1972年、「リカちゃん」の悩みが解消した出来事とは?
『ちびっこ広告図案帳70’s』(おおこしたかのぶ編/オークラ出版)より/ちなみに、このマグネットつきの靴の特性をフルに生かすため、当時新発売だったリカちゃんグッズ「スーパーマーケット」は、床が鉄板でできていた。
最近では、六本木にありそうな「ハートヒルズ」なんてマンションに住んじゃったり、アイドルユニットを組んだり、お風呂であたたまると温度変化水着が消えちゃう刺激的な人形まで出ている「リカちゃん」。

時代に応じて様々な変化をしてきた彼女だが、実は1972年、長年抱えてきたコンプレックスを打ち破る劇的な変身を遂げている。
『ちびっこ広告図案帳70’s』(おおこしたかのぶ編/オークラ出版)に掲載された広告を見てみよう。

『月刊なかよし』(1972.7月号)の広告で、リカちゃんはまず、こんな宣言をしている。
「ひみつのひみつのおしらせ〜リカちゃんなやみがあるの きいてくれる? リカちゃん いつもあなたとあそぶとき せっかくおしゃれなポーズをしても一人で立っていられなくてちょっと悲しいの…でもね とてもうれしいことが6月終りに起こるの リカちゃん一人で立てるようになるのよ…フフ…おどろいた?(以下略)」
 
この思わせぶりな口調。「悲しいの…」なんてうつむき加減に言われると(注:想像)、もう放っておけなくなるではないか。何が起こるんだ、いったい!? すっかりリカちゃんの掌で転がされ、翻弄されていると、次の頁の『週刊少女フレンド』(1972.7月4日号)の広告で、その真相が明らかになる。

「立ってま〜す!! ニューリカちゃん」

あら、のんき。どうせなら「リカちゃんが立った〜!!」(マルシー:ハイジ)ぐらい叫びたいところだが。ちなみに、「立てるようになったヒミツ」の一つは、パッケージに同梱された「おでかけスタンド」がついたこと。「ニューリカちゃんをおでかけスタンドの上にのせてね そしてあなたがそっと台をおしてあげて!」とお姫さま口調だ。いいですとも。台をおすくらい屁でもないですよ。

さらに、もう一つのウリは「コーラのふたにだって立てる」ことで、そのヒミツは…。


「あなただけにおしえてあげる…ニューリカちゃんのクツの裏に磁石がついてるのよ だから鉄でできているものの上ならニューリカちゃんはどこにでも立てるのよ やってみて?(中略) どちらへおでかけ? もうすぐ新発売のスーパーマーケットかしら?」
意外にシンプルな構造改革なのだが、態度はあくまで高飛車! 姫様はそうでなくっちゃ。

ところで、いまどきのリカちゃんは、あれで「立てる」というんでしょうか? それとも、「立てないリカちゃん」に戻っている? それにしても、昔のリカちゃんのキャラ、好きだなぁ。きっと「大きいお友達」にはけっこう人気が出ると思います。(田幸和歌子)
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