〈北中米W杯〉森保ジャパンをもう一段上へ押し上げる「3人の切り札」 完成度の高い日本代表に、まだ伸びしろはあるか?
〈北中米W杯〉森保ジャパンをもう一段上へ押し上げる「3人の切り札」 完成度の高い日本代表に、まだ伸びしろはあるか?

サッカー日本代表は北中米ワールドカップに向けて、残すところあと親善試合1試合(5月31日・アイスランド戦)のみとなった。3月のイギリス遠征での2試合を経て、森保一監督のメンバー構想は、ほぼ固まっているだろう。

昨年のアジア最終予選以降に日本代表に名を連ねたプラスαとなり得るジョーカーは誰か。各ポジションから3人の選手に注目した。

スタメンの序列を一気に変える2人の選手

6月に北中米ワールドカップに向かう日本代表は、すでに土台の完成度が高い。

オランダリーグで得点ランキングトップを独走するFW上田綺世をはじめ前線には個で違いを作れる選手が並び、中盤には走力と技術を兼ねた人材がそろい、最終ラインも可変システムに対応できる。

だからこそ本大会で問われるのは、ベースの強さそのものよりも、相手や試合展開に応じて“勝ち筋を一段増やせるか”どうかだ。日本の戦い方そのものを拡張する切り札的存在として、アジア最終予選からの上積みとなり得る選手が3人いる。

まずDF冨安健洋である。2026年3月のイギリス遠征メンバー発表で、冨安が2024年6月以来およそ1年9か月ぶりに復帰した。英プレミアリーグのアーセナルを退団後、無所属を経て現在、冨安の所属はアヤックスとなっている。

長期の離脱期間があったからこそコンディション管理は大前提になるが、万全なら彼の能力や価値は説明不要だ。187センチのサイズ、対人の強さ、空中戦、そして右SB、CB、3バックの右までこなせる汎用性は、トーナメントでは特に大きい。

日本はボール保持するポゼッション型の相手にも前からプレスをかけて来る相手にも対応したいが、冨安が1人いると最終ラインの組み換えが一気に楽になる。守備の強度を落とさずにシステム変更できる選手は希少で、彼の復帰は“1人の戦力追加”ではなく“複数の戦術オプションの追加”に近い。

次にMFはボランチの佐野海舟だ。佐野は独ブンデスリーガのマインツ所属で、昨年まで行なわれたアジア最終予選の最終盤で2試合出場すると、3月のイギリス遠征でも代表活動に参加している。特に1-0で勝利したイングランド戦ではMVP級の活躍で、同ポジションで負傷中の主将・遠藤航からスタメンを争うほどの能力を見せている。

彼の魅力は、派手な数字以上に中盤の地力を上げる点にある。守備局面での回収力、球際での粘り、広い範囲を埋める走力があるため、前線のアタッカーをより高い位置に置きやすくなる。

ワールドカップでは、自分たちが押し込む時間だけでなく、押し込まれる時間をどうしのぐかが勝敗を左右する。佐野がいると、中盤の守備が前向きになり、セカンドボール争いの密度も上がる。テクニシャンを並べるだけでは出せない“試合の荒れ方への耐性”をもたらせるのが、彼のプラスαだ。

W杯本大会までに最も成長しそうな選手

そして最も伸びしろを感じさせるのがFW塩貝健人である。3月のイギリス遠征で初招集された塩貝は所属する独ブンデスリーガヴォルフスブルクでも、下位に低迷するチームの中で奮闘している。

塩貝の価値は、既存の前線のメンバーとは少し異なる特徴を持っている点だ。日本のアタッカーは足元で受けて崩せる選手が多い一方、塩貝はゴールへ直線的に向かう矢印が強い。

背後への飛び出し、ゴール前での反応、相手DFに圧をかけ続ける推進力は、終盤の展開を変えるカードになり得る。

しかもまだ21歳と若く、野心をむき出しにした姿勢は、チームに競争と勢いを持ち込む。W杯の登録メンバーには、完成度だけでなく「対戦相手にとって未知であること」も武器になる。まだ欧州でのキャリアのまだ浅い塩貝はその条件を満たす数少ない1枚だ。

また冨安、佐野、塩貝の3人に共通するのは、単に実力者だから期待できるのではなく、日本代表の輪郭を少し変えられることにある。冨安は守備設計とシステム運用の幅を広げ、佐野は中盤の強度と試合耐性を底上げし、塩貝は前線に新しい縦の推進力と“未知性”を持ち込む。

ワールドカップで日本がもう一段上に進むには、スタメンの完成度だけでは足りない。90分をどう戦うかだけでなく、タイトな試合日程の中でターンオーバーで選手を休ませながら大会をどう勝ち抜くかという視点が必要だ。

この3人はこれからの日本代表の実力を一層押し上げるプラスαになり得るだろう。

取材・文/集英社オンライン編集部

 

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