわしくないと判断

「去る3月11日に小名浜学校給食共同調理場が担当する5校の中学校において、学校給食の主食として赤飯を提供する予定としておりましたが、これを急きょ取りやめ、防災備蓄用のパンに変更いたしました。

この変更は給食提供の直前ではありましたが、東日本大震災の発生日に当たる3月11日が本市にとって追悼の意を表すべき特別な日であり、祝い事の象徴である赤飯の提供はふさわしくないと判断し、対応したものです」

赤飯給食の廃棄問題を受け、いわき市教育長は16日に公式ホームページでこのように経緯を説明した。

いわき市教育委員会事務局学校支援課の担当者は次のように話す。

「すでに報道にもあるとおり、市内の中学校に保護者の方からお電話が入ったことがきっかけで、赤飯の代わりに缶詰のパンを提供しました」

いわき市の中学校では例年卒業前に赤飯を出す慣例があり、これまでも3月中旬の卒業前の時期に提供されてきたという。今年は提供日が11日に重なっており、そのことに直前まで気づかなかったという。

学校支援課の担当者は多くの問い合わせが来ているとし、「『食べ物を無駄にしてしまう』ということへのご指摘など、多くのご意見をいただいております」と話した。

いわき市の内田市長は自身のXの中で、2100食分の廃棄は「もったいないと感じています」としたうえで、「こうした件について、今後、私を含め市長部局にも予め相談してから判断するよう教育委員会に指示しました」と投稿している。

いっぽう、この件を受けてSNSには、

「3月11日震災のあった日を思い返したら食材廃棄するなどあり得ない」
「今回のお赤飯献立の何が悪いのか全く理解出来ない」
「卒業を祝って何が悪い」
「お赤飯を食べられなかった卒業生が本当にかわいそう」

など、多くの声があがっている。

「お墓参りでお墓にお赤飯を供えるという風習がある地域もあるようです」

今回の廃棄の件をめぐっては、「赤飯は法事などで食べられることもある」といった声も聞かれる。

赤飯文化の普及啓発活動を行なう「赤飯文化啓発協会」の担当者に話を聞いた。

「赤飯が法事などで提供されることはありますし、お盆の時期にお供えする地域もあります。

特に東北地方などは多いと聞きます。お墓参りでお墓に赤飯を供えるという風習がある地域もあるようです」

同協会のホームページによれば諸説あるが、赤飯はもともと縄文時代に初めて中国大陸から日本に伝わってきたお米である「赤米」を蒸したものが起源とされるという。

日本では古くから赤い色には邪気を祓う力があると考えられており、加えてお米が高級な食べ物であったことから、赤米を炊いて神様に供える風習があったそうだ。赤飯が一般的に庶民層まで広まったのは江戸時代にさかのぼるという。

「白米や精製度の高い米が広く流通・消費され、一般的にお米を食べられるような環境になっていったのが江戸時代で、そのころから赤飯が食べられるようになったと言われています。その後、昭和の時代では、誕生日などのちょっとしたお祝いでも赤飯を食べる習慣がありました。

しかし現代はさまざまな食品がどこでも食べられるようになり、赤飯を食べる機会は減ってきているように感じます。

結婚式でも昔は赤飯の引き出物は当たり前のようにありましたが、今では例えば料理のメニューを見ても和食だけではありません。食文化そのものが変わってきているというのは、(赤飯を食べる機会が減った要因の)一つとしてあると思います」

今回の廃棄について尋ねると、「前もって(11日の給食に赤飯が出るという)情報が共有されていれば、防げたのではないかとも感じます」と話した。

今回の廃棄問題を受けて、食品ロスの観点から批判する声も相次いでいる。

環境省の推計によれば、令和5年度(2023年度)の国内の食品ロス発生量は464万トンで、前年度から約8万トン(約1.7%)減少し、事業系が231万トン、家庭系が233万トンという内訳だ。

発生量は年々減少傾向にあるものの、依然として多くの食品が廃棄されている状況にあり、同省では、食品ロス削減に向けて事業者、家庭双方の取組が必要としている。

組織の体制のあり方、食品ロスの現状、食文化の変化など、さまざまな課題を浮き彫りにした今回の赤飯廃棄問題。東日本大震災から15年を迎えたいま、震災の記憶をどのように受け継いでいくのか、改めて思いを巡らせたい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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