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どこからでも切れる「マジックカット」誕生秘話

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上/これ、みんなマジックカットを採用した商品です。下/たとえばワサビの小袋の場合、1ミリ間隔にジグザグに穴があり、1辺に約50個×3列。これが表と裏あるので、ワサビの小袋1袋につき、全部で300個くらいの穴がある計算になる。

「マジックカット」「Magic Cut」「どこからでも切れます」……英語、カタカナ、マークなど、表記や字体はいろいろ。醤油やワサビなど調味料の小袋から、詰め替え用シャンプーまで、いま私たちの生活の中には、ありとあらゆるところに「マジックカット」がある。
実はこれ、旭化成パックスが登録商標をとった特許技術なのだが、いつどんなふうに生まれたのか。旭化成パックスを訪ねると、フィルム事業部の伊藤さんと商品開発本部のグループ長・松下さんが対応してくれた。

「特許をとったのは20年くらい前なんですが、12〜13年前から『自分たちだけの技術では広まらないから』と、ライセンスをよそに出すようになったんです。それで徐々に広まり、認知度が上がったのは7〜8年前くらいからですね」と伊藤さんは話す。
現在、マジックカットを採用している商品は「数千種でおさまるかどうか」(伊藤さん)というほどだが、このうち旭化成で作っているのは約1〜2割。他はライセンス商品で、ランセンス契約している会社は約40社、全国での販売額は数百億円にものぼるという。

どこからでも切れる秘密は、
「袋の端に無数の穴があるから」
というのはけっこう知られているが、この単純でスゴイ発想は、旭化成パックスの前身・旭化成ポリフレックス時代の専務によるものだとか。
「出張帰りの新幹線で、缶ビールと燻製イカを買ったとき、老眼のせいでどうしてもパックが切れずに、結局、ツマミなしで缶ビールを飲むことになったそうです。それで、本社に帰ってから技術陣に『指先で簡単にどこからでも破れる袋はつくれないか』と持ちかけたのがきっかけと聞いています」(松下さん)
だが、すんなり開発となったわけではなく、「袋に化学薬品を塗る」案は食品にNGで、「光線処理する」案はコストがかかるからNG、さらに、「端にずらっと小さな切込みをたくさん入れる」案は、輸送や保存中に袋が切れてしまう危険性があるという指摘でNGと、試行錯誤の繰り返しだった。
「挙句、フィルムに引っ張りの力がかかったとき、中央部分は強く力を受けるが、端のほうはそうでもないことがわかったことから、微調整を繰り返し、切れ込みではなく『無数の小さな穴』をつけるようになったんです」(松下さん)。
ちなみに、「小さな穴」の大きさは、1穴0.2〜0.3ミリ。

どこからでも切れるマジックカットではあるが、切れが悪いときもある。どうすれば失敗なく切れるのかと聞くと、
「手が濡れていたり、袋がしめっていると、すべって切れにくいですよね。それはノッチ(切り口)がある袋も同じで、手や袋を拭いておくことがまず基本。また、斜めにならないよう、しっかりおさえましょう」(松下さん)
ちなみに、10年ぐらい前からはお弁当などを束ね、手で軽く切れる輪ゴムがわりの「マジックカットテープ」が、一昨年にはフィルムに特殊加工を施し、袋をまっすぐに切れる「マジックカットストレート」も開発されている。
 「切れやすさ」の追求はまだまだ続いている。
(田幸和歌子)

2005年7月15日 00時00分

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