ラーメン店が食べすぎて吐いた迷惑客を注意したら「Googleマップで低評価」…口コミが“報復の場”になる問題
ラーメン店が食べすぎて吐いた迷惑客を注意したら「Googleマップで低評価」…口コミが“報復の場”になる問題

迷惑客を注意したところ、Googleマップの口コミに低評価を書き込まれる──そんな問題をめぐる投稿がSNSで話題になっている。発端となったのは、埼玉県のラーメン店「猫ニ叉タビ 本店」の店主がXに投稿した出来事だ。

食べ放題で食べ過ぎた客が嘔吐

同ラーメン店では夕方の時間帯に、まぜそばを注文した客を対象に「チャーシュー乗せ放題」のサービスを実施していた。通常は5~10枚ほどの注文が多いというが、その日、ある客が30枚のチャーシューを頼んだという。

店主は「大丈夫ですか?」と確認したが、客は「大丈夫です」と返答。しかし案の定、食事の途中で苦しそうな様子が見えたため、「無理はしないで大丈夫ですよ。残してもいいですし、お持ち帰り用のパックもお渡しします」と声をかけたという。だが客は「もう少しなので食べます」と答え、そのまま食事を続けた。

その後、客はトイレへ向かったが、なかなか戻ってこない。店主が様子を見に行くと、トイレの手洗い場と便器で嘔吐し、詰まってしまっていたという。店内のトイレには汚物が散乱し、このままでは営業を続けることができない状態だった。店主はやむなくSNSで営業終了を告知した。

さらに今回のトラブルを受け、同じことが起きないようにとSNSで「食べ放題、無理がない範囲でお願い致します。トイレでは吐かないでください。お願い致します」と呼びかけたところ、この表現をめぐって一部のユーザーが批判を始めた。

「そこまで言う必要はないだろ」「トイレで吐くなと言うなら、どこで吐けばいいのか?」といった批判的なコメントがSNSに寄せられたほか、中にはGoogleマップの口コミにも低評価を投稿するような事態も見受けられたという。

店主によれば、トラブルを起こした客自身は反省していたという。「お客様も反省していたので、『次は気をつけてね』と話して帰っていただきました」と話す。当事者間で収まっていた出来事であるにもかかわらず、関係のない人たちによって騒ぎが大きくなっていった形だ。

実は先日も、ある温泉旅館が客のマナーについてSNSで丁寧に注意を呼びかけたところ、関係のない人たちが逆上するように旅館の口コミを荒らすという出来事があった。店や宿が迷惑行為を注意すると、レビューなどで“報復”を受ける──そんな構図は、決して珍しいものではなくなっている。

Googleの口コミは削除が難しい

Googleマップの口コミは、いまや店選びの重要な参考情報になっている。飲食店だけでなく、病院や公共施設、観光地などでも多くの人がレビューを参考にするようになった。評価が高ければ来店や利用のきっかけになる一方、低評価が目立てば客足に影響することもある。

その一方で、口コミをめぐるトラブルは少なくない。兵庫県尼崎市では2024年、Googleマップに悪評を書き込まれた眼科医院が投稿者を訴え、投稿の削除と200万円の損害賠償が命じられる判決が出たケースもある。

ただ、問題となる口コミを削除するのは簡単ではない。

Google口コミは誰でも投稿できる一方、削除には大きなハードルがあるという。店舗にとって都合が悪い口コミであっても、法に抵触する場合やGoogleのポリシー違反でない限り削除は難しい。

投稿者の情報開示や削除を弁護士に依頼する場合、数十万~200万円ほどかかるケースもあり、必ず削除できるとは限らない。実際、前述の眼科医院のケースでも、投稿者の特定から判決まで約3年かかっている。

今回のラーメン店のケースではいくつかの低評価の口コミが消えたが、店主によると「お客様や他のラーメン屋さんが通報してくれたと連絡をたくさんいただきました。それで消えたのかもしれません」と話している。

今回の騒動を受けて、店には応援する声のほうが圧倒的に多く寄せられている。しかしその一方で、いたずら電話の被害も出ているという。

店主はSNSで、「悪戯電話が鳴り止まないので電話線しばらく切ります。御用があるお客様は公式LINEかDMでお願い致します。ちなみに先ほどは子供200人連れてきてラーメンが残ったらトイレに吐くと言われました」とも投稿している。

近年はカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」という言葉が広まり、客と店の関係性を見直す動きも出てきている。

だが現場では、店側が迷惑行為に対しても慎重に言葉を選び、丁寧に対応せざるを得ない状況が続いている。

取材・文/集英社オンライン編集部

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