通勤ラッシュが生んだ発明品たち
電車の中といえば寒くなると困るのが着膨れによる通勤、通学ラッシュである。
今ではフレックスタイム、いわゆる自由勤務時間制の導入や時差通勤で昔ほどひどい通勤ラッシュはなくなったけど、それでも朝夕の電車は込んでいる。
高度成長の昭和三十年代にはこの通勤ラッシュは通勤地獄とも呼ばれ、当時の満員電車は現在の比ではなかった。乗車率はなんと300%! つまり定員の3倍という超ラッシュ。戦後、急激に増えた人口に運行されている電車の数が追いつかなかったのというのがその原因。

さて、当時こんな通勤地獄から生まれたヒット商品があった。昭和37年に発売されたその名も「ラッシュ・コート」。当時の新素材だったナイロンで作られたそのコートは、つるつる滑るコートで満員でも動きやすく、乗下車しやすいというもの。ひと冬で130万着も売れたヒット商品だったとか。つるつる滑って満員でも動きやすいというのは何とも悲哀が漂うが、そういう時代もあったのです。

そしてなんと言っても通勤地獄がうんだ最強のものが自動改札機。昭和42年にオムロンが開発し大阪の北千里駅に第一号が設置された。人の流れを止めないために考え出されたこの改札機は膨大な情報を磁気で記録し、それを一瞬で読みとるという画期的な技術だった。実はこの技術が銀行の自動支払機CDやATMのもとになっているのだ。
必要は発明の母、と言うけれど開発者の方々には本当に頭が下がります。(こや)
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