「ドトールやエクセ、タリーズのバイトは同じことしない」ミス日本の「スタバ店員卒業!」投稿が賛否を呼んだ理由
「ドトールやエクセ、タリーズのバイトは同じことしない」ミス日本の「スタバ店員卒業!」投稿が賛否を呼んだ理由

「ミス日本コンテスト2024」で『ミス日本「水の天使」』に選ばれたこともある女優の安井南さんの「スタバ店員卒業!」の報告をする投稿が波紋を呼んでいる。

 

アルバイト生活に区切りをつけた報告として祝福する声がある一方で、「わざわざ大きく言うことなのか」「スタバだから持ち上げられているのでは」と冷ややかに見る声もある。なぜ、ひとつの退職報告がここまで温度差を生んだのか。

近況報告のはずが、なぜ賛否が起きたのか

女優でミス日本に選ばれたこともある安井南さんが3月21日にXに投稿した内容が注目を集めた最大の理由は、カフェ業界トップである「スターバックス」の店員ならではのブランド性の強さにある。スターバックスは、全国どこでも見かける身近なカフェでありながら、そこで働く人にはどこか“感じがいい”“おしゃれ”“接客レベルが高い”といった印象を持たれやすい。

実際、この報告に対して、「スタバのアルバイトの方が辞める時には『卒業!』とSNSに誇らしく投稿するのをよく目にする一方で、ドトールやエクセルシオール、タリーズのバイトは同じことをしません。なぜでしょうか?これがブランディング、そして会社へのロイヤリティです」といったことを指摘する投稿があった。

「卒業しました」という報告も、普通の飲食店アルバイトの退職よりずっと大きく受け止められる。応援する側から見れば、長く続けた仕事を一区切りつけた前向きな報告に映る。

好意的な意見が多いのは、安井さんの発信に親近感があるからだ。華やかな活動をしている人が、実際には接客の現場でも働いていたという事実は、多くの人にとって意外性と好感につながる。芸能や発信活動だけでなく、「地に足のついた生活をしていた」と感じる人も少なくない。

しかも、スタバの仕事には“明るく仕事をテキパキこなす”というイメージがある。忙しい店内で接客し、商品知識も覚え、笑顔で対応する。その印象が強いため、「長く続けていて偉い」「両立していたのがすごい」といった評価が集まりやすい。

つまり、“スタバで働いていた”こと自体が、努力や誠実さの証明のように受け取られている面がある。

スタバのアルバイトは、なぜ“特別視”されやすいのか

一方で、その仕事ぶりからスタバ店員に対して「意識高い系」という印象を持つ人もいる。

そうした目で見る人にとっては、「アルバイト卒業をそんな特別に報告する必要があるのか」と感じられてしまうようだ。ここに反応の分かれ目がある。

特に、「卒業」という表現だ。学校やアイドル活動のように、一区切りを物語的に演出する言葉を、アルバイト退職に用いることに大げささを感じる人は一定数いる。

もちろん、長く続けた職場を離れることを「卒業」と表現する例は珍しくない。しかし、スタバのようにもともとイメージ価値の高い職場である故に、その言い方がより“自分を演出している”ように見えやすい。

祝福ムードで受け止める人がいる一方、「アルバイト卒業は大げさでは」と冷静に見る人もいる。

スターバックスのアルバイトが特別視されるのは、一般的な飲食バイトと少し違うイメージをまとっているからだ。店員は「パートナー」と呼ばれ、ただ注文を受けて商品を渡すだけでなく、会話や提案を通じて空間そのものをつくる存在として見られている。

実際、スタバ店員には「ドリンクの知識が豊富」「接客が丁寧」「常連との距離感がうまい」といった印象が根強い。さらに、清潔感のある店づくりやブランド全体の統一感もあって、働く側まで“洗練された人”として映りやすい。実際、都内のスタバでアルバイト歴のある百貨店勤務の30代女性はいう。

「学生時代にスタバで働いていたましたが、実際、就職活動でも肯定的に見られることはあっても否定的に見られたことはあまりありませんでした。もちろん業界にもよると思いますが、日本全国どこにでもあって、どの店舗もクオリティがある程度保たれているため、その働き方がイメージしやすいんだと思います」

このようにスタバ店員には、勤務経験そのものが一種のステータスのように語られることもある。スタバのアルバイトが持つこの特有の見られ方が、今回の投稿への反応を大きくした。

“可愛すぎるスタバ店員”という見られ方も影響か

安井さんの場合、単にスタバで働いていた人というだけでなく、「可愛すぎるスタバ店員」のような文脈で注目されやすい立場でもあった。そのためSNSの投稿を見る側は最初から、普通のアルバイト報告としてではなく、“話題の人物のエピソード”として受け取る。

ファンや好意的な層は「頑張っていたんだ」と応援するが、斜に構えた層は「結局、肩書きも含めて話題づくりでは」と受け止めることもある。投稿の内容が同じでも、見る側が何を投影するかで印象が大きく変わってしまうのである。

結局のところ、この投稿に賛否が起きた理由は、安井さん個人だけではなく、「スタバ店員」という肩書きが強い記号になっていることが大きい。そこでのアルバイト経験は、努力の証としても、自意識の演出としても見られうる。だからこそ、「卒業」という一言に対しても、素直に祝福する人と、どこか引っかかる人に分かれる。

今回の温度差は、安井さんの投稿内容そのものに加えて、スタバというブランドと、そこで働く人に社会が抱いている特別な視線を映し出したものだろう。

普通のカフェバイトなら流れていく一言が、スタバだと話題になる。賛否が起き、その“特別さ”の裏返しだといえる。

取材・文/集英社オンライン編集部

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