「なぜこっちが払わないといけないの?」ナビダイヤル値上げで不満爆発…なぜ企業は採用するのか?サービス提供会社の担当者が明かした“意外な真相”
「なぜこっちが払わないといけないの?」ナビダイヤル値上げで不満爆発…なぜ企業は採用するのか?サービス提供会社の担当者が明かした“意外な真相”

「ナビダイヤルでおつなぎします。この通話は、〇〇秒ごとに〇〇円の通話料がかかります——」企業のカスタマーセンターや問い合わせ窓口に電話をかけた際、この無機質な自動音声を聞いて、ため息をついた経験がある人は多いだろう。

そしてこの通話料が今年の10月から33%値上げされることになり、Xでは不満が渦巻いている。

 

突如発表された「ナビダイヤル通話料改定」の衝撃

ナビダイヤルのサービスを提供するNTTドコモビジネスは今年2月、公式HPにて「ナビダイヤル通話料の改定について」というお知らせを発表した。発表によると、2026年10月1日(木)より、携帯電話からナビダイヤルへ発信した際の通話料が現在の「11円(税抜10円)/20秒」から「22円(税抜20円)/30秒」へと引き上げられるという。実に約33%の値上げである。

特にサービスの解約手続きや、商品に対する苦情・トラブルのために電話をしている時、保留音のまま延々と待たされ、その間も課金され続けるナビダイヤルは、消費者のストレスを増幅させる大きな要因となっている。

さらに消費者の不満に拍車をかけているのが、「通話料定額サービス(かけ放題プラン)の対象外」であるという点だ。せっかく携帯電話料金でかけ放題プランを契約しているのに、ナビダイヤル(0570から始まる番号)に発信すると別途料金を請求されてしまう。SNSなどでも、

「なぜ自分が高い通話料を払わなければならないのか」
「これ、未だに意味がわからない。 なぜ通話料以外に追加料金をとられるの?」
「保留の間は課金されない様に法律変えてほしい」

といった不満の声が飛び交った。

消費者のストレスが限界に達しつつある中で、なぜ今値上げに踏み切るのか。そして、そもそもなぜ企業はこれほど消費者に嫌われがちなナビダイヤルをあえて採用するのか。ナビダイヤルを提供するNTTドコモビジネスにきいてみた。

広報担当者に率直に値上げの理由を問うと、

「昨今の物価上昇や人件費の高騰を踏まえ、安定したサービスの提供と品質向上のために料金を改定させていただくことになりました。

人件費はもちろんのこと、通信サービスを維持・提供するための機器や設備の調達コストが上がっておりまして、総合的な判断で値上げを決めました」(NTTドコモビジネス広報担当者、以下同)

という。

しかし、取材を進める中で、担当者の口から意外な事実が語られた。通話料対象外であることから、電話をかける側への負担感が強いように感じてしまうが、実はナビダイヤルは今までは一般的な携帯電話の通話料より安かったのだという。

「一般的に携帯電話会社さんが提供する通話料は『30秒で22円(税込)』が標準的な水準です。これまでは大体のケースにおいて、ナビダイヤルの料金設定はその水準より少し安く(20秒で11円に)抑え気味に設定してまいりました。今回の改定は、今まで少し頑張って安くしていたところを、携帯電話会社さんの水準に合わせさせていただく、という意図になります」

つまり、消費者の感覚としては「ナビダイヤルは高い」と思ってしまいがちだが、実は純粋な秒数あたりの単価で見れば、これまでは通常の携帯電話の通話料よりも「安く」設定されていたのだ。それを今回の改定によって、通常の通話料と同等の水準に引き上げるというのが、値上げのもう一つの大きな理由であった。

なぜ企業は「消費者泣かせ」のナビダイヤルを採用するのか?

さらに「なぜかけ放題の対象外なのか?」という質問をぶつけてみたところ、

「これについては、発信側の携帯電話会社様の方で決定権があるものなのです。何を定額通話料の対象にするかというところは、あくまで発信側の事業者が決めることですので、我々(NTTドコモビジネス)の方ではお答えができないところになります」

との回答だった。

かけ放題の対象外となり、発信者に通話料の負担を強いるナビダイヤル。ちなみに、「なぜ問い合わせの電話で企業側はお金を儲けようとするのか」という声もSNSでみられたが、発生した通話料の収益はすべてNTTドコモビジネスに入り、ナビダイヤルを導入している企業側に入るわけではないそうだ。

本来は企業にフリーダイヤルを採用してほしいものだが、それは企業側もコスト負担を嫌っているということだろう。

それではなぜ、通常の市外局番(03や06)ではなく、わざわざナビダイヤルを採用するのだろうか。「もしかして、通話料がかかることを最初に明示することで、顧客からの電話(クレームや問い合わせ)を抑制したいという意図があるのではないか?」と意地悪な質問をぶつけてみた。これに対し担当者は、

「(電話を抑制する意図は)ないと思います。各社ともお客様対応を大事にされていると思います」

と否定した。企業がナビダイヤルを採用する最大のメリットは、「全国共通の0570という1つの番号に窓口を統一できること」にあると解説する。

「企業のコールセンター運営は複雑化していて、複数の拠点で電話を受けているケースが多いんです。例えば、お昼の時間帯はこのコールセンターで受けたいけれども、夜間は別のコールセンターに委託している、といったケースがあります。そうした場合でも、0570の統一番号にしておくことでスムーズに運用できます」

また、通常の固定電話番号(03や06など)にしてしまうと、「どこにコールセンターがあるのか(場所)」が発信者に分かってしまうという問題がある。全国規模の対応窓口として機能させるため、特定の地域を連想させない0570番号が重宝されているとのことだった。

もちろん、これらの理由を知ったからといって、「延々と待たされながら課金されるストレス」が消えるわけではない。だが、単に「ナビダイヤルが悪党である」という誤解を持っていた消費者にとっては、見方が少し変わる事実かもしれない。

とはいっても、消費者に落ち度のない問い合わせや苦情、またはサービスの解約などの通話料が消費者負担というのはやはり納得がいかないものだ。

企業側はフリーダイヤルにするか、あるいはウェブでのチャットサポートや解約システムを充実させ、消費者に負担させることのない仕組みにしていただきたい。

取材・文/集英社オンライン編集部

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