さて、今回はそんなルパン三世ファンの聖地を訪れてみた。
実は入るまでは正直ある種の「キワモノ」見たさという気持ちが強かったが(だってローマ風呂なんて『CREA』や『Frau』の温泉特集では絶対掲載しないもの)、漬かってみると、これがなかなか、良い……のである。
平日に訪れたせいか人もあまりおらず、広びろとした空間は一人占め状態。趣味が悪いのではと懸念された彫刻類も、湯煙の向こうにかすんで見えると「幻想的」と形容できなくもない。ああ、昭和の豪華旅行とはこういうものだったのかもしれない、とレトロ気分も盛り上がる。
このホテルは戦後まもなく連合国軍の保養施設として接収されたので、子ども時代にアメリカン・カルチャーの洗礼をたっぷり浴びたのだと、大野さんはインタビューで答えている。ルパン三世のあのバタ臭く華麗な音楽はやはり一日にして成らずなのですな〜と、古代ローマ貴婦人気分いっぱいでつらつら思ったのであった。
(みと)