〈週6キャバで8000万円〉ICU女子大生が“6000万円投資”で牛たん店オーナーに…「FIREはつまらない」24歳の現在
〈週6キャバで8000万円〉ICU女子大生が“6000万円投資”で牛たん店オーナーに…「FIREはつまらない」24歳の現在

先月27日、東京・渋谷に厚切り牛たん専門店「牛たんの檸檬 渋谷店」がグランドオープンした。オーナーは家入みずほ氏、現在24歳。

国際基督教大学(ICU)に通いながら、キャバクラ勤務で稼いだ6000万円を元手に起業したという異色の経歴を持つ。彼女は一体何者なのか。学生と飲食店オーナー、そして現役キャバ嬢という3足の草鞋を履く彼女のリアルに迫る。

「フランチャイズありますよ」のひとことがきっかけ

家入さんは「ちょっと緊張しますね」とはにかみながらも、「私NGないんで、なんでも聞いてください」と落ち着いた様子で取材に応じてくれた。

――まずは、「牛たんの檸檬」との出会いから教えてください。

家入みずほ(以下同) おととしの夏頃に、『牛たんの檸檬 新宿本店』に行ったのが最初です。あまりの美味しさに衝撃を受けて以来、すっかりファンとなり、週に一度は足を運ぶようになりました。

去年の8月頃、店員さんから『フランチャイズもありますよ』と言われたんです。きっと、別の店舗をおすすめするくらいの軽いニュアンスだったと思いますが、私はそれを聞いた瞬間、“起業のチャンスかもしれない”と感じました。

そこから「自分でやってみたい」という思いが止まらなくなり、公式サイトを見てフランチャイズ出店に応募。次の日にはもう物件探しを始めていました。

不動産屋の方にはかなりなめられましたね(笑)。「学生が何しに来たの?」みたいな空気感がすごかったんですが、夜のお仕事で身につけた“受け流す力”でなんとか乗り切りました。

最高月売上1680万円。夜の街でFIREを目指し稼いだ

――出店資金の6000万円は、キャバクラ勤務で稼いだと伺いました。

はい。20歳のときから六本木のキャバクラで、現在も週6日働いています。ほぼ本業のような感覚ですね。売上でいうと、月に1200万円くらいいったこともありますし、最高では1680万円ほど売り上げた月もありました。

――月商1680万円! 並大抵の努力では到達できない数字に思います。

それとちょうど同じくらいの時期に、株も独学で始めていて、全部合わせると8000万円くらいは稼いだと思います。そこから税金や生活防衛費、投資分を引いて、手元に残ったのが6000万円くらい。その大半を今回の出店資金に充てました。

――もともと起業を見据えてキャバクラで働いていたのでしょうか。

“起業したい”という明確な目標があったわけではないのですが、ただ高校生の頃から「FIRE(経済的自立と早期リタイア)したいな」とは漠然と考えていました。

そこで、手っ取り早く稼げる仕事としてキャバクラを選んだんです。

でも実は私、高校時代から大学生初期に夜の世界へ飛び込むまでは、めちゃくちゃ“陰キャ”だったんですよ。

周りが就活を始めた頃、私も一般企業のインターンに行ってみたんです。でも、そこで「このまま、決められたレールの上を歩むような働き方を続けていくのかな」と強い疑問を感じてしまって。

自分の力だけで、最短距離で資産を築く道を選んだ結果が、今の“夜の仕事と経営”の二足のわらじに繋がっています。

――夜の世界で働くことに、ご両親の反対はなかったんですか。

全く反対はなかったですね。逆に「そんな軽い気持ちで務まる世界なのか」と怒られたくらいでした(笑)。

私の実家は山梨で祖父の代から続く宝石店を営んでいて、今は父が社長を務めています。私は三姉妹の長女なのですが、家業を継ぐつもりはありませんでした。業界の先行きに対する不安もありましたし、とにかく「東京に出たい」という気持ちが強かったんです。

そして国際基督教大学(ICU)に進学。

当時は府中の家賃4万円のアパートで、いわゆる“普通の大学生活”を始めました。

今では、キャバクラで稼いだお金を実家に仕送りしていて、図らずも「家計の大黒柱」みたいな存在になっていますね。

「FIREはつまらない」24歳の質素な私生活

――“稼ぐこと”や“FIRE”を目指していた家入さんが、“飲食店のオーナー”というハードな道を選んだ理由は何だったのでしょうか。

結局、稼ぐのが趣味になっちゃったんですよね(笑)。いざFIREに近づいてみると「何もしないのはつまらない」と気づいてしまって。そんなときに出会ったのが『牛たんの檸檬』でした。

もし『牛たんの檸檬』に出会っていなければ、今頃FIREしていたか、結婚して家庭に入っているか、あるいは夜の世界でクラブのママになっていたと思います。

――一方で現在も国際基督教大学(ICU)に在籍されていますが、学業との両立は?

現在は4年生を3回目なんです(笑)。卒業単位はほぼ取り終えているのですが、卒論だけはあえて書かずに残しています。

――あえて、ですか?

夜の仕事をしていると、「学生」という肩書きの強さをすごく感じるんです。実際、お客様の反応もいいですしね。「キャバ嬢」や「経営者」である前に、まだ「学生」でいたい。ある意味、一番自由な立場でいられる時間だと思っているので……。

まあ、まだ自由でいたいという、“甘え”かもしれません。

――普段、お金をかけていることや自己投資として意識していることはありますか。経営者になってから変わった金銭感覚や価値観があれば教えてください。

変わったことはあまりないですね。お金は……つかうとすれば株を買っています。

現在は都内で妹と家賃13万円の家で二人暮らし。父からの「固定費は抑えろ」という教えを今も守って、生活レベルを上げないようにしているんです。

ブランド品を買ったり、インスタグラムや整形で承認欲求を満たしたりしたいという気持ちもあまりなくて……。たぶん私、根本的に「ケチ」なんですよね(笑)。

趣味といえば、たまに行くシーシャやゴルフ、あとは月1で実家に帰るくらいです。

基本的に週6日働いているので、お金をつかう時間もあまりないんですけど、「稼げるのに何もしない」という状態が一番もったいないと感じていて。その“機会損失”が怖いからこそ、自然と今の働き方になっているのかもしれません。

――実際にお店がオープンして1か月経ちますが、生活で変わったことはありますか?

ありがたいことにお客さんも多くて、売上が1日60万円を超えると現場が回らなくなることもあります。仕込みの大変さも、やってみて初めて知りました。

準備段階で釜を2つ買ったのに、1つ余らせてしまったことも。細かい失敗も多くて、スタッフには申し訳ないなと思うことも多いです。

正直、スタッフから見たら私って「なんだ、あのオーナー」と思われてもおかしくない立場だと思うんです。だからこそ一番働いている姿を見せようと思い、オーナーですけど毎日必死に洗い物をしています(笑)。

これまでバイト経験もなかったので、すべてが新鮮なんですよね。スタッフと一緒にまかないを食べている時間は、「普通の女の子」に戻れる感じがして、大好きな時間です。

“日本のいいもの”を海外へ広げていきたい

――『牛たんの檸檬』の取締役にはホリエモンこと堀江貴文さんもいらっしゃいますが、家入さんは堀江さんのYouTube動画にも出演されるそうですね。

はい。私の経歴などを面白がってもらえたみたいです。収録では「堀江さんから学べることを全部吸収してやろう」という欲張りな気持ちで臨みました(笑)。



緊張しすぎず、お客様と接する時のようなフランクな気持ちでお話しできたと思います。

――今後の目標を教えてください。

今、お店に来てくださる方の5~6割は海外からのお客様(インバウンド)なんです。アジア圏の方を中心に、日本の牛たんがこれだけ喜ばれるんだと肌で感じています。

将来的には、ICUで学んだことを活かして、牛たんに限らず、“日本のいいもの”を海外へ広げていきたいです。

――かつての「FIRE」の夢は……?

うーん。やっぱり私は“FIRE”よりも働いているほうが性に合っている気がします。

不労所得よりも、目の前でお客さんが美味しそうに食べてくれている瞬間や、スタッフとまかないを食べて笑っている時間のほうが、私にとってはよっぽど価値がある。

普通の感覚は失わずに、でも勝負するときは大きく張れる。そんな経営者になりたいです。

取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 撮影/恵原祐二

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