短毛の子は特に注意!犬の日焼けにまつわる意外な事実とは【獣医師執筆】
陽射しを浴びながら撫でられる犬

犬も日焼けする?知っておきたいリスクと影響

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「犬が日焼けするなんて想像もしてなかった」という飼い主さんは多いかもしれません。しかし実際には、犬も人間と同じように紫外線の影響を受け、皮膚が赤くなったりヒリヒリとした痛みを感じることがあります。特に被毛が薄い犬や、白や淡い色の毛を持つ犬、あるいは皮膚の色素が薄い犬種は日焼けしやすい傾向にあります。

日焼けが起きやすい部位は、被毛が薄い鼻の頭、耳の縁、目の周り、お腹、鼠径部など。特に、仰向けに寝て日光浴を好む犬や、短足のため地面に近くお腹に反射光が届きやすい犬(例:ダックスフンドやコーギー)は注意が必要です。

さらに、日焼けは見た目の問題にとどまりません。皮膚が赤く乾燥し、ひび割れたりかさぶたになったりするだけでなく、重度になると潰瘍や水ぶくれ、発熱や嘔吐といった全身症状を引き起こす場合もあります。

また、紫外線の影響は蓄積するため、皮膚がん(扁平上皮癌や血管肉腫など)を発症するリスクも高まるのです。

日焼け対策に必要なのは“犬用”の紫外線対策

短毛の子は特に注意!犬の日焼けにまつわる意外な事実とは【獣医師執筆】
麦わら帽子をかぶる犬

では、どうすれば愛犬を日焼けから守ることができるのでしょうか?まず大前提として、「人間用の日焼け止めは使わないこと」です。

多くの人間用製品には、犬にとって有害な成分(例:酸化亜鉛やPABA)が含まれており、犬が舐めてしまうと中毒の原因になります。

その代わりに「犬専用の日焼け止め」を使用しましょう。SPF30以上で、無香料・耐水性のある製品が理想です。特に外出前20分前には塗布し、泳いだ後や数時間ごとに再塗布する必要があります。

塗るべきポイントは、鼻先、耳の縁、目の周囲、腹部、鼠径部など被毛の薄い部分です。塗布前にはアレルギー反応が出ないか少量でパッチテストを行うのも安心です。

日焼け止め以外の対策としては、「日陰の確保」や「物理的な遮断」も効果的です。

直射日光の強い10時~16時は散歩を避け、朝夕の時間帯にするのがベスト。

また、犬用の帽子やTシャツ、冷感ベストなどを活用するのも良い方法です。さらに、コンクリートや水辺など光が反射する場所では、人工芝やラグなどを敷いて反射を防ぐ工夫も必要です。

日焼けに気づいたら?正しいケアと動物病院への相談

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通院する犬

もし愛犬が日焼けしてしまったら、まずは状態を見極めることが大切です。赤みや乾燥、フケが出ているだけであれば、冷たいタオルで優しく冷やすことで軽減できる場合があります。ただし、水ぶくれや潰瘍、出血などの症状がある場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

また、以下のような症状が見られる場合も要注意です。元気がない、食欲が落ちている、嘔吐がある、皮膚が黒ずんでいる、熱を持っている、痛がる様子がある──これらは単なる日焼けではなく、二次感染や熱中症、重度の炎症を起こしている可能性があります。

獣医師による診察のうえ、抗生物質や鎮痛薬、適切な外用薬などが処方される場合もあります。また、多くのアロエジェルや保湿クリームは犬にとって毒性のある成分を含んでいることがあるため、市販品を自己判断で使用するのは避けるべきです。

愛犬の皮膚を健やかに保つためには、単なるケアだけでなく、日常的な観察と「異変にすぐ気づく目」を持つことも大切です。夏場は日焼け対策だけでなく、水分補給や温度管理など全体的な体調管理を意識しましょう。

まとめ

短毛の子は特に注意!犬の日焼けにまつわる意外な事実とは【獣医師執筆】
草原にいる柴犬

犬も人間と同様に日焼けのリスクがあります。

特に短毛や色素の薄い犬は要注意。日焼け止めの使用や日陰の確保、服の着用などを活用し、愛犬を紫外線からしっかり守ってあげましょう。

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