「ふざけるな金返せ!」ガソリン補助金「30.2円」投入で値下がりわずか「13.1円」…“中抜き17円”のカラクリ
「ふざけるな金返せ!」ガソリン補助金「30.2円」投入で値下がりわずか「13.1円」…“中抜き17円”のカラクリ

ガソリン価格は本当に「170円」なのか――。その裏で、1リットルあたり48円を超える税金が注ぎ込まれ、実際の価格は220円を超えているという。

しかも補助金の多くは消費者に届かず、“消える構造”が放置されたままだ。なぜ日本だけがこの仕組みに固執するのか。

1リットルあたり48円を超える税金が音もなく抜き取られ

いま、近くのガソリンスタンドの価格表をよく見てほしい。

そこには1リットルあたり170円前後の数字が明るく光っているはずだ。しかし、その数字は国が巨額の税金を使って作り出した真っ赤な嘘である。本当の価格はすでに220円をはるかに超えているのだ。

その差額を埋めるために、あなたの財布から1リットルあたり48円を超える税金が音もなく抜き取られ、注ぎ込まれているのである。

3月、中東のイラン情勢が怪しくなったことを言い訳にして、政府はガソリン補助金を過去最高の金額にまで引き上げた。もはやこれは経済を良くするためのまともな政策ではない。補助金という名前の麻薬である。

なぜ日本だけが、こんなおかしなやり方にしがみついているのか。世界中のデータが証明する絶望的な事実を、ここで包み隠さずお伝えしよう。

先進国では補助金という麻薬をやめている

まず、絶対に知っておかなければならない事実がある。それは、ガソリンの税金を下げる「減税」を行うのが主に先進国のやり方であり、ガソリンの価格を無理やり下げるために「補助金」をばらまくのが主に発展途上国のやり方だということだ。

これは私の個人的な主観ではなく、世界のエネルギーや経済を見張っている国際エネルギー機関や国際通貨基金のデータを見れば一目でわかることである。

ヨーロッパやアメリカなどの先進国は、物の値段が上がって国民が苦しんでいるとき、真っ先に税金を下げるという方法を選ぶ。税金を下げれば、その分だけ確実に物の値段が下がり、国民の生活を直接助けることができるからだ。途中で税金が目減りすることもない、とても透明で公平なやり方である。

一方で、政府が無理やり物の値段を決めて、足りない分を補助金という名目で配るのは、新興国や発展途上国でよく見られるやり方だ。これは国の財政をひどく痛めつけるだけでなく、配られた税金が消費者のもとへ届くまでに途中で消えてしまう非効率な温床になる。だからこそ、先進国では補助金という麻薬をやめているわけだ。

それなのに日本はどうだろうか。

日本は世界有数の経済大国でありながら、先進国が選ぶ減税という正解を頑なに拒絶している。そして、発展途上国が苦しんでいる補助金という泥沼に、これまでに8兆円を超える途方もない血税を注ぎ込み続けているのだ。日本はいつから、こんなに理屈の通らない国に成り下がってしまったのだろうか。

補助金は消費者へ一直線に届かない欠陥を持った制度

3月19日、政府は1リットルあたり30.2円の補助金を市場に投入した。普通の頭で考えれば、お店のガソリン価格は30円安くならなければおかしいはずだ。

ところが、資源エネルギー庁が発表したその次の週のお店での値下げ幅は、たったの13.1円だったのである。残りの17.1円は一体どこへ消えてしまったのか。

財務省が過去に行った調査でも、国からもらった補助金の全額をきちんと値下げに使ったと答えたガソリンスタンドは、半分以下の45.2パーセントしかいなかった。

国は川の上のほうからジャブジャブと税金を流し込むが、川の下のほうにいる私たちのところに届く頃には、複雑な流通の仕組みや時間差のせいでその効果が大きく薄れてしまっているのだ。

補助金とは、そもそも消費者へ一直線に届かない欠陥を持った制度なのである。

30円の税金を使って13円しか安くならない買い物を、あなたは自分の身銭を切ってやるだろうか。絶対にやらないはずだ。しかし、政府はあなたの税金を使って、そんなバカげた無駄遣いを平然と、そして大規模に続けているのである。

税金をストレートに安くする「減税」をやればいいだけ

誤解してほしくないのは、私は「ガソリンが高くなっても政府は何もしなくていい」と言っているわけでは決してないということだ。

日々の生活に欠かせないガソリン価格の急激な高騰は、生活に余裕のない人たちや、毎日トラックを走らせている中小企業の経営を容赦なく直撃し、最悪の場合は生活や会社を完全に破壊してしまう。

だからこそ、国が責任を持って急激な価格の変化に対応し、国民を守り抜くことは絶対に必要である。

しかし、だからといって、なぜ「補助金」などという不合理で非道徳的なやり方をわざわざ選ぶのか、ということに私は心の底から怒っているのだ。

本当に困っている国民や小さな会社を助けたいのなら、今すぐガソリンにかかっている税金をストレートに安くする「減税」をやればいいだけの話である。

減税をすれば、お店のレジで支払うガソリン代は確実に、そして1円の狂いもなく安くなる。

生活が苦しい家庭も、赤字に苦しむ地元の運送会社も、みんなが平等に、そしてすぐに助かるのだ。

こんな異常な政策が何年にもわたって平然と続けられている日本

ところが、今の日本政府はそれを絶対にやろうとしない。

彼らは「苦しむ国民を助けるためだ」とテレビカメラの前で深刻な顔を作ってみせるが、その裏では、本当に困っている国民を通り越して、すでに力を持っている巨大な石油元売り企業に向けて何兆円もの税金を流し込んでいるのである。

国民の苦しい生活をまるで人質のように利用して、一部の巨大企業を太らせているのだから、これほど悪質で非道徳的な政治はない。

苦しんでいる国民の顔を見るのではなく、自分たちに都合の良い特定の業界のほうばかりを向いているから、こんな異常な政策が何年にもわたって平然と続けられているのである。

こんな異常な仕組みがなぜいつまでも続くのか。その原因を作ったのは、かつて経済産業大臣を務めていた宮沢洋一氏とそのお仲間たちだ。宮沢氏が業界の再編を進めたことで、日本の石油業界は数社にまとまることになった。

このようにプレイヤーが少ない市場に対して、政府が価格を操作しようと補助金を流し込めば、お金の流れが滞り、国民に真っ直ぐ恩恵が届かなくなることなど最初からわかっていたはずだ。

間違った市場への介入を続ければ、正しい価格競争など起こるはずがない

政府は権力を失いたくないから減税しない

政治家や役人たちは、減税よりも補助金を出すほうがスピードが速いといつも言い訳をし、政府が補助金の額を決め、その結果として莫大な税金が効果を発揮せずに消えていく。

この悪魔のようなサイクルを守るために、政治家たちはガソリンの減税、つまりトリガー条項の凍結解除などを絶対に認めないのだ。

減税をしてしまえば、1円の狂いもなく価格に反映されてしまい、政府がお金を配って価格をコントロールするという権力を手放すことになるからである。彼らにとって、透明で公平な政策など邪魔なだけなのだ。

私たちは、いつまでこのふざけた仕組みにおとなしく従うつもりなのだろうか。経済の正しい知識に照らし合わせれば、このガソリン補助金は絶対にやってはいけない政策である。

第一に、補助金は私たち消費者を直接助けるものではなく、巨大な石油元売り企業を経由するため、途中で利益をかすめ取られる中抜きの危険が常につきまとう。税金を直接下げる減税であれば、お店のレジで支払う金額が確実に安くなり、誰かが途中でかすめ取る隙間など一切ないのとは大違いだ。

威張りたい政治家や役人のための制度

第二に、補助金を配る仕組みを維持するためだけに、膨大な事務手続きの費用や役人たちの人件費として、さらに無駄な税金が捨てられている。税率を変えるだけの減税なら、こうした巨大な政府の無駄遣いは発生しない。

そして第三に、政府がガソリンは170円にするなどと無理やり目標の値段を決めるやり方は、自由な経済のルールを根本から壊してしまう。

市場の競争をなくし、特定の企業に税金を流し込む補助金は、税金を配る権限を握って威張りたい政治家や役人のための制度であり、国民の生活を豊かにするためのものでは決してないのだ。

いま、1リットルあたり17.1円の中抜きを招いた30.2円を超える、48.1円の補助金が出ているという事実から目をそらしてはいけない。本当は220円のものを、税金で化粧をして170円だと嘘をつく政府は、借金をして見栄を張っている愚かな人間とまったく同じだ。

中身のわからない不透明な補助金という名の集金システムを今すぐ叩き壊し、誰もが納得できるガソリン減税へと直ちに舵を切るべきだ。

さもなければ、日本は先進国のふりをしたまま、無駄な税金の使い方をやめられない惨めな国として世界から取り残されていくだけである。

次は、この私たちの血税を湯水のように使い続ける行政の責任に対して、徹底的に変革を求めていこうではないか。

文/小倉健一

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