子どもの小学校入学に伴い、保護者が出勤したあとに子どもの居場所が一時的になくなる「朝の小1の壁」問題。その対策として早朝に校門を開ける取り組みが各地で広がるなか、群馬県高崎市も4月から市内すべての小学校で開門時間を午前7時に前倒しする。
しかし、事業の内容をめぐり、教職員や市議、退職教員らから強い批判の声があがっている。集英社オンラインが2月8日に報じた後、事態はどう進展したのか。全群馬教職員組合の田中委員長に再び話を聞くとともに、市議や教員OBらにも見解を聞いた。
先延ばしされた交渉は30分…市の回答は
昨夏に突然発表された高崎市の「小学校7時開門事業」。
共働きなどの理由で早朝に家庭に居場所のない児童のために、市内全小学校の開門時間を午前7時に前倒しするというものだが、子どもの安全確保のための施策がないことや、事業発表までの不透明なプロセスや事業内容に対して現場の教員らは強く反発している。
1月以降の市教委とのやり取りについて、全群馬教職員組合の田中委員長は次のように説明する。
「1月9日に市の教職員組合とわれわれの連名で、事業の撤回と再検討、ニーズ調査、人員配置、市長と意見交換の場を要求しました。その後、28日に市教委から『対面を希望するのであれば、正式な団体交渉としての書面にしてほしい』と回答がありました」
田中委員長によれば、勤務条件に関することの記入や、「地方公務員法(地公法)の55条に基づいたものである」と記載することを要求されたという。地公法の55条には次のように記載されている。
「地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。」
田中委員長はこう続ける。
「市教委は地公法55条を根拠に『交渉事項には当たらない』と結論付けようとしているのではないかと思います。
しかし地公法55条は、『勤務条件に関わること以外は話し合ってはいけない』とは書いておらず、福利厚生なども含めて働きやすくするためのことはすべて話し合っていいとしています」
田中委員長らは訂正した要求書を2月12日に提出。その後、3月13日に市教委から対面交渉に応じると回答があり、27日に「30分」という制限のなかで交渉が行なわれた。
交渉で市教委側は「緊急対応が必要な場合は、校務員が管理職等に連絡をして指示を仰いで対応する」「怪我をした子どもが目の前にいれば教職員も対応する場合があるし、今までもそうしていたと思う」「制度設計自体は非常にシンプルなものであり、勤務の負担が増加しているとは捉えていない」などと説明し、これまでの回答を繰り返したという。
市の方針通り、4月から事業が実施される。
市は「学校が見守りを必要とした場合でも配置させない」と答弁
田中委員長は、事業を「まるで子どもの“置き配”です」と強く批判する。
「長く働かないと生活できない社会が原因であり、企業のニーズであるはずの『長時間労働』がいつの間にか親のニーズのように思わされている。その結果、子どもが邪魔者になっている構造です。
子どもの朝の居場所は家庭であり、親が朝、家庭にいられる社会を作るべきです。ただ、過渡的にそれが難しいために、学校で受け入れるのであれば、最優先すべきは『子どもたちの安全』です。
しかし、いま高崎市で行なわれていることは順序が逆です。『親が大変だから学校を開ければいい』という発想から始まっており、子どもの人権は考慮されていません。
我々も、すべての要求を受け入れてほしいと言っているのではなく、対等に話し合ってほしいと伝えていますが応じてもらえません。これは人権の問題です」
3月の市議会でもこの問題は取り上げられた。質疑に立った日本共産党の伊藤あつひろ市議はニーズ調査の結果について次のように指摘する。
「各学校で行なわれた調査の結果、早朝開門を必要としない学校が16校ありました。
『来る可能性もあるから開けておく』というだけであり、事業実施を一律で決めてしまったものだから、引っ込みがつかなくなったのではないかと私たちは考えています」
また、伊藤市議は市が緊急時対応マニュアルを一律に作成しない方針についても疑問を呈する。
「新しい事業を始めるのであれば対応マニュアルを教育委員会の責任で示すべきだと私は考えています。それを『今までの延長にすぎないから』という根拠で作らないとしています」
さらに、開門時に配置される校務員が門を離れた場合の対応についても、明確な答弁はなかったという。
「『管理職ないし先生が誰かいるだろう』ということが前提になっています。市長は『今も早く来ている先生がいるでしょう』と発言しています。
先生に負担をかけられないことは承知しているのに、結果として矛盾した設計になっています」
市教委が「学校が見守りを必要とした場合でも配置させない」と答弁したことについては、伊藤市議は「はっきり言ってもらって逆に良かった」と話す。
「『学校の実情に応じて対応する』と言うと今までの組み立てが崩れてしまうので、そう答えざるを得なかったのだと思います。
現場で『誰かいないといけない』と考える校長は必ず出てくると思いますが、それでも教育委員会としては(追加の人員を)つけるとは言わない、ということです」
伊藤市議によれば、たかさき未来や市民クラブ、無所属議員などからも「これはひどい」との声があがっており、「問題意識を共有している議員は複数いる」という。
「市は市民の声を聞くことができないということです」
7時開門問題をめぐっては、退職教員らも声をあげている。
高崎市内で勤務してきた教職員OBによる「高崎市退職教職員有志の会」の西川氏は次のように話す。
「かつて子どもたちの教育に責任を持ってきた者として、こんなに無責任で大丈夫だろうかと心配しています。
1月に申し入れを行ないましたが、市教委から『要望には答えられない』とされ、再度申し入れをしても『会うことはできない』と回答されました。応じられない理由については『保留』としながら、その後も3回ほど電話をしましたが、まったくなしのつぶてでした」
3度目の訪問を検討していたところ、市教委から電話があった。そこで『対面で話を聞くことも、文書で回答することもできない』と伝えられたという。
「つまり市は市民の声を聞くことができないということです。この事業は市長が市民からの要望を受けて始まったはずですが、私たちや保護者の声は『市民の声ではない』と言われているとしか思えません」
西川氏は市教委の姿勢にも疑問を呈する。
「もし市長が言っていることが間違っているのならば『市長、それは無理です』と言うべきなのが教育委員会だと思っています。首長のトップダウンで何事も決まってしまう市になっては困ります。
教育委員会が一度でもこういうことをやれば、これから先、あらゆる教育委員会の施策で子どもが置き去りになってしまうのではないか。そこが一番問題だと考えています」
各地で児童生徒らの命にかかわる事故が多発するなかで、市は子どもの安全をどう考えているのか。何も起こらないように事前に十分な策を講じることこそ、本来、自治体に求められる責務なのではないだろうか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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