「自分の国へ帰れ!」小学生の外国人いじめが横行…“日本人ファースト”の間違った意識拡大が要因か?「勘違いの正義感が動機になっている子も」専門家が指摘
「自分の国へ帰れ!」小学生の外国人いじめが横行…“日本人ファースト”の間違った意識拡大が要因か?「勘違いの正義感が動機になっている子も」専門家が指摘

文科省が昨年10月に発表したデータによれば2024年度に認知された「いじめ」の件数は76万9022件で、前年度から5%増加して過去最多を更新。いじめの態様では「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われた」が最多の58.5%を占めた。

そんな中、長年社会問題とされてきた「いじめ」にあらたな問題が加わったという。

“日本人ファースト”の曲解がいじめの根底に?

「いじめ問題」が新局面を迎えている。

日本の小学校では外国にルーツを持つ児童が増加しており、文科省の調査ではこの10年で約2倍に増えた。

近年問題視されているのが、こうした外国にルーツを持つ児童へのいじめだという。

中国人の両親を持つ埼玉県の公立中学校に通うホウさんもいじめを経験したひとりだ。

「小学生時代、『自分の国へ帰れ!』といつも言われ、後ろから突き飛ばされたり、仲間はずれにされていました。低学年の頃は日本語の理解が乏しかったこともあり、嘘の宿題情報を教えられたこともあります。

“外国人がいじめから逃れる方法”をネットで検索しては、先生やスクールカウンセラーに相談したり、自分なりにやれることはやりました。

でも、ほとんど変わらず、 “中学生になると体格が大きくなるからなくなる”というカウンセラーからの言葉だけが希望でした。今はだいぶ減りましたが、ツラい記憶として残っています」

外国にルーツを持つ児童が在籍するクラスを複数回受け持ったことのある、神奈川県在住の現役公立小学校教諭のサトルさん(41)はこう話す。

「外国にルーツのある人へのいじめ・悪口はこの2~3年でじわじわ増えており、外国人の人口増加を加味しても、それ以上に増えていることを肌で感じます。

スマホの普及で本人が嫌がる写真が出回ったり、塾通いの子どもが増えてストレスが溜まっている児童の急増も関係しているように思います。

昨年、6年生を受けもった際、クラスにアメリカ国籍の児童Aくんがいました。

英語は話せますが、日本語はたどたどしいため、みんなとのコミュニケーションが取りづらい。それでいて、我が強く自由奔放な子でした。

そんなこともあってか、いつからかAくんがクラスでいじめに遭うようになってしまったんです。 

外国にルーツを持つ児童は、日本特有の“行間を読む”ということが苦手な子もいるうえに、言葉をストレートに発する児童も少なくないんです。

いくら多様性の時代とはいえ、子どもがこうした文化の違いを理解するのは難しい。互いの主張が食い違うことで、外国にルーツを持つ児童がいじめの“標的“になってしまうことがあります。

近年では“日本人ファースト”という言葉が、そうした児童へのいじめを助長していると感じる場面もあります」

いじめ問題に詳しい弁護士「特に深刻ないじめが増加していると思います」

「日本人ファースト」とは、2025年の参院選で参政党が掲げたスローガンだ。

参政党は同選挙で大幅に議席を増やした一方で、「日本人ファースト」は排外主義的な側面が議論を呼び、子どもへの悪影響を指摘する声もあがった。

学校のいじめ問題に詳しい、レイ法律事務所の髙橋知典弁護士も「外国人の子どもに対する“いじめ”、特に深刻ないじめが増加していると思います」と話す。

「SNS等の差別的な表現に触れる機会が増えたからなのか、外国にルーツを持つ子や、海外生活の長い帰国子女がいじめの対象になっている事例が見られます。

元々いじめ被害に遭いやすい理由として、外国人の子や帰国子女は、①日本語が得意ではなく問題を指摘しにくい、②文化的ギャップがあるので攻撃されても自分が悪いのかもと思ってしまうようで被害相談に繋がらない、③学校の先生も言葉や文化の壁を感じており意思疎通ができていない、④友人グループの範囲が限られてしまい抵抗力が弱く狙われやすいといった特徴がありました。

さらに近年は、SNS等で差別用語や攻撃的な言動が示されているからか、加害をする子は、外国の子や帰国子女の子を『卑しい地域から来てるような奴らだから、制裁していい』といった趣旨の、勘違い正義感のような発言を周囲にしていることがあります」

親子の会話の時間が十分にとれないことが一因?

東京都市大学人間科学部准教授で、子どもの生活習慣について研究する泉秀生氏は親子のコミュニケーション不足を指摘する。

「親子でじっくりと話す時間が少ないことが、いじめの根底にあると思います。

たとえば、中国への好意的ではない世論に対し、親が同じような感情を示せば子どもがその影響を受けて、クラスにいる中国にルーツを持つ児童へあたりが強くなることがあります。

親は『こんなニュースがあるけど、クラスにいるBちゃんとは関係のないことだよ。たまたま、Bちゃんの母国がニュースになっているけど、BちゃんはBちゃんだよね』と、その人個人の人格で付き合うように諭すことが必要です。

合わせて、ニュースの背景を共に考え語り合うようにします。親が、外国について批判から入るのではなく、多角的な視点を持って話す機会を設けることができれば、子どもも見方は変わるはずです。

短絡的な情報の結びつけにより、クラスの外国人いじめにつながっているように感じます。また、偏見や表面上の情報に流されやすい子どもは、幼児期に家で親に思う存分甘えられなかった子どもに多いんです。

家事や仕事の手を止め、子どもの心を満たすために5分でも膝に乗せて抱きしめる時間を作ることも大切です」

さらに、“話す時間が限られる”という視点だけでは語りきれない、親の育児力の低下についても指摘する。

「“言いたいことはきちんと本人に伝えよう”とか“人の嫌がることをするのはやめよう“という基本的な教育をしていない親もいるように感じます。

忙しすぎて、そこまで気が回らない可能性も否めませんが、子どもへ厳しくすることを毛嫌いし、叱らない親も増えています。

核家族化が進み、しつけや叱り方がわからない親も一定数いるため、『叱られないからいいや』とお友達への暴言や、外国へルーツを持つ児童へのいじめにつながっているケースもあります。

人に迷惑をかけたときには改めるよう諭したり、“人の嫌がることはやめようね”ということは目を見てしっかり伝えるべきです」

一筋縄ではいかない問題が絡み合っている外国人いじめ。

まずは、家庭で我が子にできることはなにか、真摯に考え向き合うべきなのかもしれない。

※「集英社オンライン」では「外国人いじめ」のトラブルに関連した情報、体験談を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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