11月25日、大谷翔平が自身のInstagramで2026年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場を表明した。12月26日には第1陣メンバーの一人として発表され、背番号は前回大会と同じ16になる見通し。

しかし最大の焦点は「二刀流で起用されるか」という点である。ドジャース、井端弘和監督、大谷本人という三者の思惑が絡み合う中、最終決定は大会直前まで持ち越される見通しだ。

ファンは「二刀流が見たい」と期待を寄せる一方、球団側は怪我リスクを懸念する。本記事では、大谷の起用法をめぐる複雑な状況について、各立場の視点から詳しく解説する。

【画像】WBCでの大谷翔平の二刀流起用は実現するか

二刀流起用の可能性と障壁 ドジャースと日本代表の板挟み

ドジャース・ロバーツ監督の見解「投げれば大きな負担」

ロバーツ監督は大谷のWBC出場について、選手の意向を尊重する姿勢を示しつつも、投手としての起用には慎重な姿勢を見せていると報じられている。

右肘手術から復帰したばかりの大谷が投手として登板すれば大きな負担になるとの懸念から、監督の想定は打者としてのみ、DH起用であれば問題ないというスタンスだ。

ドジャース側の本音は明確だろう。2026年シーズンへの影響を最小限にしたい球団としては、投手起用のリスクを避けたいというのが正直なところ。

投手復帰からの調整期間 慎重な判断が必要

大谷は肘手術の影響で2024年は投手として登板せず、2025年に投手として復帰した。2026年3月開幕のWBCまでに十分な調整期間を確保できるかが焦点となる。

肩や肘への負担が完全に回復しているかどうかの見極めが重要だ。一方で、大谷の超人的な身体管理能力と調整力への信頼もあり、本人の状態次第という見方もある。

投げるか投げないかでメンバー構成が変わる

大谷が二刀流で臨む場合、投手枠を1つ使うことになる。DH兼任は可能だが、登録上は投手としてカウントされる。

逆にDH専念なら投手枠が1つ空き、別の投手を選出できる。

井端監督にとって、これは戦略の根幹に関わる重要な問題だ。この判断が遅れることが、全体のメンバー発表が段階的になっている一因にもなっている。

井端監督の方針「両方いってほしいが、相談しながら」

井端監督は公式コメントで、大谷に投打両方で起用したい気持ちはあるとしつつ、まだ来季に向けて体を動かしていない段階で何も言うことはなく、動き出してから相談しながら決めていく方針を示した。

「押し付けるのではなく、選手と対話する」という井端監督の基本姿勢が表れている。前回の栗山英樹監督が早期に二刀流起用を明言したのとは対照的に、柔軟なアプローチだ。

大谷については「グラウンドで暴れてもらえれば周りにも良い影響しか与えない」と期待を示し、起用法については「彼を尊重しようと思う」と大谷の意向を最優先する方針を明確にした。

2月の事前合宿(宮崎)での様子を見て最終判断する可能性が高く、ドジャースとの三者協議も視野に入れている。

【画像】ドジャース夫人会の集合写真に反響続々

前回2023年WBCでの二刀流成績 大会MVP獲得の快挙

大谷は前回大会で投打両面で圧巻の活躍を見せた。

打者としては打率.435、1本塁打、8打点という成績を残した。投手としては2勝1セーブ、防御率1.86と安定した投球を披露した。

何より印象的だったのは決勝の場面だ。3対2で迎えた9回、大谷はクローザーとして登板し、最後の打者である盟友マイク・トラウトを空振り三振に仕留めて胴上げ投手となった。この劇的なシーンは、二刀流の威力を世界に示す象徴的な瞬間だった。

大会MVPを受賞し、投打での貢献が高く評価された。

当時も二刀流起用には賛否があったが、大谷は結果で証明した。

ただし今回との違いがある。2023年は直前シーズンが「投手復帰1年目」で負担が比較的少なかったのに対し、今回は本格的な二刀流継続を目指す重要な時期と重なる。

「DH専念」シナリオでの打線構成 村上・岡本との強力クリーンアップ

井端監督は大谷の打順について「上位というのは間違いない。1打席でも多く」と明言している。

想定される打線は、1番近本、2番源田、3番大谷、4番村上、5番岡本といった強力な布陣だ。大谷がDH専念なら野手枠が実質1つ増える計算になり、外野手の層を厚くしたり、内野のユーティリティを追加したりといった選択肢が生まれる。

一方で投手起用の選択肢は減る。投手陣の構成に影響が出るため、どちらを選ぶかは難しい判断となるだろう。

ファンの期待は複雑だ。「打撃だけでも十分価値がある」という声がある一方、「やはり二刀流が見たい」という思いも根強い。

大谷翔平の二刀流起用については、最終決断が大会直前(2月の事前合宿後)になる見通し。

大谷本人、ドジャース、侍ジャパンの三者協議で決定される流れとなる。

どちらのシナリオでも、大谷の価値は変わらない。二刀流でもDH専念でも、大谷翔平という存在が日本代表の最大の武器であることに変わりはない。ファンとともに、正式決定を待ちたい。

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