RIZINバンタム級は、王座が固定されにくい階級として知られている。12月31日、井上直樹選手が王座から陥落し、再び勢力図が塗り替えられた。

これまで多くの王者が誕生してきたが、長期政権を築くことは極めて難しい。なぜバンタム級では王座が移ろいやすいのか。

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王座の変遷が物語る激しさ

RIZINバンタム級の王座は2017年に創設された。UFCでも活躍した堀口恭司選手が王者となったが、その後も王座は何度も移り変わってきた。石渡伸太郎選手、扇久保博正選手、元谷友貴選手、朝倉海選手といった実力者たちが次々と王座に就いたが、いずれも長期政権を築くには至らなかった。

王座返上、他団体への参戦、階級変更など、さまざまな理由で王座が空位になることも珍しくない。ベルトを巡る戦いは常に流動的で、新旧交代のサイクルが速い階級と言える。

井上選手は2024年9月に王者となり、複数の防衛戦を戦ってきた。しかし今回、サバテロ選手に敗れて王座を失った。王座を守り続けることの難しさを、改めて示す結果となった。

井上選手が示した王座の重み

井上選手の王座時代は、バンタム級の厳しさを象徴するものだった。2025年3月の元谷友貴選手戦では、2020年大晦日に一本勝ちした相手との再戦を制した。

元谷選手はアメリカン・トップチームで修行を積み、大きく実力を向上させていた。

試合は激闘となった。井上選手は右目が腫れる厳しい展開を強いられたが、2-1の判定で勝利を収めた。試合後には「しょっぱい試合をしてすみません」と謝罪するほど、想定以上の苦戦だった。それでも勝ち切ったことで、王者としての価値を高めた。

続く福田龍彌選手戦では、一転して圧倒的な内容を見せた。打撃の技術とファイトIQを光らせ、判定3-0の完封勝利。ジャブと距離コントロールで挑戦者を寄せつけず、王者としての貫禄を示した。「ベルトの価値を上げていくのが自分の使命」。その言葉通り、王座の重みを高めていった。

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層の厚さが生む激戦区

RIZINバンタム級で長期政権が生まれにくい理由の一つは、階級の層の厚さだ。日本人選手だけでなく、海外の強豪も多数参戦している。

新王者となったサバテロ選手も、元Titan FC王者という実績を持つアメリカの強豪だ。

井上選手自身も、日本人最年少の19歳でUFCと契約した経歴を持つ。2020年のRIZIN参戦後は、元谷友貴選手、石渡伸太郎選手といった強豪を次々と破った。2024年9月にはキム・スーチョル選手を1ラウンドTKOで下し、王座を獲得している。175センチの長身から繰り出される打撃が大きな武器だった。

他にも、元修斗王者の佐藤将光選手、五輪銀メダリストの太田忍選手、DEEP2階級制覇王者の福田龍彌選手など、各団体のトップクラスが揃う。実力が拮抗しているからこそ、王座を守り続けることが困難なのだ。

新王者の時代は続くか

井上選手の王座陥落により、RIZINバンタム級は再び流動的な時代を迎える。サバテロ選手が長期政権を築けるのか。それとも再び王座が移ろうのか。

井上選手も28歳とまだキャリアのピーク。UFC経験者としての技術力は健在で、再び王座を目指す可能性は十分にある。

元王者としての再起に注目が集まる。

RIZINバンタム級の歴史は、激しい競争と予測不可能な展開の連続だ。層の厚さと実力の拮抗が、この階級の魅力であり、同時に長期政権を困難にしている。新王者サバテロ選手の時代が続くのか、それとも新たな挑戦者が現れるのか。RIZINバンタム級から目が離せない。

文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部

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