
「旬のメニュー」の一番上に「まんざいうお」なるにぎり寿司が。
出てきたのは、白身と赤身の中間という感じの魚。あっさりしていて意外にもとてもおいしい。もう一貫行こうかな、なんて思っていたら、もう品切れになっていた。
「まんざいうお」いったいどんな魚なのか。「金沢駅前 寿し寅」の當摩(とうま)さんにお話を伺った。
「金沢ではほとんど入荷がなく、主に富山方面で捕れるのですが、(富山の漁師さんによると)揚がるのはまれということです。捕れるのは雪解けから5月くらいまでだそうです」
結構珍しい魚のようだ。深い海に暮らし、マグロはえ縄などにたまたま一緒にかかることがあるくらいで、市場ではほとんど流通していないらしい。
「白身でよく脂が乗っているのですが、多少クセがあるので、地元(富山)では味噌漬けにすることもあるそうです」(當摩さん)
ところで、魚の名前って難しい。
「同定の根拠となるヒレが折りたたまれているので断言はできませんが、分布域などから考えて『ヒレジロマンザイウオ』だと思います」(飼育員さん)
学問上も、ちゃんと「まんざい」の名前が付いているのだ。どうしてそんな名前が?
「あくまでも一説としてですが、ウロコが硬くて食べにくいため漁師が『お手上げ』→バンザイ→マンザイ、となったという話があるようです」
同水族館では2005年と2006年の2回、「WANTED マンザイウオ」と題した、マンザイウオ生け捕り作戦を展開した。それぞれ100万円、200万円の賞金を懸けて全国からマンザイウオを集めたそうだが(ヒレジロマンザイウオなどの類似種は対象外)、残念ながら生きた状態で水族館に魚が届くことはなかったという。「ヒレジロ」の付かない「マンザイウオ」は、更に捕獲が難しいようなのだ。
「水族館の飼育係でも生きた状態で見たことのあるスタッフはほとんどいないと思います。機会があったら見てみたいと思います」(飼育員さん)
水族館の飼育員さんの憧れ。そして食べると結構おいしい。「まんざいうお」はそんな魚のようです。
(R&S)
・「金沢駅前 寿し寅」HP
・「よしもとおもしろ水族館」HP