住宅街で引き売りとうふ屋に遭遇
女性の引き手も増えているそうで、随時バイト募集中だそうです
パープー。
イクラちゃんではない……。
最近、自宅近くの住宅街でよく聞こえてくる、昔懐かしいラッパの音。東京は中野の住宅街でラッパの音とは珍しい。
追いかけてみると、ラッパを片手にリヤカーを引く豆腐の引き売り屋さんに遭遇した。
屋号「野口屋」ののぼりを携えた、若いお兄さん。一見して、個人で商売をしている豆腐屋さんかと思い、「最近、よくこのあたりを歩いているんですか?」と聞いてみると、「いえ、今日がアルバイト初日なんで、歩くのも初めてです」との答えが……。
興味がわいてきて、初日の方にいろいろと伺ってしまった。


東京・築地に本社をもつ株式会社「ターベルモーノ」が展開する、豆腐の引き売りチェーン。
本社の方にもお話を伺ったところ、2003年から世田谷で引き売りのテストを始め、現在は浅草や中野、練馬など、都内に10店舗の拠点をもっているそうで、いまでは男女含めて約300名のアルバイトが住宅街を中心に練り歩いているのだそうだ。

驚きなのは、同社独自の「行商支援システム」。やみくもに歩いて効率が悪くならないように、GPS(全地球測位システム)や携帯電話を用いることで、毎週同じ曜日に同じ場所を歩くことができるようになっている。なるほど、たしかにウチの近くでは、日曜の昼時によくラッパの音が聞こえる。
お客さんとのコミュニケーションを大事するためには、いつも決まった時間にやってきてくれる安心感は重要なポイントだろう。
自分も最近は、「そろそろラッパの時間かな」と思うくらいだから、特にお得意さんにとっては待ち遠しい音に違いない。
別の引き売りのお兄さんに遭遇した際も、お得意さんらしきご婦人方のおしゃべりの的になっているところだった。決まった時間に歩いてやってきてくれるわけだから、足が不自由で買い物に出られないような老人にも優しい商売だ。

さて、引き売りもさることながら、注目すべきは商品の旨さ。
豆腐に使用している大豆は粒が大きく風味がよく、甘みのある青森県産のオオスズ、水はほたるの里・伊豆大川の清水、にがりは赤穂の天然にがりを使用している。スーパーで売られている一般のパック豆腐は、大豆一俵から1000丁の豆腐をつくるのに対して、野口屋の豆腐は約350丁しかつくれないという、かなりの濃さだ。

代表的な商品として「ざる豆腐」が270円、生ゆば800円、豆乳200円、絹・木綿豆腐200円などなど。実際に購入した「ざる豆腐」を食べてみると……。たしかに食べたことがない豆の濃厚さとにじみでる甘み!! 「豆乳」もいままで飲んでいた豆乳は何だったの? というくらいの濃さだった。

社名「ターベルモーノ」の由来は「食べるもの」から。多くの人に生命の源である食の安全と健康を提供したいという願いを込めているそうだ。食に対するこだわりも大切だけど、味わいの濃ささながら、売る側と売られる側の濃い〜コミュニケーションはとっても新鮮。
いや、むしろ接客業の本来あるべき姿かもしれないですねぇ。

ちなみに、「野口屋」は随時アルバイトを募集しているそうなので、ご興味のある方は同社サイトにアクセスしてみては?
(モンキー・オガワ)