「なぜそこまで重用?」和田アキ子の新番組がスタート タモリ、とんねるず…テレビ局が大御所に与えてきた“次の番組”を考える
「なぜそこまで重用?」和田アキ子の新番組がスタート タモリ、とんねるず…テレビ局が大御所に与えてきた“次の番組”を考える

テレビはまだまだトガっている。心に“刺さった”番組を語るリレー連載「今週のトガりテレビ」。

今回は、40年続いた『アッコにおまかせ!』終了直後に始まる『アッコとジャンボ』を中心に、テレビ局が大御所に与えてきた“その後の枠”について考える。

大御所に“お疲れ様枠”を用意してきたテレビ局

『アッコにおまかせ!』が、2026年3月29日の放送をもって終了した。1985年10月に始まり、40年6カ月続いたTBSの日曜昼の長寿番組だ。和田アキ子の芸能人生を象徴する番組だったと言ってもいいだろう。

ただ、TBSはそこで和田アキ子との関係を切らなかった。4月7日からは新番組『アッコとジャンボ』が火曜深夜0時56分にスタートする。

相方はお笑いコンビ「レインボー」のジャンボたかお。内容は、東京の“隠れた名店”を探す街ブラロケ。日曜昼の生放送から、火曜深夜のロケ番組へ。かなり思い切った方向転換に見える。

しかしこういう流れ自体は、テレビ局ではそこまで珍しいものではない。長く続いた看板番組が終わったあと、その司会者に別の番組を用意することは、これまでも何度かあった。

たとえば『笑っていいとも!』(フジテレビ系)が2014年3月31日に終わったあと、タモリは同じ年の10月に同局で『ヨルタモリ』をスタートさせた。

宮沢りえを相手に、深夜の店を舞台にゆるく話す番組で、昼の国民的生番組とはかなり空気が違った。

2016年3月31日に『ライオンのごきげんよう』(フジテレビ系)を終えた小堺一機もそうだ。『いただきます』時代から数えれば30年以上、昼の顔を務めてきた小堺は、その直後の2016年4月から同局で『かたらふ~ぼくたちのスタア~』を担当した。

酒場のような空間で、ゲストと一緒に人物や思い出を語る番組。これもかなり落ち着いた作りで、『ごきげんよう』を出演者と同世代の視聴者向けに特化したような内容だった。

2018年3月に『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が終わったあとには、石橋貴明が同局で『石橋貴明のたいむとんねる』を始めている。昔のカルチャーや流行を語る、深夜らしいトーク番組だった。

さらに最近だと、『サンデーモーニング』(TBS系)を勇退した関口宏も、その後BS-TBSで『関口宏のこの先どうなる!?』をスタートさせた。こちらは時事的なテーマを専門家と一緒に考える番組で、やはり“次の場所”を用意された形だった。

和田アキ子でもう一度当てるつもり?

こうして並べてみると、これまでの流れにはわりとはっきりした傾向がある。長寿番組のあとの新番組は、少し時間帯が遅くなって、規模もコンパクトになって、内容もトーク中心になることが多い。大御所に、少し肩の力を抜いてやってもらう番組、という感じだ。

でも、今回の『アッコとジャンボ』はそこが少し違う。

深夜に移るところまでは同じでも、内容は街ブラロケだ。しかも相方は、同世代のベテランではなく、現在のバラエティの一線で売り出し中のジャンボたかお。

功労者に対する、ある種の“年金”や“天下り先”にも見えるような、落ち着いたごほうび番組というより、もう一回何かを当てにいこうとしている感じがある。

もちろん、「絶対に大ヒットさせるぞ」というほどではないだろう。そこまで気負った企画には見えない。ただ少なくとも、「とりあえず枠だけ用意しました」ではなさそうだ。ロケに出て、旬の芸人と組ませて、深夜でも少しでも話題になればという狙いを感じる。

実際、ネットでは否定的な声もかなり多い。「まだ需要あるの?」「なんでそこまで和田アキ子を使うの?」「年齢や体調を考えると、あまり働かせないほうがいいのでは」といった反応は目立っている。番組内容そのものより、「なぜここまでして新番組を用意するのか」に引っかかっている人が多い印象だ。

一方で、「この組み合わせ、意味わからなすぎて逆に見たくなる」「深夜ならちょうどいいカオス感かも」といった声もある。嫌われているだけではなく、妙な引っかかり方をしているのも確かだ。

和田アキ子とジャンボたかお、という並びそのものが、ちょっとしたフックになっている。

これまでは、長寿番組を終えた大御所に新しい枠を与える時、どこか“おつかれさまでした”の意味合いも見えた。でも今は、テレビ局にもそんな余裕はあまりない。深夜でも、低予算でも、少しでも見られる形にしないと意味がない。大御所を残すにしても、ただ残すだけでは済まないのだ。

“無駄”が許されないテレビ局の現状

『アッコとジャンボ』がうまくいくかどうかは、まだわからない。正直、厳しい目で見ている人のほうが多いだろう。でも今回のTBSの動きは、ただの温情だけでは片づけられない。

長寿番組を終えた功労者を残しつつ、その新しい番組でもなお攻めようとしている。そこには、いまのテレビの苦しさもあれば、惰性では終わらせまいとする意志もにじんでいる。

大御所のごほうび枠ですら、ちゃんと戦える形にしないといけない。そんな今のテレビの現実が、かなりはっきり表れている番組なのかもしれない。

文/ライター神山

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