鹿島学園 松本金太郎「10番の品格下げた」悔しさ胸に 大学サッカーへ

「(MF松本金太郎は)個人的には好きな選手です、やっぱり鹿島の10番なので(鈴木雅人監督/鹿島学園)」

神村学園の圧倒的スピードサッカーで夏冬二冠達成し、チームの強さを全国に証明し幕を閉じた全国高校サッカー選手権。準優勝・鹿島学園の指揮官は試合後のメディア会見に晴れやかな表情で現れた。

会見の最後の質問に対し、名指しでベンチを温め続けた10番の松本金太郎選手をかばったのだ。指揮官として指導者として、特筆すべきワンシーン。 監督も選手もチームも、鹿島学園の10番の重圧や使命感に苦しんでいた様子や、選手権の大舞台で勝利をもぎ取る難しさも垣間見れた気がする言葉である。

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試合後のミックスゾーンで 鹿島学園の10番松本選手に監督の言葉をいち早く伝えようと囲み取材で話を聞かせてもらった。

「国立のピッチで74分に松本金太郎のカードがアナウンスされると、一瞬どよめきが起こったような空気が流れたが、その時のピッチを覚えていますか?監督からはどんな指示でゲームに入りましたか?」

本人の回答は「覚えていない」。短いプレー時間には「硬さも出た」と監督が語ったように松本選手本人も決勝の大舞台で、本来のプレースタイルを出しきれず肩に力が入ってしまったようだ。

さらに今シーズンの自身を振り返ってもらう途中で「10番の品格を下げた」という発言が飛び出す。

サッカーの聖地・国立という大舞台で試合を終えたばかりの若き蹴球人・松本金太郎は、伝統ある鹿島学園の10番を背負い、果敢にプレーした姿を上回る悔しさで頭から色々な出来事が整理しずらかったのかもしれない。

筆者はストレートにメッセージを投げかけた。鈴木監督は名指しで松本選手をかばったメディア会見の事実、監督もチームも苦しんでいた、個人的には好きな選手だとも発言するなんて珍しいことだ、とも。すると少し表情が和らぎ、安堵の想いを語ってくれた。

「初めて知りました、そんな会話は(監督と選手は)余り無いので」

ありきたりな表現で恐縮だか、なんとも高校生らしい言葉。

鹿島学園の10番の品格は下がるどころか(指揮官の言葉を借りるなら個人的には)爆上がりだ。チームの代表として、メディア対応をきっちりとこなした10番の人間性、ベンチを温める日々が続いても必死に食らいついたサッカー人生、重圧と向き合い挑み続け鍛錬を続けた、サッカー中心の高校生活。鹿島学園10番の品格とは、チームが学校が地域が作り上げたものかもしれない。卒業後の進路は、山梨学院大学でサッカーを続けプロへの道も諦めない、と決めたという。夏に決意したという大学サッカーへの挑戦。きっかけは、指揮官からの後押しの言葉だったらしい。

「お前にはサッカーしかない」

大一番の戦いを終え、国立を離れる直前の指揮官に(囲み取材の10番の様子を)お声掛けすると、指揮官もまた安堵の表情で「そうですか!」と笑ってくれた。

鹿島学園 松本金太郎「10番の品格下げた」悔しさ胸に 大学サッカーへ
【ハイライト動画】 神村学園鹿島学園 第104回全国高校サッカー選手権大会・決勝 2026.1/12 14:05KO 国立競技場

どんなスポーツでも同じことが言えるかもしれないが、勝負の世界は、時に煌びやかで時に残酷だ。サッカーの神様がいるのなら、鹿島学園サッカー部のチームメイトにどんなメッセージを投げかけるのだろうか。 来年も高校サッカー選手権は、やってくる。

鹿島学園サッカー部の新チームは、もう次の10番を狙うポジション争いが始まっているはずだ。10番の品格でピッチに立つ選手のプレーが楽しみで仕方がない。

取材・文/ 鈴木ひとみ

文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部
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