飛行機の中で携帯電話を使ってはいけないということは、普段それほど飛行機に乗らない人にもよく知られている事実だろう。一部の航空会社では、一定条件下においてのみ機内での携帯電話の使用を認めているが、それはまだごく限られた範囲の話。


さすがに飛行中に携帯電話を使っている人を見たことはないが、離陸前や着陸後、機体が地上にいる間は人によって対応が結構違う。離陸前に機内で平然と通話している人を見たこともあるし、着陸時にはシートベルトのサインが消えると同時に携帯電話の電源を入れる人も少なくない。

日本では、「携帯電話の電源は機内を降りてからお入れください」といったアナウンスが入ることも多いが、特に海外ではうるさく言われないことも多い。ある国では、「シートベルト着用のサインが消えるまで携帯の電源は入れないでください」という内容のアナウンスが英語で流れたこともあった。

規則としてはどうなっているのか? 国土交通省航空局航空安全推進課の方に話を聞いてみた。
「日本では地上および領空を含め、携帯電話の使用は全面的に禁止しています」
ルールは国によって違うため、あくまで日本のみのルールではあるが、地上に待機している時も含めて機内にいる間は携帯の電源オンはご法度。

では使った人は必ず罰せられるのだろうか?
「いえ、それはありません。現在の法律は、使った人に対して、機長が一定の手続きを踏んだ上で、罰則を与えることが“できる”というものです」
罰則を与えることは“義務”ではなく、あくまで“許可”されているもの。つまり、罰則を与えるかどうかの判断は航空会社に委ねられている。

しかし、日本における対応だけを見ても航空会社によって温度差がある気もするけど……。
「日本の法律と海外との運行ルールが違うこともあります。もちろん日本の法律は各航空会社にきちんと通達していますが、完全に浸透しているとは言い切れないところもあります」
外国の航空会社の場合、自国のルールが日本ほど厳しくないと、日本でも同様に振る舞ってしまうということがありえるのかもしれない。


また、機内でのオペレーションには各国の法律が適用される部分もある。現在の日本の法律が罰則を義務付けていない以上、対応を一律化させるのはなかなか難しいよう。

こうした事情から、厳しく注意する航空会社に対して、“ほかではもっと緩かったのに”と苦情がくることも少なくないらしい。だが、日本の地上および領空において、携帯電話の使用が全面的に禁止されているのはまぎれもない事実。

周りの人がどうであれ、機内では電源オフを忘れずに。
(古屋江美子)
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