阪神ファン女子の4人に1人が“他球団から乗り換え”していた…元推し球団の意外な1位、2位の球団とは
阪神ファン女子の4人に1人が“他球団から乗り換え”していた…元推し球団の意外な1位、2位の球団とは

阪神ファンの女性「TORACO」約3000人へのアンケートで驚きの結果が出た。それは約4人に1人のファンが過去に他球団のファンだった経験があると回答したこと。

中でも驚きだったのは、乗り換え元の球団だ。彼女たちはなぜ“推し変”したのか。

 

『「幸福感」に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう』(集英社)より一部・抜粋再構成してお届けする。

「巨人ファン」が「アンチ巨人」に…

私が今回の調査で驚いたことの一つが「ファンの球団の乗り換え」について。結論から言いますね。今回、2868人のTORACOに「過去に、他チーム(NPBに限る)のファンだった経験はある?」と聞いたところ、約4人に1人(24.6%)が「はい」と回答。では、どのチームから乗り換えたのかと聞いてみると……。

1位は、同じ関西の球団「バファローズ」(29.8%)でしたが、2位はなんと!タイガースの永遠のライバル「ジャイアンツ」(24.7%)。しかも、1位とはわずかな差しかなかったのです。

なぜ、彼女たちに「浮気心」が芽生え、ファンの球団を乗り換えるまでに至ったのか。残念ながら今回の調査では、そこまでヒアリングできなかったのですが、ぜひ今後、その理由を深掘りするインタビュー調査をかけてみたいと思います。

ちなみに、私も過去に「巨人→阪神」へと乗り換えた一人です。またタイガースという「天国」に至るまで、どのチームのファンとも決められない流浪の生活も体験。

そのころは、どのチームの試合を観ても満たされず、ジャイアンツが負けると喜ぶ、いわゆる「アンチ巨人」を自負していました。

そんなある日、夫に言われたのが、「君って本当は、いまでもジャイアンツが好きなんだよ。だからそんなに、いまでも気になるんでしょ」。

ハッとしました。ただ、「可愛さ余って、憎さ100倍」とは違う。たとえるなら、「長年付き合った末、お互い納得して別れたはずの元カレの様子が、なぜかその後も気になる」ような感じ、でしょうか。

憎いわけではないのです。ただ、「次に交際するカレは、その元カレが悔しがるほど、いい男性でないと」など、必要以上にライバル視するニュアンス。だからこそ、折に触れて元カレ(ジャイアンツ)の現状を「チラ見」して、自分よりハッピーになっていないか、いい成績を収めていないかと気にする。

次の交際相手(タイガース)が決まったあとも、「元カレとの毎日より、少しでも幸せな(成績が上の)状態」を目指して頑張らないと、と自分を鼓舞するイメージです。

生まれたときから「生涯虎命」で、選択に迷わない(ジャムの法則)でいられるTORACOたちに比べると、ある意味で「不健全」な感情かもしれない。

気になる「元カレ球団」が推し活のスパイスになる

ですが、乗り換えたあと、「元カレ」が気になっている皆さんも安心してください。

じつは、そうした(元カレへの)「ライバル視」が前向きなものであれば、ピア効果と呼ばれるプラスの効果をもたらすことも、研究でわかっているのです。



ピア効果の「ピア(Peer)」は、仲間や同僚、そして「ライバル」の意味。この効果を実験によって示した、米国の心理学者ノーマン・トリプレット氏は、いまから120年以上前の1898年、40人の子どもたちに対し、釣り竿のリールを改造した器具を使って、素早く糸を巻き取るゲームにトライさせました。

すると、一人でトライした子どもより、「仲間(ライバル)」と共に互いを意識しながらやった子のほうが、巻き取る速度が速くなり、作業効率が明らかにアップした、とのこと(Triplett, N., (1898),“The dynamogenic factors in pacemaking and competition.” The American Journal of Psychology, 9(4), pp.507–533)。

まさにこれが、ピア効果。トリプレット氏の実験は近年、「提示した被験者に偏りがあったのでは?」など一部から批判も浴びていますが、人はライバルと競うようにして頑張ることで、一人で同じ作業を行なうよりも高いパフォーマンスを挙げることが多い。この可能性は否定できないでしょう。

スポーツ選手においても、よく言われますよね。ライバルのような存在がいたほうが、相手に負けまいとしていい成績を収める選手が多い、と。ただしその場合、ライバルに抱く感情は「ポジティブ」である必要がある。憎んだり妬んだりするのではなく、相手を意識しながらも前向きに競ってこそ、好結果がもたらされます。

野球の応援も同じでしょう。「絶対に負けたくない」とライバル視するチームがいてくれたほうが、より応援に熱が入るもの。

ファンの球団の乗り換えを経験したTORACOたちもきっと、「元カレ(ジャイアンツほか)」を意識しながらタイガースを応援することで、より満足のいく応援パフォーマンスを挙げているはずです。

文/牛窪恵

『「幸福感」に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう マーケッターが気づいた「効果と法則」』(集英社)

牛窪恵
阪神ファン女子の4人に1人が“他球団から乗り換え”していた…元推し球団の意外な1位、2位の球団とは
『「幸福感」に満たされたいなら阪神ファン マーケッターが気づいた「効果と法則」』(集英社)
2026年3月5日1,760円(税込)224ページISBN: 978-4-08-790234-1

【野球でなく「幸せ」に関する本です!】
★「おひとりさま」「草食系」など数々の流行語を世に広め、「ホンマでっか!?TV」ほかテレビのコメンテーターでもおなじみのマーケッター・牛窪恵さん。大学教授でMBAホルダーでもある著者が、推し活と行動経済学などの研究を経て導き出した「Well-being(幸福感)」に繋がるキーワード、それが「阪神ファンと熱狂」でした。
★みずからも熱狂的な阪神ファンで、毎年40試合前後を球場で観戦する著者だからこそ気づいた、彼らの体感的リアリティと行動心理の意外な関係。本書を読むことで、阪神ファン自身も気づいていない「幸福感」に繋がるヒントが、数多く得られるはずです。
★本書ではそうした実践的ヒントを、著名なマーケティング理論や女性ファン(TORACO)約3000人への調査・取材を通して独自分析し、わかりやすく展開します。

【効果と法則はこんなこと!】
■報酬の予測誤差=「ダメな子ほど可愛い」が喜びをもたらす
■プラシーボ効果=前向きな「思い込み」こそが幸運を呼ぶ
■ファンベース効果=「熱狂」こそが幸福度を高める
■サンクコスト効果=「今後も私(僕)がいなきゃ」が愛着を生む
■幸せの損益分岐点=「小さな幸せ」の積み重ねが、幸福度を高める
■PERMAモデル=「没頭」こそが、幸福持続の源泉に

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