携帯電話の通話中、電波が悪くて電話が切れた瞬間、ムダな駆け引きがスタートする。
かけるか待つかの心理戦。
お互い気を遣ってかけ直し、2人とも留守番電話サービスセンター送りにされることもしばしば。じゃあ待ってみようかと携帯電話の画面を見つめていると、今度はお互いが待ち続けて沈黙の時が流れる。

そんな数十秒の厄介タイム。やっとつながって、申し訳なさげに再開する電話。何か明確なマナーが浸透してればこんなことにはならないのに……。本来はどうすべきなんだろう。


どっちがかけ直すべきなのか、マナー文化教育協会代表理事の石井先生に話を伺った。
「まずビジネスの場では原則として、電話のマナーはかけた側からかけ直します。相手の時間を頂くことになるので、用件がある側からかけ直すのが当たり前なのですね。相手は待っているのですから、すぐにかけ直しましょう。それはプライベートの場合でも同様で、かけた側からかけ直すのが丁寧ですよね」
えっ、そうだったんだ。電波が悪くて切れた側がかけ直すもんだと思ってた。

これはかけた側が固定電話で、相手の携帯電話が切れた場合も同じだという。どっちの電話が切れたとか関係なく、用件がある側からかけ直すのが原則だ。

でも地下通路や電波が入りにくい建物など、一度圏外になった場所にいれば、また切れちゃう可能性は高い。すぐにかけ直したら、またすぐ電話が切れて会話も進まなかったりする。そんなときは、どうすべき?
「もちろん電波が悪いところでは同じことが繰り返されますので、電波の良いところへ出た段階で、『電波の具合が悪かったようで失礼しました』と詫びましょう」
そりゃそうか。臨機応変に、ということで。


マナーっていうのは、心遣い。機械的に処理するんじゃなく、相手を察することが大切。相手との上下関係や友達・恋人関係など、お互いの関係性を考えて対応するのがベストだ。一応の基準として「最初にかけた側がかけ直す」っていうのを頭に入れといて、特別な場合は柔軟に対応したい。

電波は切れても、相手との関係が切れないマナーを、いつも携えていたいものです。
(イチカワ)