「でんしゃ、のゆー!」
(電車、乗るー!)
2歳3カ月の息子は電車と車が大好き。

子供が生まれる前から、オトコだからオンナだからという決めつけはせず、その子らしさを大切にしようと決めていた。
男の子だってお花や人形が好きでもいいんだよ……そんな親の思いとは裏腹に、1歳半頃から急に乗り物に興味を示すようになった息子。

踏切では「でんしゃ、きたー!」
道を歩けば「とらっく、ばす、ごみしゅーしゅーしゃ、のゆのー!」
同じ月齢の女の子はお人形遊びやお買い物ごっこに夢中らしい。うちの子が一日中遊べる電車博物館も15分で飽きてしまったとか。

意識して乗り物オモチャを与えたわけでもないのになぜこのような違いが現れるのか?
赤ちゃんといえばここ、東京大学「赤ちゃんラボ」の開一夫(ひらき かずお)准教授に質問してみた。

「まず、赤ちゃんは動くモノに注目します」
これはママなら誰もが知っていることだが……。

「赤ちゃんの知識……というとちょっと変な表現ですが、人が生まれながらに持っている知識の中で“自ら動くモノ”といえば人間か動物しかない。
だから動物ではないものが自分の力で動いているのは非常に不思議なことで、強い興味を持つと考えられます」
自然界に存在しないもの、イコール “赤ちゃんの知識”を刺激するもの。だから大きな箱が規則的に動いているだけで不思議でたまらないらしい。

では、特に男の子が乗り物に惹かれる理由は?
「人は胎児期にテストステロンという男性ホルモンの一種を浴びるのですが、その量が多いと『システム化が得意な脳』に、少ないと『人の心に共感するのが得意な脳』になるという研究があります。男性の方がテストステロンを浴びる量が多いので、システマティックなもの……例えば電車のように規則正しい動きをするものに惹かれるようです。規則性といえばタイムテーブルなどもそうですが、電車そのものでなく時刻表を見ているだけで飽きないという人も男性に多いですね」

なお、赤ちゃんラボの実験ではっきりと男女で差がつく調査結果はないものの、「お母さんの顔を見せる実験で、人の顔よりも休憩中に流すスクリーンセーバーのような映像に注目する赤ちゃんが男の子に多い」とのこと。

もちろんこれはあくまでも傾向の話。
きっと電車が大好きな女の子も、おままごとの好きな男の子もたくさんいるだろう。もし乗り物大好きな女の子がいたら、むしろそれは一つの貴重な才能かも!
みなさんの子供のころはどうでしたか?
(宮沢弥栄子)