「野菜を食べていれば健康」というわけじゃない…野菜中心でも不健康になり得る食習慣の落とし穴
「野菜を食べていれば健康」というわけじゃない…野菜中心でも不健康になり得る食習慣の落とし穴

「健康には野菜がいい」はいまや常識だ。実際、野菜は食物繊維やビタミン、ミネラルの重要な供給源で、現代人に不足しがちな食材でもある。

だが一方で、「野菜を食べていれば健康」と単純化してしまうと意外な落とし穴がある。野菜中心でありながら、健康から遠ざかってしまう食習慣とはどんなものなのか。


予防医療研究の講師が解説した『予防医療の医師が教える 最小の努力で最大の効果を得る食事学』より一部抜粋、再編集してお届けする。〈全3回のうち1回目〉

野菜中心の食事をしていれば安心、というわけでもない

「健康には野菜」が常識ですが、野菜さえ食べていればOKなのでしょうか? そんなわけではない、ということを説明していきます。野菜を摂る心がけはとても大事ですが、食事というのはそんなに単純な解決策を示せる領域ではありません。ここでも、野菜という「食材」を単独で考えることによる限界があります。

「野菜が健康に良い」という話を疑問に感じる方は、ほとんどいないでしょう。これは科学的にも確からしく、非常に多くの研究で「(平均的に)野菜は色んな面の健康に良いらしい」ことがわかっています。野菜と一口に言っても色んな種類がありますが、それぞれ色んな観点から健康に良さそうです。

実際、現代人には野菜が全然足りません。日本では1日350グラムの野菜を摂ることが推奨されていますが、日本人の平均摂取量は270グラム程度と報告されています。この点で、公的機関が野菜摂取を推奨し促すことは非常に理にかなっています。

ここで投げかけたい疑問は「野菜を食べていれば健康的にOK」と単純化できるかという話で、野菜を食べることに反対しているわけではありません。



一般的に野菜は、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの摂取源で、健康に悪い添加物をあまり含まない食材です。これは栄養素の面から言っても健康に良いということになります。

しかし当然、たんぱく質や質の良い脂質を摂ることはあまりできません。ほとんど水分である野菜も多く、一般的に言って、野菜だけを摂取することで、1日に摂取するエネルギーを十分摂ることはできません。

すると生命維持のためには、当然「野菜以外に何か食べている」状況になっているわけです。野菜をしっかり食べていても、「野菜以外のエネルギー源」により、健康的な食生活が送れているかが決まってきます。「野菜」という食材だけに着目するのは少し視野が狭く、野菜を中心とした「食習慣」がどのようなものか、という観点が本質的に重要です。

肉をあまり食べず、野菜の摂取量はかなり多いが不健康なアメリカ人

ここで、食習慣についての知見を紹介します。野菜中心の食習慣がどのように健康に良いかを示す「野菜中心の食習慣の指標」です。

この中身を見てみると、例えば野菜、果物、全粒穀物といった食材は「野菜中心の食事パターンで多く摂取される食材でかつ健康に良いもの」のカテゴリーにあります。ナッツ、豆も同様のカテゴリーです。これらは摂取量が多いと点数が増えます。

一方、動物性脂肪、乳製品、肉といったものは、「野菜中心の食事パターンであまり摂取されない食材でかつ健康に良くないもの」とカテゴライズされています。

これらは摂取量が低いと点数が増えます。全体として点数が高い方が、「野菜中心の食習慣」として健康に良い、という解釈です。

重要なのは、「野菜中心の食事パターンで多く摂取される食材だが健康に良くないもの」です。代表例はジュース、精製穀物、じゃがいも、お菓子などです。これらは、一般常識的にも、健康に良くないものとして矛盾しないかと思います。当然、これらは摂取量が少ないと点数が増えます。

例えばアメリカのデータを実際に見ても、野菜中心の生活をしていながらフライドポテトやマフィンを毎日食べている、という人は非常に多いです。彼らは実際に肉をあまり食べず、野菜の摂取量はかなり多いです。しかしその食生活は「野菜を食べているから健康」なのかと言われると、そうではないですよね。これは実際多くの研究で示されています。

実はこの点は「ビーガンダイエット(動物由来の肉、魚介類、卵、乳製品を完全に避ける食事法。環境保護などの観点から一部で流行っている)」が健康に良いかどうか、という議論にも関わってきます。

ビーガンダイエットは一大産業であり、それをプロモートする団体が数多くあります。実際に研究対象ともなっており、それなりに知見が得られてきています。

これら科学的知見のポイントは、やはり「野菜を食べることは良いが、他の食材として何を摂取しているか」という点です。

栄養素的には、肉や乳製品などを制限するためにカルシウム、鉄、ビタミンB群などが摂取不足になりやすいです。食事パターンとしても頑張って肉を避けても、マフィンやジュースからカロリーを摂っていては、その部分は健康に悪いです。

一方で、アボカドや果物、大豆製品をうまく使い、健康的なビーガン食を達成している方もたくさんいます。結局「食習慣全体としての質」が重要であり、それを例えば前述の「野菜中心の食習慣の指標」で評価できる、という話につながります。単独の食材に関する知見というのは限られています。

「野菜中心の食生活」というのは、食習慣として良いテーマの1つです。しかし、それは「野菜を食べていればよい」という単純なものでなく、その食習慣の特徴を理解し、野菜以外の要素も考えることが重要です。

#2に続く

文/濱谷陸太 写真/Shutterstock

予防医療の医師が教える 最小の努力で最大の効果を得る食事学

濱谷陸太
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