元アスリートが語る!競技人生のその先に見えた「スポーツ界の課題と可能性」

新事業「SPORTS×HUMAN ENGINE」の発表にあわせて行われた記者会見では、元アスリートの経験を基点にしたトークセッションも実施された。3つ目のテーマは「引退後に見えたスポーツ界の課題と可能性」。

競技を終えて社会に踏み出したからこそ感じた視点や気づきが語られ、登壇者たちは自身の実体験をもとに、スポーツ界の“現在地”と広がる可能性について意見を交わした。

競技に打ち込んできたアスリートたちは、引退後、思うようにキャリアを活かせない現実と向き合うことが少なくない。レスリング元日本代表の登坂絵莉氏は、周囲の引退後の姿を見ながら、「やってきたことを活かす場が見えないまま、次のスタートが遅れてしまう人が多い」と指摘。競技に集中するあまり、現役中に将来像が描けないまま引退を迎えることが、スムーズなキャリア移行を妨げている現状を語った。

特に女性アスリートは、ライフステージの変化がキャリア選択に影響するケースも多い。「結婚や出産など、選択肢が狭まってしまう場面もある」と登坂氏。こうした制約のなかで自分らしいキャリアを築くには、競技だけでなく、将来を見据えた複眼的な視点を持つことが欠かせないと語った。

また、現役中から「競技以外の世界と接点を持つこと」の重要性にも話が及んだ。元サッカー日本代表の播戸竜二氏は、「現役のうちに視野を広げ、他の人や社会と関わることが大切。」と強調。自身も選手時代から事業を立ち上げるなど、次のキャリアを見据えた取り組みを続けてきた経験を共有した。

元プロ野球選手の井口資仁氏は、競技のピラミッド構造や育成環境の不整備に言及。「野球界のピラミッドが狭まってくる。」と、プロだけでなく独立リーグや野球環境にも目を向ける必要性を説いた。

元アスリートが語る!競技人生のその先に見えた「スポーツ界の課題と可能性」

登壇者たちの発言からは、「スポーツの力は競技だけにとどまらない」という確信が伝わってきた。「SPORTS×HUMAN ENGINE」は、そうした力を社会に接続する仕組みづくりを目指す事業。登壇者3人もこの取り組みに対して「一過性ではなく、アスリートの力を社会の中で活かせる環境を一緒につくっていきたい」と期待を寄せた。

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