≪池袋・ストーカー殺人とばっちり≫「憶測だけで書くのはあんまりです」死亡した男と同姓同名というだけでSNSで個人情報をさらされた男性の“生存”を確認
≪池袋・ストーカー殺人とばっちり≫「憶測だけで書くのはあんまりです」死亡した男と同姓同名というだけでSNSで個人情報をさらされた男性の“生存”を確認

26日夜、東京都豊島区東池袋の巨大複合施設サンシャインシティでアルバイトの春川萌衣さん(21)が元交際相手の廣川大起(たいき)容疑者(26)に殺害され、容疑者も自殺した。子どもも楽しむ場所で起きた凶悪なストーカー殺人に衝撃が走っているが、容疑者と同姓同名の無関係の男性が犯人扱いされてSNSでさらされるという別の被害も生んでいる。

集英社オンラインはこの男性と直接話し、生存と、事件とは無関係であることを確認した。

死亡した容疑者と同姓同名で… 

「確かな情報ではなく憶測だけで書くのはあんまりかなと思います」

落ち着いた様子ながらSNSによる無責任な拡散の被害を訴える男性は、学生時代、スポーツ強豪大の選手として鳴らし、部の重要な役職を務めたこともあって自分の写真を含む部活動を紹介するポストをしていた。また、この部のアカウントにも男性の記録を紹介するポストが残っている。

26日深夜、池袋事件の容疑者名を警視庁が発表し、それが報道されると、名前を検索して見つけたのか、ある人物が4年ほど前のこうしたポストを引用し、

〈年齢と地域が一致しているので●大学●部ブログに登場していた人だろう。体格がよく戦闘力高そう。〉

などと書き込み、これが12万回も表示されるなど拡散され、その後も「まとめサイト」や配信者などが「特定」などと煽って男性の個人情報を拡散している。

だが、指摘された男性は、死亡した容疑者と漢字は同姓同名でも読み方は微妙に違い、しかも年齢も異なっている。

事件を取材する社会部記者も、

「警視庁が死亡した容疑者の住所は『不詳』と発表したので、名前を頼りに可能性のある人を報道各社が探しました。同姓同名のその男性の関東にある関係先にも27日の午前中は多くの取材が入ったようですが、関係者が否定してすぐに無関係だと確認されました」と話す。

男性の関係者は「本人は元気に今日も出勤しています。人違いで本当に困っています」と話していた。結局27日夕、記者と直接話した男性は「大学と、今働いているので職場にも影響しそうです。ちゃんと確認をしてほしい」と訴えた。

実際、死亡した廣川容疑者が最近まで家族と暮らしていたとみられる家は、間違われた男性の家とは遠く離れたエリアにあり、各社“ウラどり”取材に追われている。

SNSで見かけ「名前が一緒」というだけで…

今回の事件はファストフード店のバイト先で知り合った春川さんを、廣川容疑者がつけまわした末に犯したストーカー殺人だったことが見えてきている。

2人は2024年10月から交際したが、昨年7月ごろには関係は解消されていた。しかし廣川容疑者はその後も春川さんにストーキングを行ない、たまりかねた春川さんは昨年12月25日に警視庁八王子署に相談。

相談を受けた同署は同日中に春川さん宅の近くをうろついていた廣川容疑者を発見、その場で身柄を押さえ、ストーカー規制法違反容疑で逮捕している。その時、容疑者の車からは果物ナイフが見つかっている。

さらに同署は今年1月15日には春川さんを盗撮したとして性的姿態等撮影処罰法違反容疑で廣川容疑者を再逮捕。同容疑者は禁止命令を受け略式起訴された後、1月30日に釈放されている。

禁止命令を受けて「もう近づきません」と宣言した廣川容疑者だったが、2ヶ月も経たずに子どもや外国人観光客でにぎわう春川さんの職場である「ポケモンセンターメガトウキョー」で春川さんを襲い、その場で自らの首も刺し死亡した。

現行のストーカー対策を総動員し、身柄拘束もされた人物が短期間で被害者の命まで奪った展開に、「一体どうすればストーカーを止めることができるのか」と社会が受けたショックは大きい。

だが、容疑者が憎いからといってSNSで見かけた「名前が一緒」というだけの人を犯人扱いするのは言語道断だ。社会の感情が高ぶっている時ほど、怒りの矛先を探すような態度は新たな被害を生みかねない。

※「集英社オンライン」では、今回の事件についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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