スピードスケート女子の高木美帆選手(31歳、TOKIOインカラミ)が12月28日、長野市エムウェーブで行われた全日本選手権の女子1500メートルで優勝。前日の1000メートルと併せて大会2冠を達成した。
15歳でバンクーバー五輪に出場してから16年。挫折を乗り越え、複数距離で世界一になれる希少なオールラウンダーへと成長した高木選手の歩みと強さの秘密。
【画像】高木菜那がミラノ・コルティナ五輪でスピードスケートの解説を担当
チームゴールド解散とミラノ五輪への決意
全日本選手権で高木選手は、12月27日の1000メートル、28日の1500メートルを制し、大会2冠を達成。1500メートルでは佐藤綾乃選手、堀川桃香選手とチームゴールドのメンバー3人で表彰台を独占した。
レース後の取材で、チームが今季限りで解散する方針であることが明らかになった。
チーム関係者によれば「冬の競技はシーズン終了後、次の選択を迫られる期間が短い。早めに伝えることで、それぞれが今後を考える時間を持てる」という判断だという。
高木選手自身は競技継続の意思を示しており、2026年ミラノ・コルティナ五輪では、2大会連続銀メダルの1500メートルで金メダル獲得を目指す。五輪の舞台ですべてを出し切る。その決意は揺るがない。
15歳から31歳まで駆け抜けた軌跡
高木選手は1994年、北海道幕別町生まれ。
2010年、15歳でバンクーバー五輪に出場し「スーパー中学生」と呼ばれたが、2014年ソチ五輪では代表落選という挫折を経験する。
この挫折が転機となった。2015年からヨハン・デビットコーチの指導を受け、技術改革に取り組む。2018年平昌五輪では金銀銅のメダルコンプリート、2022年北京五輪では1000メートルで個人種目初の金メダルを獲得。
五輪通算7メダル(金2、銀4、銅1)。日本女子スケート選手として最多記録だ。
複数距離で世界一になれる理由
高木選手の最大の特徴は、1000メートル(短距離)と1500メートル(中距離)の両方で世界トップレベルの実力を持つことである。
2019年には1500メートルで1分49秒83の世界記録を樹立した。この記録は現在も破られていない。鍵となったのがカーブ技術の改善で、多くの選手がカーブで減速する中、高木選手はカーブで加速できる希少な技術を身につけた。
また、ワールドカップ通算勝利数は日本歴代トップクラス。
ミラノ五輪で目指す金メダル
チームゴールドは解散するが、高木選手の挑戦は続く。2026年ミラノ五輪では、1000メートル、1500メートル、チームパシュートでの金メダルが期待される。
特に1500メートルは2大会連続銀メダルの因縁の種目。31歳で迎えるミラノ五輪が、キャリアの集大成となる可能性もある。
「目指すゴールをつかんでいきたい」
高木選手の新たな挑戦。それは、いま始まろうとしている。
文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部

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