総合格闘家の平本蓮と朝倉未来が、約4年間にわたるSNS上での舌戦を経て対決した。2024年7月28日、さいたまスーパーアリーナで開催された「超RIZIN.3」。

4万8000人を超える観客が見守る中、平本が1ラウンドKO勝利で因縁に決着をつけた。しかし、その後のドーピング疑惑、再戦発表、そして再戦中止と、両者を巡る物語は新たな展開を迎えている。

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SNS舌戦の始まり 憧れから挑発へ

平本は当初、6歳年上の朝倉に憧れを抱いていた。しかし2020年、総合格闘技への転向を表明した頃から関係が変化する。

SNSで朝倉への挑発を開始した平本。激しいやり取りは訴訟問題にまで発展した。朝倉が「訴える」と示唆すると、平本は「訴訟の伝説」と皮肉で応酬。朝倉は一時Twitterを離れる事態となった。

約4年間続いた舌戦。「路上の伝説」朝倉未来と「SNSモンスター」平本蓮の対立は、格闘技界最大の話題となっていく。

2024年3月に待望の対戦決定

運命の日は2024年3月16日。六本木ヒルズアリーナで開かれた記者会見で、ついに両者の対戦が決定した。

舞台は7月28日、さいたまスーパーアリーナ。スタジアムバージョンでの開催となる。両者は「負けたら引退」と宣言。RIZIN榊原信行CEOも「ここ十年で一番のお祭り」とコメントし、大会への期待を語った。

観客動員数は4万8117人。さいたまスーパーアリーナ最大規模の設定だ。PPV販売も記録的な数字を記録し、格闘技ファンの注目が集まった。試合は5ラウンド制の特別ルールで行われる。

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超RIZIN.3での1R KO ドーピング疑惑も浮上

2024年7月28日、歴史的な一戦が実現した。結果は平本の1ラウンド2分18秒TKO勝利。朝倉は試合直後、引退を表明する。

「何も言えねー!」平本は試合後のインタビューで興奮を隠さなかった。

「練習してきた技が見事にはまった。何度も何度も練習してきた技だったので」と勝利の喜びを語っている。

しかし試合後、波紋が広がった。元セコンドの赤沢幸典がドーピング疑惑を告発したのだ。RIZIN医療部が検査を実施。結果は陰性と発表された。

疑惑は晴れたものの、グレーゾーンとの見方も残る。この騒動を受け、朝倉は現役復帰を決断した。

再戦発表から一転 平本の負傷で中止に

2024年12月31日「RIZIN DECADE」。待望の再戦が明らかになった。2025年5月4日、東京ドームでの「THE MATCH 2」開催が決定。格闘技界は再び盛り上がりを見せた。

ところが2025年3月3日、RIZINが緊急記者会見を開く。平本が「外傷性肩関節不安定症」で全治6ヶ月の大怪我を負い、手術を受けたことが明らかになった。再戦は中止。大会名も「RIZIN 男祭り」に変更された。

朝倉は復帰後、元RIZIN王者の鈴木千裕、クレベル・コイケに連勝。平本はSNSで「これにて俺達の再戦はもう無くなりました」と投稿している。

因縁の行方は

平本は現在リハビリ中。朝倉は大晦日のタイトルマッチを目指している。4年間の舌戦から始まった因縁は、本当に終わったのか。それとも新たな章が始まるのか。両者の今後から目が離せない。

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